みなさんどうも、こんにちは!
僕は元帰宅部の本気【The VO2 MAX RUN】というYOUTUBEチャンネルでランニング・マラソン情報を発信をしている市民ランナーです。
2017年。
ランニングの歴史において今までにない画期的なシューズが登場しました。
それがみなさんもよくご存じのこのシューズ。ナイキヴェイパーフライ
なぜこのシューズが画期的なのか?
厚底?カーボンプレート?フルマラソン2時間切りプロジェクト、Breaking2を使ったプロモーション戦略?
いいえ、このシューズの真価。それはナイキ自身が作ったクッションという嘘を根本的に塗り替えたことにあります。
えっ、クッションの嘘?嘘を塗り替える?
誰も語らない、いや語りたくない?ナイキの厚底シューズ、ヴェイパーフライの本当のすごさを驚きの真実とともに考察していきたいと思います。
ナイキの厚底シューズ ヴェイパーフライとクッションの歴史
1986年、アメリカバイオメカニクス学会の総会に、当時のナイキ・スポーツ・リサーチ・ラボ所長、E・C・フレデリックは爆弾を抱えて出席しました。
もちろん爆弾とは本物の爆発物ではなく、ある意味もっと衝撃的でシューズ業界を揺るがすであろう危険物。
その危険物とは。シューズにまつわるひとつの真実。フレデリックは学会でこう述べました。
被験者がやわらかいシューズを履いた場合と硬いシューズを履いた場合では、衝撃力にはなんのちがいもないことが判明した
衝撃吸収を謳うやわらかいクッションを搭載した数々のランニングシューズを。特にランニング初心者ならケガの予防のために現在でもそうアドバイスする店員はたくさん居ます。
ナイキ・スポーツ・リサーチ・ラボ所長、E・C・フレデリックが総会で述べたこと。
つまり初心者におすすめされるような厚底のクッション性が高い衝撃吸収シューズは衝撃をほとんど吸収していないという不都合な真実。
衝撃を吸収しない!?クッション
なんでそんな商品を売っているの?なんでそんな衝撃を吸収するかのごとく宣伝する必要があるの?
厚底クッションこそ、ナイキという企業の特徴
それはナイキのアイデンティティこそがクッションだからです。
えっ、どういうこと?
なんとクッションという概念をランニングシューズにいち早く取り入れ、はじめて発売したのが、何を隠そうナイキなのです。
ナイキのすごさ。それはこの世界に新しい走法を確立したことでもありました。
その走法こそ、みなさんの走法。踵から着地するヒールストライク走法です。
それまで、人類は薄底のシューズしか使っておらず、必然的に歩幅の狭い、フォアフットよりの走法でした。
それが柔らかいクッションを搭載したことで、踵から着地出来るようになったという訳です。
そうなのです。なんと踵から着地する走法は比較的最近、1970年代に生み出された?確立された?走法だったのです。
そしてこの一冊の本。
その名もジョギング。
ナイキがすごいのは、というかナイキを設立したフィルナイトがすごいのは、このようなクッション性の高いランニングシューズを考案した共同経営者のビル・バウワーマンとともにジョギングという概念を一般市民に浸透させたところにあります。
これで、普通の市民がクッション性の高いランニングシューズを使う下地を整えました。
その結果、ナイキはそれまでの従来型の薄底シューズの概念を壊し、クッション性の高い、ケガをしにくいと謳われるランニングシューズを武器に世界を席巻しました。
そんなクッションから始まったナイキ。ナイキの誕生とともに生まれたクッションという名の嘘。
まさにこの嘘がついに暴かれ、ナイキの首をしめにかかったのです。
バイオメカニクス総会の2年後、1988年には、『整形外科・スポーツ理学療法ジャーナル』に発表された論文でも、ランニングシューズがすり減ってクッション材が硬くなると、ランナーの足は安定してふらつきにくくなることが明らかにされたりと、クッションの良し悪しがさかんに議論されることとなります。
また、こんな衝撃的な論文も登場。
『スポーツと運動における医学と科学(Medicine & Science in Sports & Exercise)』誌に掲載された1991年の報告では、つぎのことが明らかにされました。
それは「保護機能(高いクッション性、”プロネーション矯正”など)がついた高価なランニングシューズを履く者は、安価な(40ドル未満の)シューズを履くランナーよりもけがをする頻度が著しく大きい」
つまりハイエンドモデルのランニングシューズはローエンドモデルのシューズに比べて、よりケガがしやすいというかなり皮肉たっぷりの論文です。
さらにハーヴァード大学自然人類学教授、ダニエル・リーバーマン博士はこのようにも発言しています。
現在われわれを苦しめる足や膝のけがの多くは、じつは靴を履いて走ることに原因があります。靴はわれわれの足を弱くし、オーバープロネーション(踵が内側に傾くこと)を招き、膝に問題を生じさせる。1972年にナイキが現代的なアスレティックシューズを発明するまで、人々はきわめて薄い底の靴を履いて走っていたが、彼らの足は強く、膝の負傷率ははるかに低かったのです。
極めつけは、さきほどのジャーナリストであるクリストファー・マクドゥーガルのこの言葉。
このふたり(ナイキの創業者フィルナイトとクッション性が高いシューズを考案したビル・バウワーマン)が手を組むまで、現代的なランニングシューズは存在しなかった。現代的なランニング障害の大半もしかりだ。~BORN TO RUN 走るために生まれた ウルトラランナーvs人類最強の”走る民族”~
なんとランニングで生じる痛みのほとんどすべての原因こそがナイキが作ったクッション性のあるシューズが原因であるというかなり大胆な主張。
そのことだけ知っておいてください。
ヴェイパーフライで起こすナイキのパラダイムシフト【厚底シューズ革命】
ここまで聞くと、
ナイキはなんてひどい企業なんだとか、クッションは足に良いんじゃなかったの!?
と息まく人もいるかもしれません。
しかし、ナイキはやはりクッションというキーワードでこの汚名を見事に返上します。それがランニング史における最強のシューズ。
皆さんもご存じ、ナイキヴェイパーフライです。
このクッション性が高い厚底シューズのすごさ。
それはクッションで足を守るという機能ではなく、クッションを使って推進力を生むという従来のクッションの概念を180度転換させたことにあります。
そのために、フカフカのクッションの下にカーボンのプレートが内臓されています。
ここでナイキを苦しめていたクッションの嘘がまさかの新機軸としてその真価を発揮するのです。
そもそもクッション性の高いシューズがなぜケガをしやすいの?
ひとことで言えば、着地時に足部が不安定になるからです。クッション性の高いシューズは言ってしまえばふわふわとした地面のようであり、ふわふわであるためどうしても力が分散し、不安定になります。
さて、着地時に不安定になるとどうなるのか?
簡単です。安定しようと強い力で抑え込むのです。そう、人間は本能的に足の下にふわふわしたものがあると無意識に踏ん張ります。
これは実際に体操選手との実験によっても証明されている事実です。
だからこそ、これを逆手にとったのが、ナイキの厚底シューズヴェイパーフライ。
あえて厚底のクッション性の高いシューズにカーボンプレートを入れ、無意識的に踏ん張る力をバネの力で推進力へと変換。
ヴェイパーフライを履いたことのある人はこのように言う人が多いと思います。
跳ぶようにぐんぐん進むんだけど。なんだかふくらはぎのあたりが変に疲れるな~
とその違和感の理由がこれで説明出来ると思います。
つまり、ランニングにおいての推進力である二段式のバネ。
一段目はひざと股関節の伸展、二段目はアキレス腱の反射。この二段目のアキレス腱の反射を強化してくれるのが、ふかふかのクッションという不安定なシューズに内臓されたカーボンプレート。
マラソンは大きな筋肉を使って走ることがとても重要ですが、厚底シューズは構造上どうしても足の末端を酷使してしまうために長い距離を履けない、初心者には扱いが難しいと言われる由縁なのかもしれません。
人間の生理学上の動きとして、ふわふわしたものがあると無意識に踏ん張ってしまうという現象。
まさにこの現象こそ、ケガを生み出す原因のひとつでもあり、ランナーの自己ベストを大幅に引き上げるヴェイパーフライの真骨頂でもあるのです。
2017年に登場したヴェイパーフライ。
ついにナイキはクッションという嘘を誠にすることに成功したのです!
そのおかげで、人類の壮大なプロジェクト、Breaking2、フルマラソン2時間切りプロジェクトを達成したキプチョゲ選手の足元にももちろんこのシューズ(写真はナイキの厚底カーボンシューズアルファフライ)。
今の厚底カーボンシューズの出現はこのようなランニング史から見ても、ひとつの大きな転換期であり、革命なのです。
クッションからはじまり、世界を席巻し、非難に晒されながらも、またそのクッションで革命を起こしたナイキ。
これがナイキの厚底シューズのすごさであり、誰も語れない厚底シューズの真相なのです。
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