みなさんどうも、こんにちは!
僕は元帰宅部の本気【The VO2 MAX RUN】というYOUTUBEチャンネルでランニング・マラソン情報を発信をしている市民ランナーです。
人間の足は出来が悪い!
そう聞くとみなさんはどう思うでしょうか?
ランニングの最も根幹にあるものは何か?それこそが二本の足です。
この大地を蹴る二本の足がなければランニングやマラソンは出来ません。
よって今回はトレーニングや走り方の最も根本にある我々人類が獲得した二本の足について深ぼっていきたいと思います。
当たり前すぎて考えてこなかった二本の足を知ることで、より良いトレーニングや走り方もしくはケアが出来る。ブログやSNSには落ちていないみなさんが全く想像もしてこなかった常識を180度覆す驚愕の話もご紹介します。
是非、最後までご覧ください。
目次
直立二足歩行の人類史 人間を生き残らせた出来の悪い足
では早速、その道のプロ、本物の専門家に登場してもらいましょう。
彼の名はジェレミー・デシルヴァ。
こちらの本、「直立二足歩行の人類史 人間を生き残らせた出来の悪い足」の著者であり、ダートマス大学人類学部准教授です。彼の専門は足と足首。しかも人間を含め類人猿から化石に残る我々の祖先アウストラロピテクスなど幅広く足と足首に特化して研究をしている現役の科学者です。
彼は人間の足についてこう言っています。
われわれは応急処置的な解決法を受け継いでしまった。進化による修正は二足歩行を可能にするためには充分効果的だったが、痛みや怪我のリスクを伴わずにそれを可能にするほどにはエレガントではなかったのだ。
足部のケガのリスクという視点
だからこそ、エネルギーもそこまで必要なく安定して長時間立っていられるのです。
しかし、私たちの足首はどうでしょうか?
足首がぐねる。足首を捻挫してしまう。可動性があるのです。
なぜか?
それは私たちの祖先が木の上で生活していたからです。
だからこそ、この本ではこう指摘されています。
可動性のある足首は、樹上で生活する上では重要な利点だった。だが、地面を二足歩行する動物にとっては、この可動性は大きな犠牲を伴う。
確かに人間の足には筋肉のバネが存在していますが、他の動物と比較すると、たとえばダチョウなどは足首には筋肉がなく、長い腱があるだけ。だからこそ、効率的に移動でき、時速64キロ以上で走れるように進化していたりします。
よって、人間の足はウォーキングやランニングという効率的な移動においてにうってつけなのか?そう問われれば、必ずしもそうとは言い切れないという側面があるのです。
この本のサブタイトルにもなっている「人間を生き残らせた出来の悪い足」
それこそ、我々人間の二本の足がウォーキングやランニングにそこまでの適応を発揮できなかったため、人間は集団で協力せざるを得なくなり、結果、共感力が高まって、寛容や協力、思いやりが生まれ、繁栄に繋がった。もし、自己中心的に振舞う傾向や仲間に対して非寛容的で攻撃的なサルであるなら、
二足歩行は絶滅への道となったことだろう
と著者は指摘しています。
これが「人間を生き残された出来の悪い足」というタイトルに隠された本当の意味です。
最も効率が良く効果の高いマラソントレーニング方法とは何か?
それがマラソン大会のようにみんなで走ったり、集団で練習すること。つまりトレーニングそれ自体というよりも環境自体にあるのです。我々が生き残れたのは「共感力」のおかげ。出来の悪い人間の足が見つけた走力アップの秘訣が実はこのようなところで垣間見れるのです。
これが人類史を俯瞰したランニングの位置づけだと僕は考えています。
世界一走りたくなるワンステップ科学から紐解くランニング※売上はこの本の編集や校正に携わって頂いた協力者様に分配されます※
「介護や病気など様々な理由で在宅でか仕事が出来ない協力者様」のためにこの本を出版します。歩合制なので、面白いと思えば実際に書籍を買って頂ければ幸いです。
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↓僕の思い↓
ランニングフォームは骨盤の幅によって変わる
この部分、二本の足が繋がる骨盤。さまざまなランニング系のYouTuberさんがこの骨盤の使い方を発信しています。
実はランニングフォームやウォーキングフォームはこの骨盤の幅によって変わるという事実をご存じでしょうか?
ルーラ・トビアス・グラス博士らの研究で判明したこと。それは腰幅の広いヒトのほうが腰を大きく回転させて移動するということ。
↓ルーラ・トビアス・グラス博士らの女性の移動に関する研究↓
Pelvic Breadth and Locomotor Kinematics in Human Evolution
『人間の進化における骨盤の幅と移動の運動学』
骨盤が広く下肢が短いカラダの作りでより効率的に移動するためには?我々人類の大先輩、アウストラロピテクス先輩から受け継がれるその解決策こそ、脊柱を軸に骨盤を回転させ、歩幅を広げ移動する方法。その時の広がった歩幅による上下運動のロスを腰の屈曲や伸展と言った微調整を加えて効率化するという進化!女性の移動はロマンが詰まっている!すごい!
腰幅の広いヒト、それこそ女性です。女性は出産のために男性よりも骨盤が広くなっています。さらに男性と比べて足が短いため、骨盤の回転によって歩幅を大きくするという戦略を採用しています。これらの研究に関してはウォール=シェフラー博士らの論文も面白いので載せておきます。
↓ウォール=シェフラー博士らの女性の骨盤に焦点が当てられた研究↓
The Biomechanical and Energetic Advantages of a Mediolaterally Wide Pelvis in Women
『女性における(解剖学的)水平面から捉える広い骨盤の生体力学的、エネルギー効率の利点』
女性の身体の動かし方(骨盤の動かし方)を機能的に深ぼっています。とくにFigue1,Figue2は素晴らしい!子どもを生む、(子どもなどを)効率的に運ぶための移動方法の解剖学上、生体力学上の進化という視点は「超」面白い。女性プロランナーに見られる高回転のピッチ走法や特有のすり足様走行はこれらの論文から考察出来そう(この論文はウォーキングを扱っているのであくまで仮説レベルで)!
↓こちらも素晴らしい!「骨盤の回旋」を深ぼるその他の論文↓
男性と女性のランニングフォームやウォーキングフォームはそれぞれの最適解が解剖学上、全く違うことを念頭に入れればより効率的な走りに繋がるかもしれません。
ランニングでのおすすめの足のケアの方法は裸足(ベアフット)で走ること
足のケアはランナーにとって重要です。
では、こんなケアの方法はいかがでしょうか?
シンシナティ大学の人類学者エリザベス・ミラー博士はハーバード大学のダニエル・リーバーマン博士らのチームと共同で、ランナー33名について2種類の足の筋肉の大きさを測定しました。
ランナーの半数は、クッション性のある通常のランニングシューズを履いてトレーニングをおこない、あとの半数は、徐々にサンダルに近いベアフットシューズに履き替えてトレーニングを実施しました。
なんとベアフットシューズを履いたグループは
アーチの硬さ60%↑
この研究結果が何を意味しているのか?
これはつまり、どんな靴を履くか、あるいは履かないかで足が変わってくるということを示唆しているのです。
またそれだけではなく、足の筋肉が弱いと、足底腱膜が過度に緊張し、その結果、足底腱膜に刺すような痛みを引き起こすことも指摘されています。
これらの研究からハーバード大学の生化学者アイリーン・デービス博士は
われわれは足を守るためにはクッション材が必要だと思い込んでいるのだ
というなかなか衝撃的な発言もしています。これらの実際の論文は以下をご覧ください!
↓シンシナティ大学のエリザベス・ミラー博士とハーバード大学のダニエル・リーバーマン博士の共同研究↓
The effect of minimal shoes on arch structure and intrinsic foot muscle strength
『ミニマルシューズ(ベアフットシューズ)での足のアーチ構造と足底内在筋の筋力の効果』
ベアフットランニングやミニマルシューズの使用が足のケアに効果的であることをエビデンスベースで示す研究。が、しかし、これらの研究を全て鵜呑みにするのはNG!スポーツジャーナリストのアレックス・ハッチンソン曰く、ベアフットシューズを販売する企業のバックアップを示唆しているからです。この実験でもニューバランスのロードミニマスとメレルのトレイルグローブというミニマルシューズを使用しています。もしこれらの企業が研究にお金や商品を提供しているならそれは「中立ではない!」論文を読むときにはそのような前後の文脈の「深読み」が必要です(大学では教えてくれないけど!)。ちなみにこの研究は2種類のシューズをランダムに入れ替えて使用しているので、企業の関与は少ないかなとは思います(知らんけど)。
どんな靴を履くか?またはあえて履かないのか?が重要。
この本の中ではこう指摘されています。
たとえば、足底腱膜炎、アーチの崩れ、外反母趾、ハンマートゥ、前脛腓靭帯損傷など。しかも、こうした足の不具合の多くは靴、人類が世界中に広がることを可能にしたテクノロジーによって悪化するのだ。
そして、続けざまにこうも指摘されています。
足の裏には、十個の筋肉が四層に重なってついている。そのいくつかは、足のアーチを維持する働きをしている。その他は、足を踏み出すのに不可欠な筋肉だ。しかし、大半の靴は、いかにも健康によさそうな、「アーチを支える」と称する靴でさえ、これらの筋肉を脆弱にする恐れがある。その結果、足のケガのリスクはさらに高まる。
↓足底腱膜炎を防ぐ方法論↓
A Biomechanical Approach to the Prevention, Treatment and Rehabilitation of Plantar Fasciitis
『足底腱膜炎の予防、治療、リハビリの生体力学的アプローチ』
要旨しか読めません(悲しい)!こういうエビデンスベースとなる価値ある情報こそ、オープンアクセスにすべきでは?と思ってしまいます。要旨にはベアフットに関する記述はありません。著者はおそらく全文読んで、「足(足底内在筋群)の筋力低下が足底筋膜炎と関係がある→ベアフットランニングで足の筋力をアップできる→足底腱膜炎の予防に効果的である」とのロジックを導き出したと考えます(知らんけど)。
2018年に発表された知る人ぞ知る最強の走る民族として有名なメキシコのタラウマラ族を対象とした研究。
どんな研究かと言うと、裸足に近い状態で野山を駆け回っているタラウマラ族の足の筋肉を超音波によって測定した研究です。
その結果、タラウマラ族の足は典型的なアメリカ人の足よりもアーチが高く、硬く、筋肉が大きいと報告されました。こちらも実際の論文を載せておきます。
↓最強の走る民族「タラウマラ族」の足を調べた研究↓
Foot strength and stiffness are related to footwear use in a comparison of minimally- vs. conventionally-shod populations
『足の強さと硬さは使う履物と関係する 裸足に近い履物を履いた人々vs普通(クッション)のシューズを履いた人々』
著名な学術誌ナイチャー誌に掲載された論文。この研究は普段からシューズを履く人々と裸足に近い履物を使用する人々との足部の筋力や硬さを考察した研究。タラウマラ族の歩き方、走り方も研究対象。概要のmen from northwestern Mexicoがタラウマラ族のこと。荒地をサンダル(Figue1)で走ると驚くべき足が作られる!彼らが超長距離をとてつもなく速く走れるのもある意味納得!この研究で思いついた比較実験:足底筋群トレーニングの効果比較。タオルギャザーなどの静的なトレーニング(荷重が掛からない運動)とベアフットランニングなどの動的なトレーニング(荷重が掛かる運動)での内在筋の影響の変化。筋トレマシンをつかった筋肉のつき方と実際の仕事などで使用する筋肉のつき方のようにその特異性が現れるかも!?
そしてこんな疑問が呈されます。
タラウマラ族は遺伝的に足の筋肉がたくましいのだろうか?
答えはノーです。
さきほどのシンシナティ大学のエリザベス・ミラー博士の研究を思い出してください。ランナーの足を鍛えるには裸足に近い状態で走るベアフットランニングが効果的なのです。
これがエビデンスベースで足を鍛えて、ケガを防ぐある意味斜め上のケアの仕方です。
このケアの具体的な方法については、ベアフットランニングを激押しするハーバード大学の権威をあえて「論破してみた」というエンタメ的な切り口で深ぼったこちらをご覧ください。
【おすすめランニングシューズはこれ!】ベアフット用ランニングサンダル・ワラーチで走る方法【タラウマラ族から学ぶランニング・ウォーキング】
ウォーキングやランニングから見た人類史で明かされる驚きの仮説
では、最後にひとつ、みなさんの中にある常識を180度覆したいと思います。
みなさんが良く目にする上記の画像。この画像は進化の過程を表した画像です。
サルから人へ。四足歩行から二足歩行への進化です。
実はこの進化の画像は間違っており、なんと進化はこの逆ではないのか?という話です。
何が言いたいかと言うと、チンパンジーやゴリラなど基本的に四足歩行の類人猿。彼ら彼女らの祖先は元々は直立二足歩行をしていたのではないのか?という結構衝撃的な仮説です。
だからこそ、この画像の進化の過程は実は逆向き。
○二足歩行→四足歩行
それこそが真実ではないのか?と主張するぶっ飛んだ仮説です。
ミズーリ大学の古人類学者キャロル・ウォード博士はこう言います。
なぜ人間は四本足から二本足になったのだろう、と考えること自体が間違っています
もとをたどればチンパンジーもゴリラも人間も共通の祖先が存在します。その一番古い共通の祖先が実は二足歩行をしていたということをこの発言は意味しているのです。
もちろんこの仮説には反対意見も数多くあり、完全に証明できる証拠は出そろっていません。
が、しかし、それを証明できるかもしれない化石が多数見つかっています。
チンパンジーやゴリラはもともと二足歩行をしていた。人間は四足歩行から二足歩行に進化してのではない。ずっと二足歩行だった。
実はこの視点がなかなか面白く、よく様々な研究者も指摘するこの仮説。
身体を涼しく保つために直立して歩き始めた
実はこの仮説は誤りだと主張した研究者が書いた論文が権威ある学術誌、サイエンスに掲載されたのです。この実際の論文はコメントとともに以下に載せておきます。
↓サイエンス誌に掲載された「二足歩行の起源の見直し」を示唆する一連の論文↓
※日本人が筆頭著者の論文(この文章も書いた!?)※
~その他6本の関連論文あり(割愛)~
なんと化石の発見の発表からこのサイエンスの論文が出るまで15年掛かったとのこと。この分野は時間がかかり多大な労力が必要なことが窺い知れます。そして、冒頭の論文のファーストオーサー(筆頭著者)をご覧ください!そう、日本人なのです!Gen Suwa , Reiko T Kono。これらの研究に多大な貢献をしたGen Suwa(諏訪元)さんは現在、東京大学総合研究博物館教授をしているようです。「二足歩行の起源の完全な見直し」には日本人が貢献しているのです。すごい!!
それは二足歩行の起源の完全な見直しを計ったことです。直立二足歩行はなんとずっと大昔から木の上で行われていたと。
二足歩行ができることによって手が自由になって、結果的に脳が大きくなったのではなく、もともと直立二足歩行が出来、脳が大きくなったのは二足歩行とはあまり関係がないというこれまた衝撃的な帰結も考えられるのです。もちろん仮説としてですが。
この本の正式なタイトルは「FIRST STEPS How Upright Walking Made us Human」
日本語に訳すと「最初の一歩 直立二足歩行はどのようにして私たちを人間たらしめたのか?」というタイトル。
だからこそ人間の足の進化から見るホモサピエンスというかなり面白い視点で書かれています。そしてこの本の何が本当に素晴らしいのかと言えば、巻末です。
どうですか?膨大な出典と注釈
かなり詳細に研究ベースで書かれており、しかもそれらも普通に面白くタメになる。「研究者は本当にすごい!」と思わせる圧倒的な知識を体験できるのがこの本の一番のおすすめポイントかもしれません。
その名も「ネアンデルタール人は私たちと交配した」
2022年、つい最近のノーベル生理学・医学賞を受賞したスヴァンテ・ペーボ博士が書いたこの本。この本はいろいろな意味で内容がぶっとんだ一冊ですので、おすすめです。
まさかあのポーベ博士がノーベル賞を受賞するとは!
そんなことを思わせるこちらも名著なので、読んでみてください。読んで損はないおすすめの一冊です。
内容はまさかの自伝です!「地道に努力を続ける大切さ」と「生物学の面白さ」と「赤裸々(悪口などなど)」が詰め込まれた一冊。世間で騒がれている研究は実は嘘!?研究の裏の部分もしっかりと描写され、DNA(分子生物学)や化石(進化人類学)という分野って「興味深い」となります。これを読むとなぜ彼がノーベル賞を受賞したかを理解できます。個人的には研究者の自伝でトップ3に入るレベル(この人の性格はマジで謎)。特に研究者を目指す方や専門家になりたい人は読んでみてください!普通に面白くおすすめです(個人的感想)!
【1日1万歩は意味ない!?】ウォーキングの科学10歳若返る本当に効果的な歩き方
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