みなさんどうも、こんにちは!
僕は元帰宅部の本気【The VO2 MAX RUN】というYOUTUBEチャンネルでランニング・マラソン情報を発信をしている市民ランナーです。
2013年、カナダ、ブロック大学の心理学者アンジェラ・ブックは、学生が歩いているところを撮影した動画を服役中の凶悪犯47名に見せ、犯罪被害に遭いやすいタイプがどうかを一から十までの点数で評価させるという興味深い実験を行いました。
この実験でわかった驚くべき事実。それが歩き方です。なんと受刑者たち中でも、サイコパスに分類された受刑者たちは補足質問に対して、犯罪者の餌食になりやすそうな人を見分ける手がかりは「歩き方」だと答えたのです。
この実験結果には実はぞっとするような真実が隠されています。1970年代に30人以上の女性と子どもを殺した凶悪犯テッド・バンディは、
通りを歩くときの歩き方や首の傾き、身のこなしで、やれるかどうか分かる
とうそぶいたことがあるからです。つまり、歩き方を意識するだけでも犯罪に巻き込まれる可能性を低くできるかもしれないという誰も想像していなかった仮説も考えられるのです。
歩き方はある場所からある場所へ移動する手段以上の何かが隠されている。実際のこの驚くべき論文は以下に載せておきます。
Psychopathy and victim selection: the use of gait as a cue to vulnerability『サイコパス傾向と被害者の選定:襲う手がかりとしての歩容(歩き方)の使い方』
元々はサイコパス傾向の人間がどのような観点から被害者を選定するのか?を研究してわかった事実から派生した論文です。アンジェラブック博士のその他の研究も興味深い。
以下で解説している知識の広げ方を使って、知見を広げてください(もしかすると大切なヒトを犯罪から守れるかも)!
↓【これでOK】ド素人でも英語の論文を簡単に読める裏技↓
↓もともとのアンジェラ・ブック博士の研究↓
ということで、今回は人間の特徴のひとつ。地面の上を二本の足で立って、歩くウォーキング。直立二足歩行を取り扱ったこちらの本から深ぼっていきたいと思います。
「直立二足歩行の人類史 人間を生き残らせた出来の悪い足」
できるだけ論文などの一次資料を参考にしながらウォーキングだけでなくランニングにもつながるように知識を散りばめました。この動画を見た人だけが一歩進んだ「超」がつく興味深い知識を手に入れ、多くの学びが得られる。
最後まで見ると「人体すげ~ウォーキングすげ~」となるので、是非、最後までご覧ください。
目次
【具体的なウォーキング方法】健康でいるためには1日7500歩を目指して歩け!
ボストンのブリガム・アンド・ウィメンズ病院の研究者イ=ミン・リーらは、2011年から2015年にかけて、平均年齢72歳の約1万7千人の女性に歩数計を一週間装着してもらい、一日の歩数を調べました。
そしてわかったことは、一日に平均4400歩以上歩いている女性は、2700歩しか歩いていない人よりも遥かに生存率が高かったことでした。
さらに興味深いこととして、1日7500歩までは、「歩数が多くなるほど、健康で長生き」という関係が見られましたが、7500歩を超えると、違いは見られなくなったとも報告しています。
これらの結果を受けてイ=ミン・リー博士は、現在の平均的な歩数よりも二千歩多く歩くようおすすめしています。これも実際の論文を載せておきます。ちなみに日本人研究者もここに関わっていたりします。
↓ボストンのブリガムアンドウィメンズ病院の研究者らが行った歩数(ウォーキング)の研究↓
Association of Step Volume and Intensity With All-Cause Mortality in Older Women『散歩(歩数や運動強度)と年配の女性における全ての死亡原因との関連性』
日本人としてMasamitsu Kamada(PhD)も参加しているウォーキング研究。7500歩という数値をはじき出したのはかなり面白い!人によってもちろん最適な歩数や強度は変わりますが、年配の女性(72歳前後)で言えば、毎日7500歩を目安に歩いてみましょう。健康で長生きできるかも!
↓日本のウォーキング研究者第一人者(信州大学医学部)のウォーキング研究↓
【1日1万歩は意味ない!?】ウォーキングの科学10歳若返る本当に効果的な歩き方
ウォーキングについてはさらにこんな興味深いデータも存在します。
乳がんのリスクを減らすウォーキングの効果
それが乳がんについてです。なんと毎日歩くことで乳がんのリスクを減らせることが判明したのです。
ちなみにアメリカでは乳がんと診断される男性も年間で3000人近くいたりします。男性だからと言って乳がんにならないわけではありません。
そして、2016年の150万人近くを対象とした研究では乳がんを含め、ランニングなどの中等度の運動によって13種類のがんのリスクが低下することも明らかになりました。
↓すべての研究はこちらの書籍に載ってます(引用参考文献も多数)↓
前半は常識を180度覆す「二足歩行の進化論」を研究ベースで解説し、後半は運動(ウォーキングなど)を掘り下げ、分子生物学的に、脳科学的に、解剖学的にまんべんなく拾い集めてきた知識の幅がグンと広がる名著。出典が死ぬ程充実しており最高!個人的におすすめなのが、本書冒頭にある「人類進化の系統樹」の図(これまで見たどの進化の系統樹よりわかりやすく見やすく本当に100点満点!素晴らし過ぎてコピーしたほど)。
↓出典はこんな感じ↓
↓前半パート↓
マラソントレーニングのおすすめのやり方とベアフットランニングを活用したケア方法【直立二足歩行の人類史】
【マイオカイン】インターロイキン6が100倍になるマラソン
では、ここからマラソンの研究を足がかりにして、より深ぼっていきたいと思います。
1990年代末、デンマークの生理学者ベンテ・クラールルント・ペデルセンを中心とする研究チームはマラソンランナーがゴールした後のインターロイキン6というタンパク質の値がスタート時のそれより100倍高いことを発見しました。
このインターロイキン6とは免疫系に関係するタンパク質で外敵からカラダを守る白血球が互いに情報を伝達するために使っている物質です。このインターロイキン6は「身体に備わった天然のイブプロフェンである」とこの本の中では表現されています。イブプロフェンとは「解熱剤」や「鎮痛剤」有名どころではあのバファリンなどの主成分です。
ではなぜ、ゴールしたマラソンランナーのインターロイキン6(天然のバファリン)はスタート時の100倍という驚きの値を叩き出したのか?
ここからが面白く、ペデルセンらの研究チームはそのメカニズムを解明するためにこんな実験を行いました。
6名の男性の被験者、彼らの足首に重りを取り付けます。そして、同時に両足に血液を採取するための静脈注射も装してもらいました。
被験者6名は椅子に座ったまま、片足だけ、数秒間に一度のペースでゆっくりと膝の曲げ伸ばし運動を実施。
それが、動かしたほうの脚から採取した血液はインターロイキン6の濃度が上昇したのにも関わらず、動かさなかった脚から採取したインターロイキン6の値は全く変わらなかったのです。
この結果からペデルセン博士が導き出したアイデア
それは筋肉自身がインターロイキン6を作り出し、それを血液中に放出しているのではないか?というアイデアです
この考え方は当時、非常に画期的だったのです。
それはなぜか?
みなさんはホルモンという言葉を耳にしたことがあると思います。
ここで言うホルモンとは焼肉のホルモンではなく、男性ホルモンや女性ホルモンという言葉で使われるあの「ホルモン」です。このホルモンとは何かと言えば、臓器と臓器の間で情報を伝える伝達物質です。そして主に内分泌器官と呼ばれる臓器、たとえば膵臓、脳下垂体、卵巣、睾丸などから放出されます。それらのホルモンが血液を通して他の臓器に情報を伝えるのです。
ペデルセン博士はここに注目しました。
何が言いたいかと言うと、それはつまり筋肉自体も内分泌器官ではないのか?という当時誰も考えてこなかったぶっ飛んだアイデアです。筋肉は身体を動かす動力源だけでなく、内分泌器官としても働き、血液を通して身体中に様々な情報を伝えている。
そして、このペデルセン博士の発見した筋肉が収縮したときのインターロイキン6の増加はほんの始まりに過ぎませんでした。現在、このような伝達物質は百種類以上発見されています。
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そして先程のウォーキングによる乳がんの発症リスクの低下、乳がん予防につながる現象はこうも説明できるのです。
ウォーキング中に筋肉が作り出す伝達物質のひとつ。それがオンコスタチンMという物質。なんとこの物質がマウスの乳房腫瘍を小さくさせることが発見されたのです。また、同じくインターロイキン6ががん性腫瘍を攻撃・破壊する「ナチュラル・キラー細胞」を動員する働きがあることも発見されています。
これらの発見をしたのも、何を隠そうペデルセン博士らの研究チームです。だからこそ、ウォーキングなどの運動をすることで乳がんのリスクを下げられるという現象を説明できるのです。
2003年、ペデルセン博士はこれらの筋肉から作られる物質に「マイオカイン」という総称を与えました。
これが知る人ぞ知る、運動誘発性マイオカイン。通称、運動ホルモンと呼ばれる近年、発見された運動が健康に良いとされる科学的根拠のひとつとなる物質です。
↓伝説の研究たち(マイオカインの発見!)↓
Pro- and anti-inflammatory cytokine balance in strenuous exercise in humans『超ハードな運動(コペンハーゲンマラソン)での促進―抑制する炎症性サイトカインのバランス』
https://physoc.onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/j.1469-7793.1999.287ad.x
マラソンランナーのゴール後、TNFが2~3倍↑、IL-6(インターロイキン6)が128倍↑、IL-10が27倍↑など驚くべき数値を得たことから、なんやかんやあって結果的に以下の論文に繋がります。
Searching for the exercise factor: is IL-6 a candidate?『運動のファクターを探る:IL-6(インターロイキン6)が候補物質か?』
「マイオカイン“myokines”)」という総称が提案された画期的な論文。全文を読むのは有料ですが、要旨には「IL-6はエネルギーセンサーとして働き、筋グリコーゲンの中身(量?)によって調整されている」みたいな超興味深いことが書かれています。恐らくこの論文で言いたいことは「運動って健康に良い!だってIL-6で痩せられるし、TNF-αを抑制して結果インシュリンの効きを良くしたり動脈硬化予防できるし」みたいな感じでインターロイキン6こそ運動で重要な物質ということを伝えたいようです。
ちなみにこの運動誘発性マイオカインの効果は多岐にわたり、メンタルにも影響を与えます。
↓こちらで取り扱っている脳の健康に欠かせない物質↓
【仕事の効率を上げる】仕事に効く 脳を鍛える スロージョギング【有酸素運動の効果】
ハーバード大学医学部准教授ジョン・レイティ博士が「脳のスーパー栄養剤」と読んでいる脳由来神経栄養因子(BDNF)。
このBDNFも実はマイオカインの一種だったりします。
身体を動かすと頭がすっきりするその正体や「筋トレがすべてを解決する!」とよく言われる理由が実は内分泌器官としての「筋肉」という視点からも説明できるのです。これらはこちらの2冊の本、「スタンフォード式人生を変える運動の科学」と「脳を鍛えるには運動しかない!」で本物の研究者がエビデンスベースで深ぼっているのでおすすめです。
【和歌山県立医科大学リハビリテーション科の研究】ウォーキングやランニングが出来なくてもマイオカインの影響を得られる!
そしてこのマイオカインについて、日本で行われた面白い研究も存在します。
その研究を行ったのが和歌山県立医科大学リハビリテーション科の研究チームです。
ペデルセン博士らが発見したマラソンランナーのゴール後に爆上がりしたインターロイキン6。
彼らは脊髄損傷患者、つまり車いすのハーフマラソン選手と車いすのバスケットボール選手を対象とする実験によって、たとえウォーキングやランニングなど足を使わなくても、このインターロイキン6の値が上がり、さらに腫瘍壊死因子(TNF)と呼ばれる免疫に関わる数値が下がることも確認しました。
つまり、どのような形の運動であれ、身体のどこかの筋肉が持続的に収縮すればそれでOKということです。リハビリの面白い可能性を示唆する実際の論文2本は以下に載せておきます。
↓和歌山県立医科大学リハビリテーション科の研究ふたつ↓
Increase in interleukin-6 immediately after wheelchair basketball games in persons with spinal cord injury: preliminary report『脊髄損傷の方々が参戦した車いすバスケット試合後すぐのインターロイキン6の増加:予備レポート』
Elevation of interleukin-6 and attenuation of tumor necrosis factor-α during wheelchair half marathon in athletes with cervical spinal cord injuries『頚髄損傷の車いすランナーたちのハーフマラソン中でのインターロイキン6の増加と腫瘍壊死因子(TNF-α)の減衰』
足が動かせなくても筋肉を収縮さえすれば運動の恩恵は得られる!また炎症反応でIL-6が上昇しているのではないことも発見されています。そして、これらの論文を読んで思ったことはIL-6などの恩恵を受けようとすると(厳しく)長い「有酸素性運動」がやはり鍵のよう。脊損患者での持続的筋収縮が見込まれない筋トレとかはあまり刺激されない!?筋トレで放出されるアドレナリン量では補完できない?などなどいろいろ想像が膨らむ良き研究(ディスカッション項目に書いてたらすみません)。
【ピッツバーグ大学の研究】ウォーキングで記憶力アップ
2011年、ピッツバーグ大学の心理学者が地元の健康な高齢者120名を対象としたウォーキングと記憶力を調べた研究。
ウォーキング(散歩)せずストレッチだけしたグループは海馬が1~2%減少。反対にウォーキングしたグループは海馬が2%増加。これはつまり散歩せずストレッチレベルの運動だけでは記憶力が低下し、逆にウォーキングレベルの運動だけでも記憶力がアップするということ。
ウォーキングによって記憶を司る海馬が再生し得ること、日常的に歩くだけでその再生を促進できることが分かったのです。
では、なぜこんな若返りとも言える現象が起こるのか?
一つの説明は、ウォーキング、あるいはランニングなどの運動全般が血流を促進するから、です。当たり前ですが運動すると血流は増えます。
そして増えた血流こそがキーポイントです。
それこそ運動ホルモンと呼ばれる「マイオカイン」にあります。
収縮した筋肉から放出されるマイオカインは血液に乗り全身に運ばれます。血流量が増えれば増えるほどその恩恵が受けられるのです。
このマイオカインの一つに、ギリシャ神話の虹の女神イリスにちなんで命名されたイリシンと呼ばれるものがあります。
2019年、ブラジル・リオデジャネイロ連邦大学の研究チームは、アルツハイマー病患者のイリシン値が驚くほど低いということを発見しました。
この研究チームがマウスで実験を行ったところ、イリシンを作る能力をブロックしたマウス、イリシン値の低いマウスは、迷路のどこにチーズがあるかを記憶する課題の出来がきわめて悪かったのです。
事実、このブロックを解除してイリシン値を元に戻してやると、そのマウスはチーズのありかを覚えられるようになりました。
そして、最も出来が良かったのは、運動をしたマウスだったことから、少なくともマウスの場合は、イリシンは海馬に直接到達し、海馬のニューロンを良くない変化から守ることが示唆されています。
さらに脳に関して言えば、このイリシンよりも先程登場した脳由来神経栄養因子(BDNF)が重要かもしれません。
ピッツバーグ大学の心理学者が行った地元の健康な高齢者120名を対象としたウォーキングと記憶力を調べた研究を思い出してください。
この研究によると定期的にウォーキング(散歩)していたグループの海馬の体積が2%増加していたことがわかりました。そしてなんとこのグループは脳由来神経栄養因子BDNFのレベルも対照群よりも高かったことが報告されているのです。この「脳のスーパー栄養剤BDNF」に関しては京都大学の教授が書いたこちらの本でわかりやすく解説されています。
まとめ
近年発見された運動ホルモン、マイオカイン。筋肉を内分泌器官と見なし、マイオカインの恩恵を戦略的に得ることで健康になれり、学習効率が上がるかもしれない。そのためには今もてはやされている筋トレよりも実は有酸素運動のほうがマイオカインという切り口でいえば、多くの恩恵を得られる可能性が高いと言えそうです。なぜなら筋肉の収縮回数が多いから。1回で何キロの重りを挙げられるか?ではなく、何回筋肉を収縮させられるか?その回数が多ければ多いほど、筋肉が生み出す希望の物質、マイオカインによってハッピーになるからです。
是非、戦略的に有酸素運動を取り入れ、筋肉を収縮させ運動ホルモンを分泌させていきましょう!
今回はあくまで自分の言葉で簡単にかみ砕き、まとめただけなので、少しでも気になった方は是非、本書をお取り下さい。
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