
みなさんどうも、こんにちは!
僕は元帰宅部の本気【The VO2 MAX RUN】というYOUTUBEチャンネルでランニング・マラソン情報を発信をしている市民ランナーです。
そんな全ランナーの疑問。
今回紹介する本は、その名も「正しいマラソン」

一体全体、正しいマラソンとはなんなのか?
正しいマラソンとはいったいどんなマラソンなの?
正しいマラソン。
マラソンでの正しさとは。
この本の著者は運動生理学、スポーツ栄養学、実業団のコーチなど大学や専門機関でマラソンを研究している現役のスペシャリスト3名。さらに著者、編集としてマラソン実況でもおなじみ金哲彦さんも名を連ねる、そんな4名の共著となっています。

みなさんも一度はこんな質問を耳にしたことはないでしょうか?
次の大会でこのタイムを狙いたいんですが、どれくらい走ったらいいですか?
たとえば、サブ4を達成したいんですけど、月間走行距離はどれくらいがベストなんですか?みたいな感じです。

つまり練習量についての質問です
この質問に答えるコーチや先輩ランナーのほとんどは経験則に頼った曖昧なものです。だからこそ、今日はそんな答えづらい質問に根拠のある明確な答えを提示したいと思います。
ここにマラソンの記録と月間走行距離との関係を比較した興味深い調査研究があります。
それがこのグラフです。
このグラフを見れば、統計上、達成したい記録にはどれくらいの月間走行距離が必要なのかという目安がわかります。

たとえば、あなたがサブ4、フルマラソン4時間切りを達成したいのなら、月間走行距離は100km以上を目安に練習してください

もしサブ3、フルマラソン3時間切りを達成したいのなら、月間走行距離300km以上で達成できる可能性が高まります
さらに、サブエガと呼ばれるフルマラソン2時間50分を切りたいランナーは月間走行距離350kmを目安に、それ以上レベル、サブ2.5、フルマラソン2時間30分を切りたいランナーは最低でも月間走行距離440kmを踏むことで目標とするタイムを達成できる可能性が高まります。
以上は、統計的なデータであり、もし
こんな記録を狙っているのですが、どれくらいの距離を走ればいいですか?
と聞くランナーのひとつの答えとなるデータです。根拠のある答えが出来るので、気になるランナーは頭の片隅に置いておいてください。
出典は以下です。
繁田進「大衆ランナーのフルマラソン完走度に関する調査研究」「東京学芸大学紀要、第5部門。芸術、体育」(37巻、pp165ー173)
解説したグラフは男性の場合。ホノルルマラソンは初心者ランナーが多いマラソン大会、河口湖マラソンは上級者ランナーが多い大会。サブ4は月間走行距離100km、サブ3.5は180km、サブ3.15は280km、サブ3は300km、サブエガは350km、サブ2.5は440km※あくまで目安です※
・走行中のグリコーゲンと脂肪の燃焼効率
山地啓司「マラソンを走る・見る・学ぶQ&A100」大修館書店、2007
正しいマラソンとはどういうマラソンなのか?
著者たちはこう言い切ります。
イーブンペースこそが、好記録を期待できる唯一の作戦なのである
正しいマラソン。

それはつまり、がんばりすぎないマラソンです
その名も、「10kmの魔物」
10kmを過ぎたあたりから体が急に軽くなり、スピードを上げたくなる衝動がわき上がる状態のことです。

これは体が十分に温まって心臓も筋肉もうまく機能している状態
ここで、魔物に負けてスピードをアップしてしまうと、みなさんよくご存じの壁、30キロの壁にぶち当たってしまったり、最悪の場合は脚が痙攣して走行不能な状態になることもあります。
そうならないためにも、イーブンペースを守る。イーブンペースを守るために、もっと言えば、この10kmの魔物を飼いならすために、深呼吸を取り入れて、一旦落ち着かす。
著者たちはこのように指摘します。
フルマラソンの場合は最初の5km、ハーフマラソンの場合はスタートからの2kmまでを特に注意したい。速すぎるペースにならないようにするのはもちろんのこと、できるだけ有酸素運動になるよう、ときどき深呼吸をとり入れるなど、しっかり呼吸をしながら走ることが肝心である
深呼吸は、高ぶった精神を落ち着かせ、上半身をリラックスさせ、酸素を多く取り入れることが出来るため、疲労の蓄積を最小限に抑えることもできます。
マラソンのタイムを縮めたい、長く走り続けたい場合は深呼吸を取り入れ、イーブンペースを心掛けましょう。

それこそが正しいマラソンです
フルマラソンでの30キロの壁
さて、10kmの魔物を攻略すると次に現れるのは例の壁です。そう、30キロの壁。
ここに興味深いデータがあります。それがこのグラフです。
テーマは「30キロの壁を乗り越えるにはいかにグリコーゲンをセーブするか」です。
と言うのも、グリコーゲンは糖の一種で血糖値の維持に利用されます。この血糖値の低下によって、脳が「これ以上運動するな」という命令を出します。すると疲労感や精神的な辛さがきて、脚が止まってしまうのです。

よって、グリコーゲンセービングはマラソンを上手に走る上で戦術として機能します。
では、さきほどのデータをご覧ください。
このデータはグリコーゲンの体内貯蔵量とランニングスピードの関係を示したグラフです。

ここからわかること
それはグリコーゲンをセーブした分だけ後半のタイムが落ちない、つまり減速しづらい。さらに30キロ以降にその違いが顕著に現れるということ。

だからこそ、いかにグリコーゲンの消費を抑えるかがフルマラソンに重要になってくるのかがわかると思います
そのために必要なのが、グリコーゲンを多く使用してしまうような高強度レベル、言い換えればゼエハアする、ランニングを行わないことです。

そう、それこそ正しいマラソン、イーブンペースです
マラソンでのイーブンペース
イーブンペースとは、主観的な感覚として練習を積んだランナーなら「ほんの少しきついかな」、マラソン初心者では「まぁ、ラクだな」という感覚です。

これがグリコーゲンをセーブして、脂肪を燃焼して走る効率的な走りなのです
そんなタイムを縮める、長く走れる戦術。グリコーゲンセービング。なんとこのグリコーゲンをセーブする能力自体をトレーニングで鍛えることが出来ると様々な実験で証明されています。
おすすめマラソントレーニング【間引きトレーニング】
「週に5日、1日10km走り続ける」方法と、「週に2回しか走らないが、それぞれ20km、30km走る」方法とでは。

どうでしょうか?

では、答えです。科学的な答えとしては後者です。
毎日少しずつ走るより、一度により多くの距離を走る練習方法のほうが、持久力を高めるトレーニングとしては効果的であることが各種の実験で証明されています。
この考え方を運動生理学者の田中宏暁(たなかひろあき)教授は「間引きトレーニング」とも呼んでいます。
田中教授はこう指摘します。
フルマラソンにそなえてよりよいトレーニング効果を上げるためには、毎日同じ量のトレーニングをするよりも、1日おきに2日分のトレーニングをするような「間引きトレーニング」のほうが効果的です
その理由としては、一度に長い距離を走ったほうが、体内のグリコーゲンを使いきりやすいからです。
長時間の運動で体内のグリコーゲンを使い切ると、代わりにのエネルギーとして脂肪をつかわなければいけなくなります。グリコーゲンをたくさん使うトレーニングを普段からしていれば、脂肪を使いやすい身体に変わってきます。

低グリコーゲンの状態になれば、脂肪を燃やすエンジン性能が高まるということです
そう、これこそ、グリコーゲンセービングに他なりません。
この説は、マラソンだけでなく、ロードレース、自転車競技のトレーニングでも証明されています。
週に6日30分ずつ走るよりも、週に3日1時間ずつ走るほうが、より効果的だと言えるでしょう
体重を減らすランニングではなく、もしタイムを狙うランニングをしたいのなら、田中教授のこの言葉を思い出してください。
さらに走っているときに体の上下動が少ないほうが、効率的な走りになるためにゼエハアするランニングになりづらいです。
マラソンでのランニングエコノミー向上方法
ひとつは滞空時間を短くすることです。ただそうすると、ちょこちょことした走りになってしまいます。
しかし、実際に伝説のランナー瀬古利彦(せことしひこ)さんは1分間あたり200~210歩、猫ひろしさんは1分間あたり230歩という高速回転のピッチ走法だったりします。
ポイントとしては、
ということです。
これには、着地と同時に下腿を前傾させるのが有効だそうです。そうすることでスムーズにからだの真下に重心を落とすことが出来、ランニングエコノミーが向上します。

か、下腿を前傾させる??
動作だけを聞くと、よく理解出来ないと思いますが、何が言いたいかというと結論、「重心をいかにコントロールするか」です。
着地と同時に下腿を前傾させる動作、つまり重心を上手にコントロールするには「起伏に富んだ地形を走り、バリエーションに富んだトレーニングを継続して経験していくのが近道だろう」と著者たちは言っています。フォームを気にするのとは別に、様々な場所でスピードの強弱をつけて走ることが重要と言えそうです。
マラソンにおすすめ坂道トレーニング

最も効率的な練習方法はズバリ、坂道トレーニングです!
坂道トレーニングとは舗装された坂道を走りながら上り、そして下るというシンプルなトレーニングです。
著者たちはこの坂道トレーニングを「万能トレーニング」と呼んでいるほど効果的です。
また、このようにも言っています。
坂道を克服することで長距離走の疲労が軽減され、フィニッシュタイムものびるといっても過言ではないだろう
ここまで言う坂道トレーニングについて、詳しく知りたい方はこちらの動画で峠走として詳しく解説していますので、興味のある人は是非ともご覧ください。
坂道トレーニングのポイント
坂道トレーニングのワンポイントアドバイスとしては、上る際は腕振りを上手く使います。速く坂をのぼるにはそれ相応のエネルギーが必要となります。
そこで、腕を下に下げ、後ろ方向に大きく振る。そうすることで、鋭く力強い骨盤の動きが促され、着地エネルギーが大きくなり、効率良く上っていくことが出来ます。
さらにここでも、「深呼吸」を意識します。上り坂の手前、上り坂を走っている途中、上り切った後など、あらゆる場面で深呼吸を繰り返し、足りなくなった酸素を脚の筋肉へ供給することで上がった心拍数をコントロールしながら疲労軽減に繋げます。
マラソンでのラストスパートおすすめ方法

さて、ゴールが近づいてきました

ほとんどのランナーが力を振り絞り、気合で地面を強く蹴ろうとします
もし地面を強く蹴り、ストライドを伸ばすと筋肉のダメージが大きくなり、最後までもたない、スピードを維持できなくなり失速してしまう可能性が高くなります。だからこそ、正しいラストスパートのキーワードは、そう、先ほど坂道トレーニングでも出てきた「腕振り」です。
腕振りをじゃっかん速めるように意識すると失速しにくい
と著者たちは指摘しています。

これが正しいラストスパートです
まとめ
正しいマラソンとは、一言で言えばがんばりすぎない走り方のことです。
がんばらないために、あくまでイーブンペースを守る。そのために深呼吸をしたり、グリコーゲンをセーブしながら出来るだけ上下動が少なく、重心の真下に接地できる効率の良い走り方を習得します。とくに坂道トレーニングは万能トレーニングと呼ばれるほどおすすめのトレーニングです。
今回はあくまで自分の言葉で簡単にまとめただけなので、少しでも気になった方は本書をお取り下さい。
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