みなさんどうも、こんにちは!
僕は元帰宅部の本気【The VO2 MAX RUN】というYOUTUBEチャンネルでランニング・マラソン情報を発信をしている市民ランナーです。
日本人が考案した最も有名なトレーニングとは何か?
そう聞かれると、やはりあのトレーニングしかありません。
それこそ、タバタトレーニング。立命館大学の田畑泉教授の名前からとられた短時間の高強度トレーニング。それがタバタトレーニング。
実際にこのタバタトレーニングを解説する(をベースとする)動画や書籍は山のように存在します。
しかし、果たしてその情報は本当に正確なのか?
やはりここはこのトレーニングを考案した本人の書いた書籍こそが正義。ということで、今回はタバタトレーニングの生みの親、田畑泉博士が書いたこちらの本。
1日4分 世界標準の科学的トレーニング 今日から始める「タバタトレーニング」を紐解いていきたいと思います。
このブログを最後まで見れば、タバタトレーニングの何がそんなにすごいのか?考案者本人が教えるその驚きのメカニズムがわかる。ブログの後半にはランニング版タバタトレーニングの具体的なやり方と研究ベースでの効果もご紹介します。
もしトレーニング方法だけを知りたい方は目次からお目当ての箇所までスキップしみてください。
目次
タバタトレーニングと呼ばれるHIIT(短時間高強度トレーニング)
まずは、タバタトレーニングとはどんなトレーニングなのかを実際の論文から見ていきましょう。
↓田畑泉博士の論文↓
Tabata training: one of the most energetically effective high-intensity intermittent training methods
『タバタトレーニング:この世で最もエネルギッシュで効果的な短時間間欠的トレーニング方法のひとつ』
タバタトレーニングのまとめ論文。タイトルにある“ energetically(精力的な、盛んな)”という単語は単にタバタの激しい動きだけでなく、細胞内でのミクロな視点(エネルギー代謝機構)にも焦点が当てられた言葉だと僕は解釈しています。この論文を読めば分かる通り、“interval/intermittent”インターバルとインターミテントは同じ意味合いで表記されています。だからこそ、そこにこだわる必要はないのです。この出会いがなければタバタトレーニングは存在していなかったかもしれないタバタトレーニングの本当の生みの親である入澤考一先生(Mr. Irisawa)の話もしっかりと載っています。今回は割愛しましたが、タバタトレーニングはがん(colon cancer:結腸がん)や大腸がんの予防に有効だったりします。
田畑博士が書いたタバタトレーニングに関する論文のタイトルはこうです。
ここで注目すべきは「intermittent」という聞き慣れない英単語。
良く様々な方が紹介しているHIIT(high intensity interval training)日本語では高強度インターバルトレーニングという考え方。かなりマニアックなことを言えば、実は同じHIITですが、タバタトレーニングは「インターバル(interval)」ではなく「インターミテント(intermittent)」が正式な方法論です。
このインターミテントとは「間欠的な」という意味の言葉です。
インターバルとインターミテントの違いは休息時に動くか、完全に休むかの違いです。タバタトレーニングを世に広めた初期の研究ではおそらく完全に動きを止めて実施されていたと思われます。実際の立命館大学のタバタトレーニングでも10秒間の休息は何もしていません。
なぜいきなりこんなマニアックなことを指摘したかと言うと、タバタトレーニングはほとんど全員が同じ情報を発信しているからです。本筋を考えると「インターバル」か「インターミテント」かの違いは、正直どうでも良いのですが、せっかくなら、おろらく誰も発信しておらず尚且つ正確な情報に価値があると僕は考えているからこそ、あえて取り上げました。
正直、知らなくても全然大丈夫な知識ということだけは補足しておきます。
ということで、この本(1日4分 世界標準の科学的トレーニング 今日から始めるタバタトレーニング)の中ではタバタトレーニングはこう紹介されています。
より具体的にいうと、20秒の高強度・短時間運動を、10秒の休息をはさみつつ、6~8回ほど行って疲労困憊に至る。これを週2回行うだけです。運動を8回行ったときの合計時間を計算すると、わずか230秒。つまり3分50秒という短時間で完結します。
さらにこうも続けられています。
タバタトレーニングでいう高強度は、『最大酸素摂取量の170%の強度』に当たります。
これがミソです。
一般的な有酸素性トレーニングの強度は、最大酸素摂取量の50~70%といわれているので、タバタトレーニングはその3倍くらい強度が高い、それくらい「高強度high intensity」なのです。
これは、休息を入れずに続けて運動した場合、50秒程度で疲労困憊に至る強度、ということが言えます。つまり、1分も続けられないほどのハードな運動。
これに関してはスピードスケート選手が自転車トレーニングをしている動画があるのですが、その動画の運動強度がおそらくこの最大酸素摂取量170%程度だと思われます。
↓最大酸素摂取量170%の運動強度の例(1:34~)↓
タバタトレーニングが求める運動強度はもっときついはずですが、文章だけでは伝わらない疲労困憊の本当の意味を教えてくれる貴重な動画。この強度を目安にタバタトレーニングをしてみてください!(う~ん無理!)
ざっくりとまとめると、タバタトレーニングとは20秒のかなりきつい短時間の運動を、10秒の休息をはさみつつ、6~8回ほど行って疲労困憊に至る。これを週2回以上行うトレーニングです。
そして、さまざまな実験から、タバタトレーニングを行うと有酸素運動および無酸素運動、その両方の能力を最大限向上させることがエビデンスベースで判明しました。
よって、この本(1日4分 世界標準の科学的トレーニング 今日から始めるタバタトレーニング)ではこう記されています。
タバタトレーニングは「究極の有酸素性トレーニング」であり、なおかつ「究極の無酸素性トレーニング」であることが科学的に実証された。
ここまで聞くと、こんなハード運動は再現出来ないと思う方も多いと思います。少なくとも僕は後半まで維持させる自信がありません。それくらい最大酸素摂取量170%というのはハードな数値なのです。
しかし、安心してください。タバタトレーニングがなぜここまで広まったかというと、そこまで追い込まずとも、高い運動効果を得られるからだと僕は考えています。
ちなみに疲労困憊にまで至らない程度のきつい運動は「タバタスタイル」と呼ばれます。
【エビデンスベース】タバタトレーニングやタバタスタイルが効果的な理由
実はその秘密は「酵素(enzyme)」にあります。
なんと細胞内の酵素活性が高まることで運動能力が飛躍的に高まることが判明したのです。
この本ではこう指摘されています。
トレーニングによる生体の生理機能の向上は、細胞内(特に骨格筋細胞内)にある酵素の量が増加し、酵素活性が上昇することによると考えられています。
そもそもこの酵素と呼ばれるものは一体何なのか?
かなりざっくり説明すると運動のときに必要なエネルギーを生み出すきっかけ、細胞の能力をアップさせるスイッチのようなイメージです。厳密な働きを知りたい方は是非、本書をお読みください。
「世界一走りたくなるワンステップ科学から紐解くランニング」※売上はこの本の編集や校正に携わって頂いた協力者様に分配されます※
「介護や病気など様々な理由で在宅でか仕事が出来ない協力者様」のためにこの本を出版します。歩合制なので、面白いと思えば実際に書籍を買って頂ければ幸いです。
↓キンドルアンリミテッド会員なら「無料」でスマホ・タブレットからも読めます↓
【30日間無料体験】読み放題サービス キンドルアンリミテッド
この酵素の量や濃度が高いときはエネルギーを生み出す働き、ミトコンドリアそのものに効果的に働きかけられるため、結果、たくさんのエネルギーを生み出せ、運動のパフォーマンスが上がります。もしくは、運動による乳酸に対応できる能力が高まります。
つまり、運動のパフォーマンスはいわばこの酵素の量や濃度に関係していると言っても過言ではありません。
何が言いたいかと言うと、この細胞内の酵素の働きが高まり、結果的に細胞をパワーアップさせるタンパク質がたくさん生み出されることで、運動のパフォーマンスが向上する。より具体的に言うと、
②エネルギーを生み出す働き自体の強化
③糖代謝能力の向上
④パフォーマンス低下に繋がるpHの低下を遅らせる能力
それらの大本となる酵素の働きにダイレクトに刺激を与えるのがこのタバタトレーニングやタバタスタイルなのです。
ここでは具体的には触れませんが、PGC1αと関連するCAMK、AMPKやNa-KATPaseに関わる各酵素の働きはこの本の中でわかりやすく説明されているので、おすすめです。
そして、なぜ疲労困憊にまで至らない程度のきつい運動。タバタスタイルが効果的なのかが説明できます。
なんと研究により、少ない回数、具体的には3回だけトレーニングを行ったとしても酵素活性に差がなかったのです。
なんと少ない回数、疲労困憊に至らないタバタトレーニングでも運動刺激により酵素自体が活性化し、結果、持久力や代謝機能の向上、この場合はミトコンドリアの機能が強化されることがわかったのです。
もちろんこのような疲労困憊に至らないトレーニングでは、体力の指標となる最大酸素摂取量や無酸素能力の指標となる最大酸素借はそれほど増加しないと考えられます。
疲労困憊にならなくても効果的。この幅広い恩恵とその再現性の高さゆえ、タバタトレーニングに多くの支持者や愛好家が挑戦していると僕は考えています。
ちなみに先程の研究でもそうですが、強度を維持出来れば、実施回数は最低3回でも良い可能性が示唆されています。なぜなら、酵素の活性は、3回と14回でその活性度合が同じだったからです。もちろん最大酸素摂取量170%の強度の運動を行うというのが前提です。
【具体例①】エアロバイク・ロードバイクを利用したタバタトレーニングの方法
タバタトレーニングやタバタスタイルの具体的なやり方をお伝えしたいと思います。
まずは、ロードバイク・エアロバイクを使ったトレーニング。これは初期の実験で実際に用いられた手法です。
やり方は簡単で20秒間全力でペダルを回して、10秒の休息をはさむ。これを疲労困憊になるレベルで6~8回ほど実施。これを週2回行うというもの。
いきなりこのようなきついトレーニングはケガのリスクや心血管系のリスクもあるので、ウォーミングアップを10分以上しっかり行うことや回数を減らして3回から始めてみて下さい(タバタスタイル)。
ちなみに大学の男子水泳部を対象にこの自転車を使ったタバタトレーニング。
これを週に3回、6週間行ったところ、
②最大酸素借が8.8%増加
③多くの選手の記録も向上
通常の水泳トレーニングのみを行っていた対照群では、最大酸素摂取量、最大酸素借とも変化は見られなかったので、種目に関わらず、ベースとなる能力底上げには効果的のようです。
実際に僕はこの自転車を使ったタバタトレーニングを取り入れています。これに関しては毎回使用するおすすめの動画があるので、是非、活用してみてください。
最大酸素摂取量170%での動画のようにロードバイクを使って20秒間もがいて、10秒間は休む。これを動画に沿って行うだけ!この音楽を聞くだけで鼓動が速くなり血圧が上がる笑
↓このトレーニングが再現できるロードバイク用サイクルトレーナー↓
【具体例②】ランニングを活用したタバタトレーニングの方法
では、お待ちかねのランニングに特化したタバタトレーニングをご紹介します。
それはズバリ、「シャトルラン」です。
まずは、10秒の休息をはさんで、20秒のランニングを行い、ギリギリ8セット完走できる距離を決めます。大学生の陸上競技選手で100~120mほどです。もし8セット完走できたら、距離を長くしていってください。
大学の陸上選手で、この方法を週3回、6週間実施したところ、
このトレーニングでは、最後の8セットの酸素摂取量が最大酸素摂取量と差がなかったことより、有酸素性のエネルギー代謝に最大の負荷をかけていることが明らかとなっています。
【具体例③】バーピージャンプを活用したタバタトレーニングの方法
とここまでは、がっつり練習しているアスリートを対象としたトレーニングでしたが、次は健康を維持するためのタバタトレーニング、疲労困憊に至らない通称、タバタスタイルをご紹介します。
それがズバリ、「バーピージャンプ」
それはバーピージャンプの酸素摂取量はランニングの約90%、自転車漕ぎ運動の最大酸素摂取量とほぼ同じくらいだからです。
バーピージャンプのやり方は様々な方が動画を出しているので、ご自身で検索してみてください。
やり方はシンプルで、バーピージャンプのやる回数を決めて、毎回、同じ回数のバーピージャンプを行う。
例えば、本当は20秒で10回できるかもしれない人であっても、1セット6回と決めてしまいます。そうすると、最初のうちは6回を軽くクリアできますが、2セット目・3セット目と進むうちにきつくなっていき、最後には相当きつくなるはずです。これが、「疲労困憊に至らない」タバタトレーニング、通称タバタスタイルです。
疲労困憊に至らないタバタトレーニング(タバタスタイル)の年代別の設定回数
20秒間に行う運動回数の平均値
例:バーピージャンプ
20歳代で6回
50歳代で4回
20歳代で4回
50歳代で3回
2種類の疲労困憊に至らないタバタトレーニング(タバタスタイル)
②実施回数を減らして、最終8セットまで行うタバタスタイル(例:バーピージャンプ)
どちらも疲労困憊に至らないという点では共通していますが、運動で得られる効能が異なり、「酵素活性」を上げるのが①。体力の指標となる最大酸素摂取量を上げるのが②。まずは②のバーピージャンプから行うのがおすすめ!①はレース前の疲労抜き(コンディション調整・テーパリング)などに使用。場面や目的によって使い分けてください!とりあえず本書を読めば「なるほど!」と納得できると思います。
運動が苦手な人や高齢の人などは、回数を減らしてタバタトレーニングに取り組むといい
と田畑博士はアドバイスをくれます。
いずれにしても、タバタトレーニングやタバタスタイルで重要なのができるだけ下半身や体幹の筋肉を多く使い、速く動くということです。
今回は割愛しましたが、この本の中ではランナーとケガのリスクの研究なども紹介されており、本物の専門家が教える運動生理学の基礎を学びたい方には特におすすめします。
今回はあくまで自分の言葉で簡単にかみ砕き、まとめただけなので、少しでも気になった方は是非、本書をお取り下さい。
※コメント※
ランニングに関する研究なども紹介されており、ランナー(特に指導者やコーチ)におすすめします。タバタトレーニングの説明自体は序盤で終わりますが、そのあとが素晴らしい!最大酸素摂取量や最大酸素借など基礎中の基礎である運動生理学の知識やより深ぼった分子生物学的なメカニズムがわかりやすく解説されており、「運動生理学」や「スポーツ科学」を学びたい、学び始めた方にはピッタリな印象を僕は持ちました(やや難しかったらすみません汗)。
【一万時間の法則】10000時間の走り方【ランニング・マラソン・ジョギングで使えるおすすめ心理学】
コメント