【ランニングのミステリー】なぜ現代人はかかと着地をしてしまうのか?【人類史から見たマラソンの秘密】

速く走るための方法を考える

みなさんどうも、こんにちは!

僕は元帰宅部の本気【The VO2 MAX RUN】というYOUTUBEチャンネルでランニング・マラソン情報を発信をしている市民ランナーです。

かかと着地は良くない!

この言葉。

ほぼすべてのマラソンの書籍や専門家が指摘するまさにランニング界のキラーフレーズ
そして最も謎なのは?誰もがそのランニングのなぜに答えていないという摩訶不思議な状況です。

というと、「専門家はちゃんとかかと着地について分析しているんじゃないか?」と声を荒げる人もいると思います。

そうなんです。HOW、つまりどのようにダメなのか?は様々な書籍や専門家はかなり詳細に述べています。が、しかし、もっともクリティカルで本質的な部分。そう、WHY、なぜの部分。なぜ我々、人間はかかと着地をしているのか?そのなぜに答えている人を見たことがないのです。

みなさんは知っているでしょうか?ランニングと人体の歴史を。

このネイチャーの論文や動画で解説しているように私たちの人体は走ることに特化したダーウィンもびっくりの驚くべき進化を遂げてきました。

【おすすめ有酸素運動はこれ!】なぜ人間はランニング・ジョギングが得意なのか?

だからなんです。そんな効率的に走ることに特化したはずの人体がなぜ、非効率なかかと着地をしているのか?しかも実は我々、現代人だけが。

ということで、今回はそんなランニングのミステリー。なぜ我々現代人はかかと着地をするのか?を出来るだけ誰も考えないような視点から考察していきたいと思います。あくまでエンタメとしてとらえながら、是非最後まで僕の作った仮説をお楽しみください。

【ランニングのミステリー】なぜ現代人だけがかかと着地をするのか?

結論から言います。

なぜ我々現生人類、現代人は走っているときにかかと着地になってしまうのか?

僕が考える仮説は2つ。

①フルマラソンという競技自体が実はカラダにマッチしていないのではないか?
②走る環境によって走り方が決まる、つまりアスファルトが結果的に走り方を規定しているのではないか?

という仮説です。

それぞれ解説します。

【仮説①】フルマラソンという競技自体が実はカラダにマッチしていないのではないか?

まずひとつめの仮説。フルマラソンという競技自体が実はカラダにマッチしていないのではないか?言い換えると、もともと人類はフルマラソンが苦手なのではないか?という仮説です。

ちなみにかかと着地との関連は最後に説明します。

ここで言うフルマラソンとは、競技としてのフルマラソンです。つまりタイムを追ってスピードを出して止まることなく42.195kmを走り続けることを指します。

では、なぜこんな突拍子もない仮説を提案したのか?

それが最も根本的な事実。人間が二本の足を獲得したのはスピードのためではなく、持久力のため。つまり、我々のカラダはスピードではなく長く走り続けられることに焦点を当てたつくりになっていることです。

また、実際に現代の狩猟採集民族は、女性は平均9km、男性は平均15km程度しか1日に移動していないという報告もあります。この報告から研究者たちは初期人類も現在とさほどカラダの作りが変わっていないことをあげて、昔からこの移動距離自体はほとんど変わっていないのではないかと考察しています。

ということは、この移動距離が人類にとって最適解であるとすれば、42,195kmというフルマラソンの距離はまさに約3倍

つまり狩りをしていた人類にはそもそも、そこまでの長距離を走る必要がない。

人間のカラダは狩りをする距離以上、つまり42.195kmという距離をスピードを持続しながら走ることに不慣れなのかもしれないという可能性です。

また、実際の狩りでは常に走り続ける必要がなく、徒歩も活用しつつ、いわばインターバルのように走っては歩き、走っては歩きというのを繰り返していたと考えられます。

このような動作特性から言っても、フルマラソンという競技自体に実はカラダがあまりマッチしていない可能性も考えられるのではないでしょうか?

以上から我々のDNAに刻まれている動作のスタンダードにウォーキング、歩くという動作が組み込まれていることからも、マラソンという特殊な競技をする現代人において、かかと着地は意外とランニングとの親和性が高いのかもしれません。

ちなみにこれはサクッと考えただけの面白仮説でネタ枠です。その点だけご留意ください。
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【仮説②】走る環境によって走り方が決まる、つまりアスファルトが結果的に走り方を規定しているのではないか?

では、次は研究やデータ、専門家の視点を使ってガチ目に考察していきましょう。

なぜ我々現生人類、現代人は走っているときにかかと着地になってしまうのか?

2つ目は走る環境によって走り方は決まる、つまりアスファルトが走り方を規定しているのではないか?という仮説です。

まずは、ランニングでの当たり前とは何か?これを疑っていきましょう。

そもそもなぜランニングの専門家がこぞってかかと着地アンチになってしまうのか?

その理由としては、簡単です。人体の合理性と真逆にあるからです。すなわち、効率的に移動するための武器である腱というバネを殺して動きにブレーキをかけるのみならず、怪我のリスクを上げる、つまり地面からの衝撃もダイレクトに受けるからです。

実際の数値としては、土踏まずが約17%、アキレス腱が約35%。衝撃が約3倍です。

もし土踏まずがばねのように働いてくれるのなら、走るときのコストをおよそ17%も下げられ、アキレス腱のばねが効率的に働いてくれたときはカラダが生み出す力学的エネルギーの約35%を蓄積したり放出したりと、ランニングにおいて大きな影響を与えてくれます。

このように、足のバネはとても重要な役割を果たすのです。

が、しかし、かかと着地はせっかくのこのバネを無に帰してしまう。さらに恐ろしいことに、怪我のリスクも上がる

2010年に世界一の学術誌、ネイチャーに掲載されたハーバード大学のダニエル・リーバーマン博士たちの研究では、シューズでかかと着地した場合の衝撃は、裸足でフォアフット着地した場合の約3倍にもなるという衝撃のデータが掲載されました。

かかと着地では、走りを助けてくれる人体のすばらしい設計を無駄にするばかりか、かかととフォアフットに二重の衝撃を与えて体にダメージを負わせることになる。何より有害なのは、かかと着地で体がハンマーのように使われて一気に衝撃が来ることだ。

この言葉。

自らも元トップアスリートであり、40年以上のキャリアを持つスポーツ科学者。アメリカ・イギリス・カナダを含め7カ国の代表コーチも歴任したニコラス・ロマノフ・カート・ブランガート博士の言葉です。

以上から、かかと着地は生体力学的、いわゆるバイオメカニクス的には「最悪」とも呼べる行為なのです。

これがランニング書籍やマラソンの専門家が「かかと着地が良くない」と指摘する具体的な理由です。

そして、この問題はここからです。

実はこのかかと着地自体が近年、現代人である私たちが行い始めた奇行。奇妙な行為である可能性です。

つまり、当たり前はどこにあるのか?という視点です。

何が言いたいかというと、人類史を俯瞰した当たり前の走り方こそ、実はフォアフット走法、つま先着地ではないのか?ということです。

フォアフット走法、つま先着地こそ人類の本来あるべき走法である可能性が高い

先程のハーバード大学のリーバーマン博士や東アフリカ・ランニング科学国際センターICEARSを設立し、アフリカランナー研究の第一人者、グラスゴー大学のヤニス・ピツィラディス博士などのプロ中のプロの見解こそが実はフォアフット走法なのです。

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人類のスタンダードな走法が実は何を隠そう実はフォアフット走法、つま先着地

なぜ彼らはそんな突拍子もないことを言えるのでしょうか?

それがさきほどちょっとだけ触れたネイチャーの論文にあります。研究者の中で知らない人はいない!そんなレベルでランニング界に激震を走らせた、超問題作。ランニングの常識をつぶしにかかっている論文です。

Nature - Volume 463 Issue 7283, 18 February 2010
In this issue, Stephan Schuster and colleagues present the complete genome sequences of an indigenous hunter-gatherer from Namibia's Kalahari Desert and...

この論文であきらかになったことは大きく4つ。

①靴を履きなれた人はかかと着地をしやすく、裸足生活に慣れた人はフォアフット着地をしやすいこと。
②ランニングシューズをはくと裸足のときよりもかかと着地をしやすいこと
③衝撃吸収力のあるランニングシューズを履いても、かかと着地の場合は衝撃がほとんどなくならないこと
④シューズでかかと着地した場合の衝撃は、裸足でフォアフット着地した場合の約3倍にもなること

要約すると、ランニングシューズを履くとかかと着地になりやすく、実はランニングにおいて裸足でのフォアフット着地のほうが衝撃をコントロール出来るという衝撃のデータです。

この論文はハーバード大学のデータベースからクリックひとつで補足も含め全てダウンロードできます。詳しい内容が気になる方は概要欄からダウンロードしてみてください。

↓ランニング界に激震を走らせたネイチャーの論文↓

Foot strike patterns and collision forces in habitually barefoot versus shod runner「着地パターンと衝撃力の比較 習慣的な裸足VSランニングシューズ」

https://scholar.harvard.edu/files/dlieberman/files/2010a.pdf

https://scholar.harvard.edu/files/dlieberman/files/2010b.pdf

※補足※
ここで指摘している『フォアフット走法・つま先着地』とは足底の中足部~前足部で着地する走り方を指しています(つまりミッドフット走法も含みます)。

またさらに、ほぼ同時期にバージニア大学のケイシー・ケリガン博士らは、「ランニングシューズはハイヒールよりも足に悪い」とあまりにもぶっとんだ研究結果を発表したぐらいです。

そして、これらの研究や論文の深ぼった先にあるのが、当たり前の定義です。

これはつまり、いわゆるランニングシューズが登場してから走法が変化したのではないか?という仮説と人類はシューズが登場するまではフォアフット、つま先着地で大地を駆けまわっていたのではないか?という仮説です。

そう、日本でもほんの150年くらい前まで、この動画にある飛脚たちを含め、フォアフット走法をしていた可能性が高いのです。

【解説】糖質制限ダイエットが秘密!?伝説の飛脚の持久力の科学

だからこそ、ランニングシューズこそがかかと着地の原因であり、人類の進化を俯瞰すると、大腿骨の長さや太さ、膝関節のサイズ、筋肉の配置、腱のバネ、すべてはフォアフット走法に最適解が設定されている。

それだったら原点回帰、うす底のランニングシューズ、いわゆるミニマルシューズを履こう。ベアフットランニングをしよう!これがサンダルや裸足感覚で走るベアフットランニングのロジックです。

が、しかし、しかし、このロジックには大きな欠陥が隠されています。

それこそ、アスファルトなんです。言葉を換えると、環境の変化です。もし仮に私たち現代人の走る場所が古代のような場所、つまり不整地、未舗装路であればベアフットランニングはその真価を発揮すると思います。

が、しかし、みなさんの走っている場所はどこでしょうか?

そう、ほとんどがアスファルト。人工的に作り出された足にとって地獄のような環境なのです。

だからこそ僕の仮説。アスファルトが結果的に走り方を規定している。言葉を換えると、このアスファルト、硬く平面でなめらかな路面において、最もダメージが少なくてすむカラダが出した最適解。実はそれこそ「かかと着地」なのではないか?という仮説です。

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【ランニングミステリー】なぜ現代人はフォアフット走法をしていないのか?できないのか?

この仮説のそもそもの発端。それがこの疑問です。

なぜ我々現代人はフォアフット走法をしていないのか?いや、出来ないのか?

という疑問です。

先程も指摘したように人類史や人間の進化というものを俯瞰すると、フォアフットに適したカラダの進化になっている可能性が高く、初期人類も現代人もほとんどカラダのつくりは同じという事実。それなら現代でも勝手にフォアフット走法をしているはずです。

では、うす底のランニングシューズやミニマルシューズ、サンダルで走るランナーはフォアフット走法、つま先着地になっているでしょうか?

おそらくなっていない。

かかと着地が約74.9%
ミッドフット着地が約23.7%
フォアフット着地に限ってはなんと約1.4%

これは2004年の札幌国際ハーフマラソンで行われたオリンピック選手を含む国際的なエリートランナーなどを対象に行った調査で判明した事実です。

そう、実に4人に3人が、かかと着地を行っていおり、一方でフォアフット着地は100人にひとりというそんなレベルです。

スピードを出しているエリートランナーでもこの割合であり、市民ランナーになればよりかかと着地が多くなることは実際にご自身の目でも観察出来ると思います。

この現象こそがそのまま答えだと僕は思っています。

答えは頭の中ではなく、カラダの中にある。つまり目の前の現象をそのまま捉える。

かかと着地が約74.9%

これこそ人体の導き出したアスファルト上を走るときの答え・最適解なのではのではないでしょうか?

ではなぜこの現象・かかと着地を人体は選んだのか?もちろんランニングシューズのせいもあるかとは思います。

しかし、もっとマクロな視点、それこそ人類史を俯瞰すれば答えはシンプルです。ケガをしたくないからです。

実際に固い路面をある程度のスピードで裸足で走ってみればわかります。ほとんど全員がかかと着地になるはずです。どうあがいてもフォアフット着地にはならない。

言い換えれば、スピードをあえてころして、出来ている出来ていないに関わらず、足にかかる負荷を自動的に調節しているとも言えます。

人類が生き残る上で、二足歩行というただでさえ不安定で怪我をしやすい移動方法において、足の痛みやケガは命取りになります。

もし初期人類がランナー膝や足底腱膜炎などになれば、動作が鈍り、即刻、ライオンやサーベルタイガーなどの肉食獣の餌食になってしまう。そんなやわな種族は生き残れません。

すなわち、人間は本来的にケガをしにくいカラダの作りになっているはずなのです。

ちなみにこの足底腱膜炎というランナーによく起こるケガも実はここ最近になって初めて現れた障害である可能性が高いとも指摘されています。

これも、もしかするとアスファルトとの関連性があるのかもしれません。

このように上手くケガをしないように作られたカラダでもアスファルトには対応できなかった。というかそんな存在、人間のカラダは想定していない。アスファルトなんてここ100年レベルの産物だからです。

我々の600万年以上もかかって作られたカラダがアスファルトという想定外の状況に対応・適応しようとした結果、ケガのリスクを下げようとした結果こそが、実はかかと着地なのではないのか?

これが僕の仮説です。

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まとめ

以上、まとめると、なぜ現代人は走っているときにかかと着地になってしまうのか?

その答えとして、①フルマラソンという競技自体が実はカラダにマッチしていないのではないか?という仮説と、②アスファルトが走り方を規定しているのではないか?つまり、固い路面を走るためにカラダが出した最適解としてあえてブレーキをかけることでスピードを落としケガのリスクを下げようとしているのではないのか?

という仮説から考察してみました。あくまで、エンタメとしてサクッと考えた感想に近い仮説・考察なのでもちろん間違っているとは思います。そのことだけご注意ください。

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↓アスファルトに適応するために人類が編み出した最適解↓

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