みなさんどうも、こんにちは!
僕は元帰宅部の本気【The VO2 MAX RUN】というYOUTUBEチャンネルでランニング・マラソン情報を発信をしている市民ランナーです。
以前に取り上げたこのトピック。
なぜジョギングだけでフルマラソン3時間切り(サブ3)を達成できるのか?
ジョギングだけでフルマラソン3時間切り、通称サブ3は達成できるのか?軽いランニングを続けるだけで、42.195kmを1km4分15秒ペースで押していける走力がつく。そんな奇跡にも近い神業。
今回はある意味その答えになるかもしれない「天性の資質」つまり、スポーツの才能について、この本、「スポーツ遺伝子は勝者を決めるか?アスリートの科学」から深ぼっていきたいと思います。
このブログを最後まで見ると、同じ練習量でパフォーマンスの差が出る謎や才能と努力はどちらがアスリートとして優位に働くのか?その答えがわかる。
最後には、超興味深いエピソードもご紹介するので是非、最後の最後までご覧ください。
目次
スポーツ遺伝子とナンシー・ティナリ
ナンシー・ティナリ。彼女はソウルオリンピックの10000mに出場したカナダの陸上選手です。
そんな彼女が競技をはじめたきっかけが、なんと体育の時間。体育教師によってその才能を見出されたのです。
しかも、驚くべきことにこの話は彼女が高校生の頃の話。
それまで一切、スポーツと無縁の生活を送り、トレーニングを全くしてこなかった彼女は体育の持久走で2マイル(約3.2km)を12分で走り切ったのです。つまりこれまでトレーニングゼロの運動未経験だった普通の女子高生が体育の時間に3km以上の距離を1キロ平均3分45秒ペースで走り抜いたことになります。
その後、彼女はすぐに陸上界で頭角を現し、国の代表選手となりオリンピックに出場、さらにはカナダのナショナルレコードホルダー、国内記録保持者にもなりました。
ランニングやスポーツの才能(遺伝子・DNA)は心臓に
この事例を目の当たりにしたヨーク大学の運動学教授ノーマン・グレッドヒル。
彼は同僚とともに彼女のような「天性の資質」というものの存在を探り始めます。
そして2年以上かけて1900人ものトロント市の消防士を志望している青年を対象にして調査を実施しました。
そして見つかった6人の天才たち。彼らは運動とは無縁の生活だったのにもかかわらず、最大酸素摂取量の平均値が同じくトレーニング経験のない他の若者より50%も高かったのです。
そしてさらに調べた結果、六人には一つの決定的な共通点があることがわかりました。
それが送血量です。つまり、心臓から体に送り出す血液の量がとんでもなかった。なんと六人の送血量は、持久力トレーニングを重ねたアスリートに匹敵するものだったのです。
まったく運動をしていなくても驚異的な持久力を発揮できる人間がこの世には存在する。
彼らがなぜそのようなパフォーマンスを発揮できるのか?
それこそ、心臓にその秘密が隠されており、驚異的な送血量、心臓が送り出す血液量がずば抜けて多かった。
「天性の資質」や「才能」と呼ばれるものの秘密の一端がこの研究から明らかになったのです。
ジョギングだけでマラソン3時間切り(サブ3)は達成できるのか?
そして重要なのが、その希少性です。1900人中たったの6人。
確率にしてなんと、約0.3%程度。
これがある意味、天才の確率なのかもしれません。
このジョギングだけでサブ3は達成できるのか?という動画のある意味一つの答え。
ジョギングだけでサブ3が達成できる確率はなんと0.3%
と言っても、2019年の東京マラソンでは完走者が35803人。かなり乱暴な確率論ですが、その中の内に約107人に天性の才能を持ったランナーが存在していたという計算になります。大規模な東京マラソンで107人の天才たち。
どうでしょうか?なかなか興味深くはないでしょうか?
ちなみにこの計算はあくまでエンタメなので、元となった研究の被験者が全員若い男性だけだった等その他いろいろと諸要素を考慮していないため、その点はつっこみなしでお願いします。より包括的な視点に立った考察はこちらの動画をご参考ください。
ランニングやジョギングに影響を与えるDNAとは【ジーンクエスト】
みなさんはスポーツ遺伝子・スポーツDNAと聞くと何を想像するでしょうか?
多くの方は生まれ持った才能という言葉が思い浮かぶと思います。
しかし、たとえば、こんな面白遺伝子も発見されています。
それが、膝やアキレス腱を痛めやすい遺伝子、つまり、ケガのリスクにかかわるとされる遺伝子です。
南アフリカのケープタウン大学の生物学者たちが発見したこの腱と靭帯を損傷しやすくさせる遺伝子(DNA)。その名もCOL1A1やCOL5A1。
この遺伝子は腱や靭帯の基礎・土台となる物質、コラーゲン線維をつくり出すタンパク質をコードする遺伝子・DNAです。
つまり、これらの遺伝子に問題が発生すれば、基礎となるコラーゲン線維がうまく作られなくなり、基礎が作られていない=耐久力が低い、ケガに繋がるリスクが高まるというロジックです。
コラーゲン遺伝子研究の責任者も務めたマルコム・コリンズ博士が見出したこと。
それは、
コラーゲン遺伝子に非常によく見られる変異が、アキレス腱断裂のようなひとりひとりのケガのリスクと、柔軟性に影響を及ぼしている
ということでした。
ちなみにこれまた面白いことも判明しており、ある種の変異型をもつ人々は身体がより硬くなることでランニングを行うのに有利に働く可能性があることも明らかになっています。
これは、より大きな弾性エネルギーを蓄えることのできる硬いアキレス腱がランニングエコノミーの向上と関連があると考えらているからです。身体が軟らかいよりは身体が硬い方がランニングエコノミーという観点から言うと有利に働く可能性があるのです。
が、しかし、その身体が硬くなる遺伝子変異は、アキレス腱損傷のリスクの増加にも関連しているので、硬い身体、つまり靭帯や腱が硬いことは諸刃の剣であるということも言えそうです。
そしてここからが現代の遺伝子研究の真骨頂で、実は多くのNFL、アメフト選手が、アキレス腱や膝の前十字靭帯の損傷を引き起こす可能性があるこれらの「損傷遺伝子」の検査を利用するようになってきているのです。
これによって、ケガの潜在的なリスクを把握することで、個人にとってより効果的なトレーニングが可能となる。
この本ではこのように指摘されています。
一人ひとりの人間の差異を理解すればするほど、練習だけでは不十分だということがわかってくる。最高のパフォーマンスを発揮するためにはそれぞれの才能に合った努力の道すじを見つけてくることが決定的に重要である。
この努力の道筋を示してくれるひとつのツールがケガのリスクを知る遺伝子検査(ジーンクエスト)であったりするのです。
ジーンクエスト(DNAを探る旅)で見つけるスポーツ遺伝子
では、本題であるスポーツの才能という生まれつきの能力について深ぼっていきたいと思います。
世界的に有名なコペンハーゲンスポーツ医学研究所の生理学者、イェスパー・アンデルセンはスポーツ選手のケガの特徴についてこう分析しています。
速筋線維が多い選手は、他の選手と同じようなきつい練習に実は耐えられません。そして、筋肉を急速に収縮できる「速筋」線維が多い選手は、たとえばハムストリングスを痛めることが多いのです。筋肉を瞬発的に収縮させられない選手はけがをしません。
みなさんもこのような言葉を聞いたことがあるかもしれません。
という悲しい言葉を。
アンデルセン博士はこう指摘します。
いつもけがをするならば、その選手に対して何か間違ったことをしているのでしょう。トレーニング方法を変えるのがよいと思います。足の速い選手を失ってはいけませんから。
ケガが頻発する原因は選手の筋線維の特徴を理解していないコーチや指導者が提示するトレーニングがそもそも間違っているから。つまり、防げた可能性があるケガのリスクを全く理解していないために起こった悲劇。
指導者にも原因があり、選手のせいだけではないということです。
なんと生まれつき速筋線維が多い選手は遅筋線維が多い選手と比べるとケガのリスク自体が高いというとても興味深い事実があるようなのです。逆を言えば、ケガをしにくい、身体が丈夫である選手の傾向としては遅筋線維が多いとも言えます。
そしてなんと、そんな瞬発力に優れた速筋線維が多い選手に共通するひとつの遺伝子・DNAが判明しています。
それがACTN3遺伝子のタイプです。
少しややこしいですが、かなり面白い話ですので詳細は、是非ともこの本を読んでもらうとして、簡単に説明すると、このACTN3遺伝子にはX型がひとつのタイプとX型がふたつのタイプが存在します。
オーストラリア国立スポーツ研究所(AIS)の研究から、世界クラスのトップスプリンターを検査した結果、X型をふたつ持っている選手が皆無だったのです。つまり、瞬発力で世界クラスのアスリートに必須な条件がACTN3遺伝子のX型をひとつだけ持つという特徴。
この事実が指し示すこと。
それがACTN3というDNAはスピードに影響を与える遺伝子であり、もしオリンピックや世界で通用する選手になりたければこのACTN3遺伝子のX型をふたつ持っていると残念ながら可能性はほぼゼロであるということ。
言葉を換えるとACTN3遺伝子のX型をひとつだけ持っていることが世界で通用する競技者としてほとんど必須であるということです。
ちなみにこれはあくまで瞬発力が必要な競技の話です。
と、ここまで聞くともし自分に才能がなければどうしよう?と思う方もいるかもしれません。
しかし安心してください。ここがこの遺伝子の発見に貢献した遺伝学者キャサリン・ノース博士の素晴らしいところ。
彼女はこう言っています。
まだ全体像は見えていませんが、今のところ、ACTN3遺伝子は短距離走に少しは影響を与えると考えられます。でもそういう遺伝子は何百もあるかもしれません。それにもちろん食事、環境、機会など、ほかにも考慮すべき要素はいくらでもありますから。
この言葉の真意。
人間は知っているものだけしか知りえないのです。この研究の数値の裏には、おびただしい知られていない遺伝子などの他の要因が複雑にからまっている可能性がある。
つまり、数値には現れない要因が決定的な要因であることも十分に考えられるのです。
よって、
研究やデータがすべてではない。研究やデータをそっくりそのまま鵜呑みにしてはいけない!人間は知っているものしか測れないのだから。
その事実をキャサリン・ノース博士は身に染みているからこそ、急いで結論を出すのを避けているのです。白か黒かをつけがちな現代において、研究者としてこの当たり前の姿勢こそが本当に素晴らしく、この本でのある意味大きな学びのひとつです。
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しかし、このスピードに関係するACTN3遺伝子の研究結果(ジーンクエスト)は真実ではないにしても事実ではあります。だからこそ、2005年、オーストラリアのナショナル・ラグビー・リーグのチームであるマンリー・シーイーグルスは、所属選手のACTN3遺伝子を検査し、その結果にしたがってトレーニング方法を変えていることを公式に認めました。
具体的には短距離ランナーに適した型のACTN3遺伝子・DNAを持つ選手には、瞬発力を鍛えるウエイトリフティングの練習を増やし、同時に有酸素運動を減らすというメニューを組み立てたりしているのです。
ここまで聞いて、実際に複数のプロチームでも用いられている遺伝子検査(ジーンクエスト)は思いのほか有用である気がすると思います。
と同時に、遺伝子検査(ジーンクエスト)とは才能を見抜く検査であると思う人も多いと思います。だからこそ、その道の専門家のこの言葉をお教えします。
将来、子どもの足が速くなるかどうがを知りたい人にとって、現時点における最高の遺伝子検査器はストップウォッチです。子どもを運動場に連れて行って、他の子と競争させてみるのが一番です。
この言葉、ウィスコンシン大学ラクロス校ヒューマンパフォーマンス研究室長を務め、あのACTN3遺伝子に関して複数の論文を共同執筆したカール・フォスター博士の言葉です。
スポーツ遺伝子を研究しているその道の専門家がおすすめする最高の遺伝子検査器、ジーンクエスト。それがストップウォッチである。
とても示唆深くはないでしょうか?
つまり、DNA検査、遺伝子検査はあくまで専門とする種目が決まったアスリートがケガの予防やそのトレーニングをアップデートする手段であり、どのスポーツが合っているかの才能を測るには実はそんなに有用ではないのかもしれません。
ちなみに順天堂大学のスポーツ医学研究者、福典之博士によれば、
このデータこそが遺伝子・DNA(才能)と環境の関係に近いと僕は考えています。
やや遺伝が優位ではあるが、ほとんど半分半分。つまりどちらも重要である。
この本ではこのようなありきたりな結論の裏にある死ぬほど面白い研究や専門家の話が詳細に載っているので、個人的にはスポーツ科学を取り扱たった本の中でベスト3には入る読んで損はないおすすめの本です。正直、この本が良すぎて、同じ著者、デイビッド・エプスタインの本「レンジ 知識の「幅」が最強の武器になる」というベストセラーもつい買ってしまったレベルです。
ちなみにこの著者デイビッド・エプスタインのTEDトークもとても素晴らしいので、是非ご覧ください。
驚異の680万回再生。字幕設定で日本語ONにしてみてください。内容はもちろんのこと、プレゼン能力もエグイ笑
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※文部科学省・厚生労働省・経済産業省「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」に基づき運営※
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口腔粘膜でスポーツ遺伝子を調べる【DNA EXERCISE】
COL1A1やCOL5A1は知れないので、何が知れて何が知れないのかはご自身で確認してみてください。
※注意※
これらの遺伝子情報はあくまで身長や体重のような基本的な情報に過ぎないので、絶対視はしないでください!身長が低くてもすごいアスリートや体重が重くともハイパフォーマンスを発揮するアスリートはたくさんいますので、「良い悪い」「センスがあるセンスがない」という判断基準にはなりえません。
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