みなさんどうも、こんにちは!
僕は元帰宅部の本気【The VO2 MAX RUN】というYOUTUBEチャンネルでランニング・マラソン情報を発信をしている市民ランナーです。
全てのスポーツに必須のあるもの。
それこそ、筋肉。
ランナーにも筋トレが効果的。なぜなら、ランニングエコノミーアップするから。
これは紛れもない事実であり、以下の興味深い視点から筋トレを扱った動画の中では触れるのを忘れてしまいましたが、こちらの研究。
オリンピック競技全般のタイムトライアル競技、Olympic time-based sports、この頭文字をとってOTBS。このOTBSとストレングストレーニング、いわゆる筋トレの関係性を探った、その名も
タイムを計測するオリンピック競技スポーツのパフォーンマンスにおけるストレングストレーニング(筋トレ)の効果:システマティックレビューとランダム比較化試験のメタ分析
この研究で指摘されているのがこんなもの。
高重量の筋トレは年齢やトレーニング期間に関係なく練習を積んだアスリートにとって最上級のインパクトを与える
つまり、エビデンスレベルの高い研究手法、メタ分析を使って様々な研究結果を統計的に解析した結果、やはりガッツリした筋トレはタイムを求めるオリンピック種目全般にとってやる価値はある。
年齢やトレーニング期間に関係なく。
より詳しく知りたい方はバネ走りを取り扱った動画か以下のブログで最新の研究から深ぼっています。
★【最新研究】長距離ランナーの異なるスピードでのランニングエコノミーに関するストレングストレーニングプログラムの効果★
興味がある方は、是非、知見を広げてみてください。
『タイムを計測するオリンピック競技スポーツのパフォーンマンスにおけるストレングストレーニング(筋トレ)の効果:システマティックレビューとランダム比較化試験のメタ分析』
Effects of Strength Training on Olympic Time-Based Sport Performance: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials
↓元論文↓
エビデンスレベルも高く、ランナーにも使える筋トレ研究で個人的に好きなもの。ちなみに「筋力強化の教科書」にこの話題は載っていませんので悪しからず(汗)。より深くランナーにとっての筋トレの話が知りたい方は上記の大腿四頭筋(アキレス腱)を取り扱ったバネ走りの動画、もしくはブログの動画の後半をご覧ください。目次から飛べます。
ということで、筋トレをすれば足が速くなる。もしかするとケガの予防にもつながるかもしれない。
本日は、その業界のガチの専門家3人の共著である東京大学から出版されたこちらの本。
筋力強化の教科書
この本から、できるだけランナー目線で筋トレを深ぼっていきたいと思います。
この動画を最後まで見れば、大学教授、医師、トレーナーの筋トレのエキスパートたちの知見が手に入る。ガッツリした本気のランナーだけでなく、健康志向のランナーにも使える知見もたくさん散りばめています。
あくまで、個人的に面白いと思った知識を共有するので、より詳しい話が知りたい方は是非、実際に本書を読んでみて下さい。
また、先程のOTBS研究、オリンピック競技と筋トレを調べた研究もそうですが全てのスポーツ、もっと言えば日常生活の根本にあるのも筋肉、筋力なので、是非、この機会にトレーニングのモチベーションを一緒に高めていきましょう!
目次
【筋力強化の教科書】なぜランナーに筋トレが必要なのか?
はじめにこの本から学んだ僕の考えを共有します。
それがこんなもの。
脚というエンジンの性能でスピードが語れるから
本書ではこう言われています。
極論すれば「筋力は速度そのものを生み出す」といえますp23
タイムを狙いに行くランナーに筋トレがおすすめされる最大の理由はこれなのかなと個人的にこの本を読んでいて思いました。
また、冒頭でも少し触れましたが、高重量の筋トレでランニングエコノミーも改善するようなので、この辺りの関係性も押さえておくと良いかもしれません。
ちなみに筋トレをすると、筋肉が肥大して走りの邪魔になるという考えをお持ちの指導者も多いと思いますが、是非、最新の知見にあたってください。
現在、筋トレはかなり研究されてきており、毎週のように新しい知識がアップデートされ続けています。もし専門家、プロを自認するのなら以下の知見が役に立つと思います。何を信じれば良いのか?どの情報にあたれば良いのか?を実際のスポーツ研究者の鋭い意見から深ぼった話です。
★【その研究って信頼できる!?】超名門大学UCLAの現役研究者が指摘する研究のヤバイ闇★
ということで、ひとつの事実としてこんなものがあります。
1~4RMのきわめて負荷強度の大きなトレーニングだけでは、筋肉を大きくする刺激が不十分のようである
また、最近の研究では、軽い重量を用いた素早い動きでも、極度に高回数行い疲労困憊まで追い込むと、速筋線維が使われて筋肉が大きくなることがわかってきています。
つまり、軽い負荷と多い回数の持久系トレーニングのようなものでも、筋肉が効果的に肥大するのです。
ちなみにこの考え方はランニングにも当てはまるようでテキサス州立大学の運動生理学者ピーター・スネル博士が発表した研究では、2時間近く継続される運動の場合、速筋もリクルートされている、つまり「刺激されている」とのこと。
↓以下のブログの中盤~後半を参照ください↓
テキサス州立大学の運動生理学者ピーター・スネル博士の研究「ロングランにおける速筋線維への影響」の話は以下の書籍p101を参照。
これがゆっくり長く走るトレーニングでも速くなれる、絶対的なスピードが落ちないひとつの根拠となっています。
このように軽い重さでも回数をこなしまくると筋肉肥大につながるかもしれないとも考えられたり、ガッツリ高負荷の筋トレでも回数設定などを工夫すれば筋肉の肥大は伴わない場合もあります。
最新の知見はこのようなやり方・アプローチに焦点を当てたものもあり、従来の固定観念から「筋トレ=ムキムキになる」とは一概に言えない場合もあるのです。ここをしっかりと理解した上で、個人個人のアスリート用に調整し、指導できる人がおそらく本物のプロだと僕は思います。
ちなみに個人的に面白いと思うのは、筋トレは代謝環境・酵素環境の理解が不可欠ということです。
★【ランニングが大切な理由】細胞生物学的視点は以下でも解説★
これらの軽い負荷での高回数や重い負荷の低回数で起こる筋肉のなぜはこの「代謝環境・酵素環境」で説明できそうだからです。このあたりの知識を深ぼりたい方は本書のp43、p45を参照。
細胞生物学的な視点はここから深ぼれます。タンパク質合成工場であるリボソーム増設機序である「mTORシグナル伝達系」と呼ばれる連続反応の話は興味深い!また、p44には「筋メモリー(マッスルメモリー)」に関する信頼性が高く面白い知見も含まれています。
概要欄にある目次から『【研究その3】マラソン後の上手くいかない筋グリコーゲン再合成は減少した筋肉中のGLUT-4によって引き起こされない』に飛んでください!医師でも説明してくれない!?マニアックな知見を解説しました!
【腰痛と回復】スピードを求めない健康志向のランナーにこそ筋トレがおすすめな理由
と聞くとこれはタイムを求めるガチランナーの話であり、健康指向のランナーは別に筋トレは必要ないのではないか?と思われるかもしれません。
が、スピードを求めない健康指向のランナーにこそ筋トレは実はおすすめなのです。
その理由は以下の2つ。
①腰痛予防になるから
②手術や病気からの回復が速くなるから
みなさんも一度はなったことがないでしょうか?
あの忌々しいぎっくり腰に。
筋トレをするおすすめ理由①腰痛予防
まず一つ目、腰痛予防になるから。
ちなみに筋トレによって筋肉をつけたとしてもこれらの腰痛は治りません。重要なのは、筋トレによって腰痛を予防するという考え方です。
まず下肢や骨盤周囲を強化して姿勢を正すことで、腰痛がなくなる
というのが親切な説明とのこと。
実は筋トレの先には良い姿勢というものがあるのです。
なぜ筋トレやストレッチをするのか?
その真の目的こそが良い姿勢を獲得・維持するため。
ランニングもそうですが、筋トレでもフォームが何よりも大切になってきます。フォームが崩れると元も子もない。その根本の考え方にも実はアプローチできるのです。
最も重要となるのは
よい姿勢のイメージをつくる
このイメージが崩れているために、必要異常に腰を反らせたり、逆に丸まったり、捻じれたりすることがある。姿勢のアンバランスを直すために筋トレ、腹筋や股関節周りのストレッチを行う。
筋トレやストレッチはあくまで腰痛を予防する手段であり、ゴールこそが良い姿勢、猫背ではなくピンと背筋を伸ばしたバランスのとれた綺麗な姿勢にある。
そしてそれが怪我を防ぐ、綺麗なランニングフォームにもつながる。まわりまわって楽しく長くランニングを続けることが出来、タイムも向上していく。よって、健康指向のランナーにこそ、おすすめなのです。
あくまで良い姿勢を獲得する一つの手段として。
筋トレをするおすすめ理由②手術や病気からの回復が速くなる
そして二つ目、手術や病気からの回復が速くなるから。
これはそのままで、日頃から運動している人は術後の回復が早く、リハビリがスムーズに進みやすい傾向があるからです。
日頃から筋トレを含め体を動かす習慣を持っていると、手術した直後の早い段階から筋肉の収縮を上手に調節できるようになります。手術直後では、この脳と筋肉の回路が上手く調節できない。言い換えると混線状態。このこんがらがった脳と筋肉の回路を手術前の状態に戻すこと。
これがみなさんが行うリハビリの目的のひとつ。
だからこそ、リハビリは早期から行われるのです。早ければ早いほどスムーズに脳と筋肉の回路を繋ぎ直せる。
ここに筋トレなどの運動習慣が関わってくるのです。これが回復が早くなると言われる理由だったりします。
また、筋トレの習慣があれば、トレーニング後の疲労を回復させることに慣れているので、代謝が高くホルモンの分泌も豊富。このおかげで手術を受けた場合でも組織の修復や再合成が促進されやすいとも考えられています。
というような、かなり現実的な観点から言っても、筋トレはおすすめされるのです。
健康はお金では買えませんが、あなたが行う筋トレやランニングによって、このような目には見えない健康の貯金が実は貯まっていたりします。そして、本当に危険なときに保険のようにガッツリとお金が下りるようなイメージでその恩恵を受け取れる。結果、日常生活に早く復帰することが出来る。
このようなイメージでトレーニングを楽しむのが健康指向ランナーにはおすすめだと僕は思います。
貯金が好きな方は是非、トレーニングの記録をつけてみてください。目には見えない健康貯金が貯まっていくのを実感でき、ひとつのモチベーションとしていざとなったときに人生を助けてくれるかもしれません。
【ランニングと胸郭出口症候群】スマホを辞めれば足が速くなる!?
では、この本の中で面白いと思ったひとつの話を共有します。今からの話はガチのランナーにも健康志向のランナーにもかなり示唆に富む話だと思います。
いきなりですが、みなさんも持っているスマートフォン。このスマホの恐ろしさはこちらのベストセラー「スマホ脳」でも取り上げられた認知機能の低下だけでは実はないようなのです。
なんとスマホの普及とともに高校球児の肘の痛みや肩の痛みが増えたと指摘されているのです。
故障や痛み、違和感が実はスマホに起因しているかもしれない。
それは一体なぜなのか?
なんとその最大の理由が、胸を張る動作ができなくなったから。
胸を張れないと肘下がりの状態で投球するようになるので、肘に負担がかかり、特に肘の内側を通る神経が引っ張られることで痛みや違和感を引き起こす。
このような状態を医学用語で「胸郭出口症候群」と呼びます。
気になる方はネットなどで調べてみてください。
驚くことに高校球児では胸郭出口症候群に伴う痛み、専門用語で尺骨神経障害が著しく増えているとのこと。
ちなみにこの手の痺れや痛みを引き起こす胸郭出口症候群は一般の人も結構なる人が多く、それこそ、スマホ首と呼ばれるストレートネック。
スマホばかり見ているとなってしまう長時間のうつむき加減や猫背で起こる背骨のバランスが崩れた状態。これによって、頭を支えるために働く首・肩・胸の筋肉が過剰に緊張し、その筋肉の間を通る神経の束が圧迫されることで、肘や腕、手に違和感や痛みが現れる。
それに加え、猫背の姿勢では腰痛につながる可能性もあります。
背骨が前方に湾曲する。つまり猫背になると、曲がった部分の腰椎の椎間板の前面に過度の負担がかかり、この構造を維持するために無理が生じ、これが腰痛の原因になるかもしれないとのこと。
ある種の現代病とも言えるこのスマホ首、ストレートネックが高校球児に広がることで、肘や肩の故障リスクがあがる。もしくは年代を問わず、腰痛の潜在的なリスクになる可能性もあるのです。
ほんの数十年前には存在していなかったスマホがもたらす怪我のリスク。
実はパフォーマンス低下の要因はこんなところにあるのかもしれないのです。
ちなみに対処法はズバリ、スマホを見れない環境を作る。
賛否両論はあると思いますが、スマホの使用を制限したり禁止したりするチームも出てきているとのこと。が、もし制限や禁止するにしてもしっかりと「なぜそうするのか?」という目的を丁寧に説明し、納得してもらうというプロセスは必ず踏んでください。
それ以外のもうひとつの簡単な対処法は以下で補足しておきます。
スマホ首(ストレートネック)を防ぐその他の方法
・もし長時間スマホを使いたいときは「従重力位」を意識する。つまり、寝ながらスマホを使う。仰向けになったり横向きになったりと姿勢をコロコロ変えながらスマホを使う。ストレートネックの姿勢の悪さの原因が重力(抗重力位)だと考えると、従重力位と呼ばれる重力に抵抗しない環境でのスマホ操作がおすすめ!?
・スマホの危険性を認識する(←これが一番納得して、使わなくなる方法論!?)
>>【2021年最も売れた本】スマホ脳
また、マッサージや軽い負荷での筋トレ、ストレッチ、ダンスなども回復を早めるとのこと。
ランナーになじみ深いアクティブレスト。このアクティブレストを上半身中心に行う。
そして、この知見は別に高校球児だけには当てはまらないと僕は考えています。
なぜなら、現代の全ての競技者がスマホを使いまくっているから。
これは怪我とスマホ使用時間などの観点から統計を取れば面白いかもしれませんが、もちろん我々一般ランナーにも当てはまると思います。
みなさんも今現在、このブログをスマホで見てはいないでしょうか?
つまり、今あなたの首はバランスが崩れた状態で過緊張しているかもしれないのです。
ランニングでは上半身と下半身の連動は必須。上半身のバランスが崩れると、腕振りや上体のコントロール精度が落ちてしまう。
というかそもそも姿勢自体が崩れることで、ランニングフォームの根本が崩れているかもしれない。そしてその原因のひとつがまさかの最近現れた文明の利器であるスマホかもしれない。
ランニングフォームの改善はこのような生活習慣の改善から行っていかなければならなく、小手先ではない示唆深い知見がこの高校球児に急速に広がる「胸郭出口症候群」に見て取れるように僕は思いました。
また、この本にはこのような素晴らしいことも書かれています。
よい姿勢が身につくと、身長が1,2cm高くなったり、スポーツのパフォーマンスが上がったりすることもあります(p166~167)
筋トレと腰痛・ぎっくり腰の話を思い出してください。このように良い姿勢というのは改めて言うのも憚れるくらいランニングを含む全てのスポーツ、いや日常生活にとって最も大切。
仮に「スポーツのパフォーマンスがなぜか悪くなっている」というデータが出てきたときに何人の専門家やアスリート自身がこのような現代の特有の文脈「スマホ」を理解した上で、解決策を考え出せるのか?
このような視点を持つことで、怪我のリスクを減らしたり、より素晴らしい成績を残せるようになるのかもしれません。
ちなみに僕はこの本を読むまでこのような知見は全く意識していなかったので、ある意味衝撃的でした。知識とはやはりこのように誰かを気遣ったり、新しい視野を広げるひとつの道具。もしよりパフォーマンスをアップさせたいと願うアスリートや指導者はもっとも根本にある生活習慣に焦点を当てるのが実は近道なのかもしれません。
今回はあくまで自分の言葉で簡単に切り取っただけなので、少しでも気になった方は是非、本書をお取りください。
【マラソンの謎】東大教授が投げかけた面白いランニングの疑問に答えてみました
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