みなさんどうも、こんにちは!
僕は元帰宅部の本気【The VO2 MAX RUN】というYOUTUBEチャンネルでランニング・マラソン情報を発信をしている市民ランナーです。
さて、みなさんは本気で走る、もしくはがんばって走っているときはどうなっているでしょうか?
もちろんこうなっていると思います。息が切れ、ゼエゼエハアハアと呼吸をしている。
当たり前です。
では、そもそも、なぜこんなにも呼吸が荒くなってしまうのでしょうか?
専門家も含め、多くの方はきっとこう答えると思います。それは
酸素を多く取り入れるため
だと。
身体が酸素不足に陥っているからこそ、激しく呼吸をするのだと。有酸素運動という言葉通り、運動には酸素が必須なのだからと。
実はそうではありません。その本来の目的は、水素イオンを取り除くためです。
激しい運動を行うとみんさんご存じ、乳酸が溜まります。この乳酸は細胞から滲みだし、最終的には血液へと入っていきます。この乳酸が細胞へ滲みだす過程で水素イオンという物質を放出します。
この水素イオンというのが曲者なのです。
運動の邪魔をする犯人は、実は乳酸ではなく、この乳酸が生み出した水素イオンです。水素イオンが蓄積すると、筋肉を取り巻く環境は酸性に傾きます。これが高強度の運動時、つらい運動の時に経験する、焼けつくような感覚と激しい呼吸の原因となるのです。
つまり、ゼエハアする呼吸は酸素不足を補うためではなく、二酸化炭素を吐き出し、酸性に傾いた血液を正常に戻そうという働きなのです。
これが運動と呼吸の本当の関係性!
ということで本日はランニングを含め全てのスポーツに欠かせない呼吸について、僕が今年読んだ本の中でベスト3に入るくらい超がつくほど面白い一冊。
イギリス王立協会ベストサイエンスブック最終候補、全米ジャーナリストベストノンフィクションブックなど、数々のタイトルを獲得し、全米で77万部以上売れている超ベストセラー。
ジェームズ・ネスターが書いたこの本。「BREATH 呼吸の科学」から、誰もが知らない驚くべき呼吸の真実を持久走・運動という視点で紐解きたいと思います。この動画の前半では伝説のランナーを取り上げ、後半では、あの大ヒットした人気漫画、鬼滅の刃の呼吸法が実はチベットの山奥に存在していたという驚愕の事実もお話します。
この動画をブログまで見ると、パフォーマンスの根底にある呼吸の価値観が180度変わる。是非、さいごまでご覧ください。
目次
オリンピック陸上競技で史上初の三冠「人間機関車」エミール・ザトペック
ここにいるふたりのレジェンドランナー。ひとりはまさしく数々の記録を打ち立てた本物の伝説的ランナー。
そして、もうひとりはある意味でランニング界の常識を覆した伝説の市民ランナーです。
往年の最強ランナーとは誰か?そう問われるとまっさきに思い浮かぶ伝説のランナーが彼。
↓エミール・ザトペック↓
通称、「人間機関車」と呼ばれ、1952年のヘルシンキオリンピックでは、5000mと10000mで金メダルを獲得し、その成功の直後、それまでトレーニングしたこともなければ、走ったこともない種目だったフルマラソンに出場。結果は堂々の金メダル。
オリンピック史上これからも現れないであろう5000m、10000m、フルマラソンの三冠を達成した最強ランナー。
それがエミール・ザトペック選手
そして今では常識とされる練習方法。あのインターバルトレーニングの概念自体を作った張本人でもあります。
【足が速くなり持久力がアップする】エミールザトペックが開発した呼吸制限トレーニング
そんな彼の成功の秘密。実はそれは彼が独自に開発した呼吸トレーニングにあるのかもしれません。
彼が独自に開発したのが、こんなトレーニング方法です。
当時のオハイオ州立大学陸上コーチ、ラリー・スナイダーはそんな彼を見てこう言っています。
やることなすこと間違っていたが、彼は勝利したのです
このようにその方法は広く嘲笑の的となっていましたが、彼は批判的な人々を相手にせず、オリンピックでの三冠をつかみました。
彼の苦悶に満ちた顔、食いしばった歯と強くとじられた目は実はこのようなぶっ飛んだトレーニングに支えられていたのです。
そして、彼のこの呼吸を制限する独自のトレーニング方法は「あまりにも辛すぎるため」誰も追従せず、陸上界から姿を消しました。
が、しかし、数十年後の1970年代に米国代表の水泳コーチ、ジェイムズ・カウンシルマンがこれを再発見します。
もし近くに本気で水泳をしている人がいるのなら、一度こう聞いてみてください。
現在でも競泳の世界で使われるトレーニング方法にハイポトレーニングというものが存在します。通称、ハイポ。
このハイポと略されるトレーニングの正式名称は「ハイポベンチレーショントレーニング、ハイポキシックトレーニング」日本語では低換気トレーニングです。
このハイポトレーニング、低換気トレーニングとは泳いでいる時に呼吸数を減らすトレーニングです。
たとえば、通常なら2~3回腕を回すと、1回呼吸するところを、8回や9回腕を回してから1回呼吸をするというシンプルできついトレーニング方法です。
ハイポ5なら「5ストローク目で1回呼吸をする」みたいにハイポという言葉の後に数字をつけて表すこともあります。
エミール・ザトペックの快挙から数十年後、カウンシルマンはこれを用いて米国男子競泳チームをモントリオール・オリンピックに向けてトレーニング。
その結果、チームは13個の金、14個の銀、7個の銅を獲得し、11種目で世界記録を打ち立て、米国オリンピック競泳チームによる歴代最高の成績を達成しました。
このトレーニングの最大の恩恵について、この本ではこう指摘されています。
標高6500フィート(1981m)での高地トレーニングと同様の効果が、海抜0mでもどこでも活用できる
高地トレーニングという考え方がそこまでメジャーではないときに、アメリカの代表チームだけが疑似的な高地トレーニングを行っていたからと言えそうです。
とここまで、聞くとある程度のスポーツ科学の知識を持っている方であれば、こう耳にしたと思います。
その話は否定されたのではないのかと。
実際に低換気トレーニング、ハイポは1980年代と1990年代に複数の研究で運動能力や持久力にほとんど、またはまったく影響しないと報告され、一度、水泳界から消えかけました。
が、ここからがスポーツ科学の醍醐味で、2000年代前半、パリ第13大学のフランス人生理学者、グザヴィエ・ヴォーロン博士がこうした研究の欠点を見つけました。なんと、低換気トレーニング・ハイポトレーニングに批判的な研究者たちは測定の仕方を間違えていたことを発見したのです。
ヴォーロン博士は各実験をやり直した結果、呼吸を減らすことには大きな利点があったと改めて報告しました。
アスリートが呼吸制限トレーニングを数週間つづけた場合、筋肉が乳酸蓄積への耐性を増し、体は長く厳しい無酸素状態下でより多くのエネルギーを引き出せるようになり、結果として、より激しく、より長くトレーニングできることを報告したのです。
さらに、ほかの研究報告から、呼吸制限トレーニングは赤血球を増加させるため、アスリートは呼吸ごとに運ぶ酸素が増え、生み出すエネルギーも増大することが示されました。
近年では、また陸上界に呼吸制限トレーニングが再発見され、400mのスプリンター、ジャマイカ系アメリカ人のサーニャ・リチャーズ=ロスが一種の呼吸制限トレーニング、ブテイコ式呼吸法を使い、オリンピックにおいて三大会で金メダルを獲得し、10年間にわたって世界ランキング1位の座を守り抜くという快挙も達成しています。
近日、このブテイコ式呼吸法を取り扱った本「トップアスリートが実践 人生が変わる最高の呼吸法 The Oxygen Advantage」の解説動画・解説ブログを作るつもりなので、そちらで具体的なノウハウをお伝えする予定です。
気になる方はチャンネル登録・ブックマークをしてもう少しお待ちください。
このように呼吸を制限することで得られる効果についてこの本では、
長年のあいだに、この方式の呼吸制限はさまざまな名前を与えられてきた。それでも、成果は変わらない。運動パフォーマンスの大幅な向上だ。それもエリートアスリートだけでなく、万人の
と指摘されています。
出来るか出来ないかはおいておいて、エミール・ザトペックが開発した呼吸を制限するトレーニング方法は実は効果的である可能性が高いというのが現在の答えのようです。
持久力アップの鍵は呼吸にあり!?伝説の市民ランナーヴィムホフの偉業
では、もう一人の伝説的なランナー。それが彼。
オランダ出身のヴィム・ホフという名前の中年の市民ランナーです。ちなみに彼の職業は郵便配達員です(でした)。
彼はどこにでもいる普通のおじさんですが、なんと10年間で26の世界記録を破った張本人なのです。
彼が破った記録とは、北極圏や砂漠など苛酷な環境での挑戦。
たとえば、北極圏の雪のなか、シャツも靴も身に着けずにはハーフマラソンを走ったり、気温が40℃に達したナミブ砂漠で、一滴の水も飲まずにフルマラソンを走り切ったりなどです。
なぜそんなことが出来るのか?
実はここにも呼吸が大きく関係しています。
持久力、免疫力すべてを向上させる伝説の呼吸方法「ツンモ」
それが「ツンモ」と呼ばれるチベットで1000年以上前から修行僧の間で継承されている秘密の呼吸法です。
このツンモと呼ばれる呼吸法。もしこのツンモを習得すれば、
幸福感、健康、暖かさを保ちながら、1日19時間、約5000mを超える氷点下の高地を食べ物も水も摂らずに歩くことができる
または、
冬のあいだ僧侶たちは1枚の服しか身に着けず、昼は極寒の石づくりの寺院で体を温め、夜は雪の上に裸で横たわり体のまわりの雪を溶かすことができる
なんとも胡散臭い呼吸法であり、なんとも非科学的で信じられない言い伝え、荒唐無稽の伝説上の話のはずでした。
が、しかし、ハーバード大学メディカルスクールのハーバート・ベンソン博士らが書いた一本の論文。
このツンモに科学のメスを入れた研究がなんとそんな突拍子もない非科学的な現象を裏付けたのです。よって、1981年、世界で最も信頼のおける科学雑誌、ネイチャーにその研究が掲載されるにまで至りました。
そうなのです。ツンモは確かに想像を遥かに超えるような不思議な現象を起こす力を秘めていたのです。
↓実際のネイチャーの論文はこちらです↓
ヴィム・ホフが医学の教科書にある原則をつぎつぎ破ったことで、科学者は注目せざるをえなくなった
そう語ったのはスタンフォード大学の神経生物学教授、アンドルー・ヒューバーマン博士です。
だからこそ、こんなぶっ飛んだ実験が行われました。それがヴィム・ホフ自身と彼の呼吸法を実践したグループとそうでないグループを対象に、エンドトキシンという毒素を注射するという実験です。
その結果、ツンモを行ったヴィム・ホフと彼から呼吸法を学んだグループはなんと、このエンドトキシンの毒素の影響をほとんど受けないという驚愕の実験結果が得られたのです。
この結果が意味すること。それは
だからこそ、普通の人間なら耐えられない極寒やその逆の灼熱においてもその能力を遺憾なく発揮し、ヴィムは世界記録を次々と打ち破った。
これがカラクリなのです。
あの大ヒットした漫画、鬼滅の刃での「全集中の呼吸、日の呼吸」
あの漫画にある呼吸法はなんと信じられないことにこの世にちゃんと存在していたのです。
チベット語で「内なる炎」ツンモという呼び名で
よって、現在ではアメリカの特殊部隊、ネイビーシールズなどが極秘任務の前にツンモ式の呼吸を使ってゾーンに入るなど、実用性がある手段として活用されていたりします。
このツンモのやり方は簡単に言えば激しく呼吸をする過換気トレーニングと低体温状態に体をもっていくというふたつで構成されています。正直、習得に時間がかかること、スポーツへの適応性、再現性がよくわからないので詳しい方法論とその不可思議な現象が起こる機序、いわゆる仕組みについては割愛します。
もし詳しく知りたい方は是非とも本書をお読みください。
ちなみにツンモ以外にもとてもおもしろく興味深い呼吸法が研究ベースで載っているので、読んで損はない本当に面白く「超」がつくほどおすすめの書籍です。
【具体例】足が速くなる!?完璧な呼吸
では最後に、もし完璧な呼吸があるとすれば、という話で終わりたいと思います。
実は、驚くなかれ完璧な呼吸というものがちゃんと存在すると本書では指摘されています。
なぜ完璧と言い切れるのか?
それは実際の実験データ以外にもなんと幾多の歴史上から散見されたひとつの事実から導き出された答えがあるからです。
それはカトリック教徒、仏教徒、ヒンドゥー教徒などの祈りやお経、それぞれの宗派を越えた中に共通するひとつのリズムです。
それが、5.5という数字です。
研究者たちが発見した共通点。
それはこれらの祈りなどの各周期の呼吸の平均回数が1分間に5.5回だったというのです。
そして驚くべきことに、このゆっくりとした呼吸パターンに従うと、脳への血流が増えて体内の各システムが整った状態に入ることが確認され、さらに、そのとき心臓、循環器、神経系の機能がとても上手く、いわば最も効率的に連動することが判明しました。
だからこそこの本ではこう述べられています。
安静時に吸い込む空気の最適な量は5.5リットルであると発見した。最適な呼吸数は1分につき約5.5回。つまり5.5秒で吸い、5.5秒で吐く。これが完璧な呼吸だ。
最適な呼吸数は1分間に約5.5回、5.5秒間吸い続け、5.5秒間かけて吐き出す。
これが歴史上から見つけ出された共通した呼吸リズムであり、尚且つ実際のデータから算出された呼吸の答え。
さらにこの呼吸法は病気で弱っている人から健康なスポーツマンまで全員に有効であり、1日に5分から10分練習しただけでも、その効果は絶大。これといった努力も時間もテクニックも不要、どこでも、いつでも誰でもできるという手軽さが特徴です。
よって、僕は通勤時にこの呼吸法を意識しています。
スポーツを含め人生の土台にある呼吸。まずはこの完璧な呼吸を練習するだけでも、全てのパフォーマンスの底上げに繋がるのかもしれません。
今回はあくまで簡単にかみ砕き、まとめただけなので、少しでも気になった方は是非、本書をお取り下さい。
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