書籍要約・書籍解説動画の著作権についてと収益受け取り(広告)についてのコメントが多いので、ここで改めて解説します。
最初にお伝えします。
僕は出版業界、特に活字のスポーツ関連書籍の分野を少しでも盛り上げたいと思ってます。
また、YOUTUBE収益は寄付しています。収益の寄付報告はコミュニティー欄やブログに載せています。
僕はあくまで自分で調べた範囲で問題ないと判断して活動していますが、著作者や出版社から申し立てがあれば、適宜対応します。
これを聞いて、動画投稿(書籍要約)の違法性や収益の受け取り(広告)についていろいろと思うことがある人は目次から「収益の受け取りに関して」と「FAQ」をお読みください。
僕の回答はそこに書いています。
結論としては要約・解説とはあくまで自分の言葉でかみ砕くこと。完全にパクることとは別物です。だからこそ引用という解釈です(完全にパクることはアウトです)。
目次
著作権に対する個人的解釈としては
あくまで、現時点での話をしていますので、法律改正や著作者・著作権所有者からの申し立てがあれば、適宜対応します。
連絡先:ex.kitakubu.runner@gmail.com
では、なぜそう考えるのかを説明していきます。
著作権法上での自由利用とは?
著作権法では、一定の場合に、著作権を制限して著作物を自由に利用することができることを定めています。
自由に使える場合の例
・私的使用のための複製(著作権法第30条)
・付随対象著作物の利用(著作権法第30条の2)
・検討の過程における利用(著作権法第30条の3)
・著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用(著作権法第30条の4)
・図書館等における複製(著作権法第31条)
・引用(著作権法第32条)
など
引用(著作権法第32条)とは
著作権法第32条1項
公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上、正当な範囲で行われるものでなければならない。
引用と認められる4条件
- 主従関係
- 明瞭区別性
- 必然性
- 出所の明示性
〇主従関係とは
「自分の文章がメイン、引用部分はサブ」ということです。
要約は自分の文章でわかりやすくまとめたものであり、一言一句同じ文脈を使用している場合は引用とみなし、その割合は自分の文章(自分の言葉で要約した文章)のほうが多くなっている。
以上から主従関係の要件を満たしていると考えます。
〇明瞭区別性とは
「自分の文章と引用した文章がはっきりと区別できること」
つまり、括弧でくくったり、引用部分を太文字や色を変えるなど、引用であることを明示すること。
要約では吹き出しやフォント調整を行い、引用であることを明確に分けて動画を作成している。
よって明瞭区別性の要件は満たしていると考えます。
〇必然性とは
「文章の流れ上、他人の著作物を使う必要がある」こと。
重要なのが、「自然な流れで引用部分が紹介されているか」です。
自然な流れで文章が引用されていれば、「必然性がある」と認められます。
書籍の要約という特性上、必要性があり、尚且つ、要約において自然な流れは必須なので、必然性の要件を満たしていると考えます。
〇出所の明示性とは
「どの書籍から引用してきたのか、はっきりと示す」ことです。
概要欄や動画内にて出所は示しています。よって出所の明示性の要件を満たしていると考えます。
以上、引用に必要な要件
- 主従関係
- 明瞭区別性
- 必然性
- 出所の明示性
を満たしていると考えます。
要約とはあくまで自分の言葉でかみ砕くこと。完全にパクることとは別物です。だからこそ引用という解釈です(完全にパクることはアウトです)。
よって、法律上、書籍の解説・要約動画自体に違法性はなく、あくまで引用であると考えます。
その証左として、現在様々な書籍解説・要約YOUTUBER(顔出し・顔出しなし含め)が登場して活動しています。
特にサラタメさん(サラリーマンYOUTUBER)【登録者数30万人以上】という方は、弁護士監修のもと書籍解説・要約動画を投稿しているので、著作権的にはクリアになっていると考えています。
収益受け取りに関して
収益受け取りと著作権自体は全くの別問題ですので、混同せずに切り離し、お考え下さい。
良く寄せられるコメントとして、著作権違反だ!広告をつけるな!無償で公開すべきだ!企業の売り上げを低下させる!著者に失礼だ!が上げられます。
広告を付ける付けない関係なく、著作権を違反している場合はどのような場合でもアウトです。
その理由は
・違法性がない
・「今、一番自分が納得できる行動をおこす」という信念がある(収益を寄付)
※企業の売り上げ等に関しての回答はFAQを参照ください※
書籍の要約動画は引用(著作権法第32条)の四要件を満たしており、現時点ではセーフであることはご理解いただけたと思います。
僕は収益を寄付する方針ですので、YOUTUBE収益はちゃんと受け取り、本当に必要な人に再分配すべきだと思って活動しています。※寄付報告はコミュニティー欄やブログに掲載しています。
これが僕が出来る、せめてもの社会貢献です。
この自己満足こそ、動画作りのモチベーションに繋がっています。
批判は甘んじて受け入れます。
実際に活字のスポーツ関連書籍を購入したり、寄付などの活動を行った方の批判であるならですが。それ以外は受け入れません。
そして出来れば、ご自身でわかりやすく要約してみてください。
要約というものが作品をパクるものとは別物であることが理解できると思います。
FAQ(コメントでよく来る質問)
Q.著作権違反ではないのか?
A.著作権違反ではなく、引用(著作権法第32条)にあたる。
引用(著作権法第32条)の条件である四要件を満たしているため、違法性はないと考える。詳しくは上記を参照。
Q.要約を読むことで本を購入せずに、著作者や出版社に不利益を与えるのではないか?
A.不利益を与えるほどの影響はないと考える。
ここで言う不利益とは、購入部数の低下(売上の低下)や悪印象の定着を意味するものとする。
不利益を与えない理由としては、以下三点。
二点目、書籍を簡略に要約したにすぎず、あくまで引用の域を出ない
三点目、著者や出版社に悪印象を与えないわかりやすい要約を目指している
〇書籍自体の認知度の低さ
書籍の購入に至るには、存在の認知が必須となる。
仮に書店等に置いていない場合は、本書の存在自体を知る由がないため、購入に至らないことは容易に想像につく。
必要な認知や宣伝が少ないため、そもそもこのような本が存在していたこと自体を知っている人間が少なく、購入部数の低下に直接的に影響するとは考えづらい。
また私が紹介する書籍は書店で取り扱っていないものも多々あり、要約を提供することで、興味を引き付け、本の認知・宣伝という形で、購入に繋げることが可能となる考える。
このことからも、購入部数の低下(売上の低下)に与える影響は少ないと考える。
【万が一を想定し、不利益のリスクを排除するため、動画内や概要に購入を呼び掛ける文言や購入ページを設けている】
〇書籍を簡略に要約したにすぎず、あくまで引用の域を出ない
書籍の内容を10分程度で網羅することは不可能であり、あくまで、要約でしかない。もし要約で全てを理解できると考えているのならば、一度、書籍を手に取り、実際に読んでみることをおすすめする。
要約があくまで引用の域を出ないことが理解出来ると考える。
よって、内容の複製ではなく、あくまで引用であるため、購入意欲を削ぐ程度ではなく、直接的な購入部数低下(売上の低下)との因果関係にはなりづらいと考える。
【万が一を想定し、不利益のリスクを排除するため、動画内や概要に購入を呼び掛ける文言や購入ページを設けている】
〇著者や出版社に悪印象を与えないわかりやすい要約を目指す
視聴者に不快にとらえられる表現等は使用せず、出来るだけわかりやすい言葉で表現する。
以上から、著者や出版社に悪印象を与えないように配慮を続けていく。
Q.広告を付けることは、著者に失礼ではないのか?
A.失礼に当たらないと考える。
たとえば、ランニングシューズのレビュー動画を出し、そこに広告を載せれば、シューズ業界に失礼なのか?設計者に失礼なのか?
決めるのはあくまで著者や関係者であり、当人からの申し立てがあれば対応する。
※以上はあくまで一個人の見解ですので、その点ご理解ください※
追記:本音
書籍要約動画は正直グレーゾーンです。
ちなみに、時どき見かける全文朗読動画は完全に著作権違反なので、絶対にしてはいけません!
だからこそ、そこで発生したお金も適切に分配しないといけません。
音楽がまさにそうですよね。
今後は書籍版のライセンス等も出現してくる可能性は考えられます。
よくチャンネル概要欄に書籍解説の正当性を遜りながら書いているYOTUBER(そう、僕です笑)もいますが、はっきり言って、あれは自己正当化するための言い訳です。
グレーなことをしていると自覚しているからこその予防線です。
言い訳自体が良いか悪いかの話をしているのではありません。
お金が発生しているという事実(利権)とその分配が適正に行われているかの観点で争ったならば、そんな言い訳こそグレーなことを行っているという証左になりえるということです。
僕が交渉担当であるなら、少なくとも相手の罪悪感を突っ込んで、罪悪感を恐怖心に変える手法を取ります。
すると相手の思考や行動を奪えます。
罪悪感を恐怖心に変えるとはいわゆる脅しではありません。
優位性を確立するための道具です。
あくまで、罪悪感を共通認識として話題に上げることで、今後起こりうる不安をありありと想起させる。
リアリティを伴ったデタラメを言いまくる。
通常ならば、そんなデタラメやはったりを信じることが出来ませんが、優位性が確立してあれば、適切なものの見方は出来なくなります。
これが影響力の武器という多くのビジネス系YOUTUBERや書籍紹介で取り上げているベストセラーから得た知識です。
知識の使い方、学びはいかに身近に置き換えるかです。
サイコパスのような発言ですが、罪悪感を持っている時点で負け決定なんです。※だからこそ罪悪感を持たないサイコパスのような人は無敵と呼ばれます。
というか事実ベースで話すと、もし出版元や権利者から訴えられると負けます。
普通に考えたら、勝てる要素がありません。お金が発生していなければ別ですが。
すべての優位性は相手方(企業や権利者)にあるので、自分に出来る(もしくは弁護士に出来る)ことは慰謝料や損害賠償等の減額くらいです。
だからこそ、僕は企業側が訴えるメリットで得られる金銭的インセンティブを排除したチャンネル運営方法を採用しました。
簡単に言えば、訴えても得られる金額が訴える費用に釣り合わない。
だからお金と時間をかけても得られるものはほとんどない状態をつくることです。
すると、「訴える」というインセンティブは低く抑えることが出来ます。
そういうチャンネル運営の合理性の面でも収益を寄付し、紹介書籍の販売促進を意図的にしています。
僕の書籍紹介動画は趣味であり、副業ではありません。あくまでアウトプットをする場所・社会起業(僕の考えた仮説と検証)を行う場所としてYOUTUBEを活用しています。
私たち(企業側)が勝つ算段が立ち、労力以上の多くの金額(慰謝料や損害賠償)を得られるなら、そんな美味しい手はない!
少なくとも僕が弁護士なら、これは合理的な帰結であり、選択肢のひとつとして提示します。弁護士介入での減額も考慮に入れて、その基準に達しているYOUTUBERがいるかわかりませんが。
抜け道があるとすれば、業界とのコネクションくらいだと思います。もしくは無敵な人になって、訳のわからないことを言いまくり、関わりたくないと思わせるか(多分一番合理的)笑。
これが社会の仕組みです。
ファスト映画問題(著作権侵害)について
ついに逮捕者が出たファスト映画。著作権についての境界線がより鮮明になり、書籍解説動画もアウトだろうと豪語する人も出ていたと思います。
ファスト映画がアウトなら、書籍動画も著作権違反で逮捕されるのでは?
答えはNOです!
なんとファスト映画問題のおかげで書籍解説動画は限りなく白に近いグレーになりました。
影響力のある公益社団法人「日本漫画家協会」の常務理事である赤松健氏はこう発言しています。
以下は画像の引用です。
堂々とこのようにおっしゃているので、これは最悪、裁判になった際に有効な証言となり得ます。
という訳で、ファスト映画問題のおかげで書籍解説・書籍要約動画は限りなく白に近いグレーとなったというのが現状の認識としては正しいと思います。
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