みなさんどうも、こんにちは!
僕は元帰宅部の本気【The VO2 MAX RUN】というYOUTUBEチャンネルでランニング・マラソン情報を発信をしている市民ランナーです。
みなさんは今まで生きてきた中でこんなことを考えたことはあるでしょうか?
我々、現代人は呼吸しすぎではないかと?
はたまた、こんなことを考えたことがあるでしょうか?
いろいろな場面で良く取り入れられている深呼吸。実はこの深呼吸こそが体に悪く、パフォーマンスの足を引っ張ているかもしれないと。
そんな考えたこともなかった視点で呼吸という当たり前に鋭く切り込むのが、今回ご紹介するこの本。
パトリック・マキューンが書いたトップアスリートが実践 人生が変わる最高の呼吸法 THE OXYGEN ADVANTAGEです。
ただ運動不足を解消したいと思っている人でも、週末にジョギングを始めた初心者ランナーでも、はたまたプロのアスリート、もしくは喘息など呼吸器疾患で悩んでいる人であっても今からお伝えする方法を使えば全てのパフォーマンスを劇的に改善できるかもしれない。そんな不思議で理にかなった呼吸の新常識を見ていきたいと思います。
このブログを最後まで見ると、この本(トップアスリートが実践 人生が変わる最高の呼吸法)のタイトルにある通りあなたの「人生が変わる」かもしれない。是非、最後までご覧ください。
目次
トップアスリートが実践 人生が変わる最高の呼吸法
この本の切り口はこうです。
健康とフィットネスを妨げるいちばん大きな要因は、「慢性的な呼吸過多」という状態、つまり呼吸のし過ぎである。
そしてこう指摘されています。我々現代人は無意識に
適正量よりも2倍か3倍は多く呼吸している
だからこそです。問題の本質は呼吸のし過ぎ。呼吸の回数自体が多いのなら、解決策はとても簡単です。
そう、呼吸を減らせば良いのです。
この本が指摘するパフォーマンスをアップさせる方法。それこそ呼吸制限です。
「呼吸制限」
そう聞いて身構える必要はありません。もっとも簡単な呼吸を減らす方法。
それこそが、鼻呼吸なのです。鼻呼吸を日常生活に意識的に取り入れる。もちろん運動時であっても意識します。とてもシンプルな解決策なのです。
58歳になるドン・ゴードンというアマチュアサイクリスト。彼の幼少期の夢はプロサイクリストになることでした。が、しかし、すぐに疲れて息が上がってしまい結局10代でその夢をあきらめました。
その後、スポーツから無縁な生活を長年送り、仕事にあけくれます。
そして現在、彼は市民サイクリストとして、58歳という年齢でありながら、20代から30代のトップ選手が参加しているレースの中で、全320人中で29位、年代別1位の成績で走ることが可能となっています。
もともとはすぐに疲れ、息が切れ、運動から遠ざかっていたドン・ゴードン。なぜ彼はそんなパフォーマンスを発揮できるのか?
この変化のカギこそ、呼吸法を変えたことにあるのです。
この話を聞くと、やや胡散臭いサクセスストーリーに聞こえるかもしれませんが、このドン・ゴードンを含め誰でも最初はとても懐疑的です。
だからこそ、その仕組みをしっかりとした理論を使って紐解いていきたいと思います。
浅い呼吸とは何?見かけ上の深呼吸は呼吸が浅くなる
もちろん増えると思うはずです。深呼吸によって大量の酸素を取り込んでいるのだから、その分、血液の中にある酸素も多く取り入れられているはずだと。
そこに大きな落とし穴が存在します。
この本ではこう鋭く指摘されています。
実際は、たくさんの空気を肺に入れても、血中の酸素は増えない。むしろ持久力を高めたいならいちばんやってはいけないことだ。
驚くことに深呼吸はパフォーマンスの低下に繋がるのです。
それは一体なぜなのでしょうか?
それが専門用語でSpO2と呼ばる日本語では血中の酸素飽和度のためです。生理学的な説明はこの本に載っているので、知りたい方は是非、読んでもらうとして、この酸素飽和度は常に95~99%を保っています。
そのためどれだけ酸素を吸い込んだとしても、すでに満杯になっているコップに水を入れるようなもので、入らないのです。
実際に安静時なら75%の酸素が使用されず排出され、運動時には25%の酸素が使用されず排出されます。
わかりやすい呼吸の生理学的な話は本書をご覧ください。
ではなぜ多くの専門家が深呼吸を推奨するかというと、気分の問題です。深呼吸は自律神経に作用して気分が落ち着くからです。
が、しかし、きちんとした深呼吸をマスターしていないと起こること
それが胸一杯にたくさんの息を吸い込もうとし(いわゆる深呼吸は)、たいていは口呼吸で胸式呼吸になってしまうという事実なのです。これはたしかに大きな呼吸ですが、結果的に浅い呼吸となってしまう。これがパフォーマンス低下に繋がるのです。
深呼吸をしろ!
とアドバイスをくれる指導者やカウンセラーがきちんとした生理学的知識を持って深呼吸の方法を教えていることが少ない現状で、ただ見かけ上の深呼吸をしたとしても結果的に最悪の事態、パフォーマンス低下に繋がる。
これが深呼吸が体に悪いといわれる由縁です。
アスリートにおすすめな鼻呼吸と一酸化窒素
ではそもそもなぜパフォーマンスの低下がおこるのか?
そしてなぜ冒頭で指摘した鼻呼吸がおすすめされるのか?
答えはこれです。
呼吸で大切なのは、なんと酸素ではなく、実は二酸化炭素の方だからです。
それは呼吸のいちばんの目的は、体内にある余分な二酸化炭素を排出することであり、酸素を取り入れることではないからです。何を言っているのか理解出来ない方やそんなはずはないと思った方はこちら「BREATH 呼吸の科学」の冒頭でわかりやすく説明しているので、是非、あわせてご覧ください。
パフォーマンスを向上させるような呼吸をしようとすると重要になるのが、二酸化炭素。
もっと言えば、肺の中に残っている適量の二酸化炭素です。
これがカギとなります。
循環器の生理学で必ず習いテストにも出るひとつの効果。それがボーア効果と呼ばれる現象です。
このボーア効果を発見したデンマークの生理学者クリスティアン・ボーアは自らが発見したこの効果についてこう述べています。
血中の二酸化炭素の圧力は、体内の呼吸代謝において重要な役割を果たしている。適正な量の二酸化炭素を使えば、人間の肉体はより効果的に酸素を活用できるようになる。
言い換えると、
二酸化炭素は、血液中の酸素が体内に取り込まれる量を決めている。この二酸化炭素の量が最適であれば体が有効に使える酸素の量も増える。
ということです。
何が言いたいかというと酸素を効率的に使うには二酸化炭素がカギとなるということです。
これが難しく書かれているボーア効果の本質です。
そして、見かけ上の深呼吸のように胸を広げるような口でする胸式呼吸、さらに呼吸のし過ぎ、呼吸過多で起こること。それが二酸化炭素の排出量の増加です。
そうなのです。
酸素を有効に使うためには一定の二酸化炭素が必要であるのに、その二酸化炭素を吐き出し過ぎている。これがパフォーマンスを落とすそもそもの原因。
だったら呼吸の回数を減らせば、おのずと肺に残る二酸化炭素の量も増え、ボーア効果によって酸素を有効に活用できる。
これがさきほど指摘した呼吸で大切なのは、実は酸素ではなく、二酸化炭素の方であるという意味なのです。
そうなのです。
だからこそ呼吸制限とボーア効果、つまり二酸化炭素の量をあえて増やすことがキーワードとなってくることも理解して頂けた思います。
そしてなんと呼吸を減らすことに関する研究によると、息を止める水泳のトレーニングを短期間行うと、ランニングエコノミーが6%も向上するという驚きの研究結果も存在します。
↓とても興味深いので実際の論文をのせておきます↓
コントロールされたスイミング中の呼吸はスイミングのパフォーマンスとランニングエコノミーを向上させる
アスリートもおすすめ!いびきを防ぐと足が速くなる
では、てっとり早くパフォーマンスを向上させる方法をご紹介します。
それがいびきを防止することです。
いびきをしないように口にテープを貼ってください。ランナーならテーピングをしている方も多いと思います。是非そのテーピングを小さく切って寝る前に口に貼ってください。
↓もしくはこんな商品もあります↓
これだけで運動のパフォーマンス以外にも仕事などの日常のパフォーマンスも上がります。
なぜか?
強制的に鼻呼吸に変えることで吸気量、吸い込む空気量を減らせるからです。
そう、冒頭で言った鼻呼吸。
鼻呼吸に切り替えると呼吸量自体が減るので、体内に取り込める酸素の量が20%増えるというデータがあり、さらにもうひとつ、一酸化窒素の恩恵に預かれるからです。
この一酸化窒素という物質。この物質は血管に「リラックスして拡張しろ」という信号を出します。さらにこれは血管だけでなく、空気を吸い込む肺、この肺にある気管にも同じ信号を出します。
すると何がおこるのか?
空気の通り道や血液の通り道が大きく広がるのです。よって、酸素を効率よく取り込め、さらに血液の運搬がスムーズにいくために、運動能力のアップにつながるという理屈です。
ちなみにこのベストセラーBORNTORUN走るために生まれたに登場したタラウマラ族や獲物を追いかけ続ける持久狩猟を行う民族は鼻呼吸であったことがわかっています。
ランニングの膝の痛み!BORNTORUNから学ぶ「走る」方法
さらに鼻呼吸が良いのはダイレクトに体を健康にしてくれるからでもあります。
一酸化窒素は人体に備わった防御機能であり、循環器系の病気をすべて防いでくれる
この大げさな言葉。
これは何を隠そうこの一酸化窒素の驚くべき機能を明らかにした研究者のひとり、ルイス・J・イグナロ博士の言葉です。このイグナロ博士を含む2名の研究者は1998年にその功績が認められあのノーベル賞を受賞しています。
そしてなんと、口呼吸ではこの万能分子である一酸化窒素の恩恵を効率的に受けられないことが判明したため、鼻呼吸がおすすめされているのです。
この一酸化窒素については食品からも補えることがわかっています。後日、ブログやネットにはおそらく落ちていないであろう知っているか知らないかで差がつくそんなレベルの超興味深い情報をまとめるつもりなので、よろしければお待ちください。
メダリスト・プロアスリートも実践した呼吸トレーニングのやり方
では、鼻呼吸を意識する他に、パフォーマンスを向上させる方法。
それこそ簡単です。息を止めるのです。もっと言えば、息を止めてウォーキングやランニングを行うことでボーア効果を利用して二酸化炭素の恩恵を最大限に引き出すのです。
ではどれくらい息を止めれば良いのか?
だからこそ、ものさしが存在します。それが体内酸素レベルテスト、通称BOLT(ボルト)と呼ばれテストです。このテストを使うと、自分の呼吸量をかなり正確に測定することができます。
このテストはいたって簡単で、「息をしたい」という欲求を最初に感じるまでの時間を計るだけです。息をこらえる耐久テストではありません。よって、鍛錬をつんだプロのアスリートであっても数値がとても低い、つまり成績が悪いことも多々あります。そしてこの体内酸素レベルテストBOLTの数値が低ければ低いほど、呼吸過多の状態にあるということでもあります。
具体的な体内酸素レベルテストBOLTのやり方
【BOLTのやり方(手順①~⑤)】
まずテスト前の10分間は安静にする。そしてストップウォッチを用意しテスト開始
- 鼻から普通に息を吸い、また鼻から普通に吐く
- 鼻をつまむ(息を完全に止めて肺に空気が入るのを防ぐため)
- そのままの状態で、「息をしたい」という最初の欲求を感じるまでの時間を計る(つばを飲み込みたくなったり、気管が収縮するような感じになったりしたら、欲求が出たサインだ。お腹の呼吸筋やのどが勝手に収縮する場合もある)
- 欲求を感じた時点でストップウォッチを止めて鼻から手を離し、鼻で呼吸を再開する
- 通常の呼吸に戻る
※注意※
・静かに息を吐いてから息を止める
・BOLTはあくまでテストであり、呼吸法を改善するエクササイズではない
その他の注意点は本書をご参照ください
是非、実際にやってみてください。
そして、最終目標はこの息をしたいと思う時間を40秒まで延ばすことです。この40秒がいわゆるゴールです。
もし運動中に呼吸を止めるトレーニングを組み込むのなら、最低でもBOLTスコアが20秒を超えてから、つまり20秒間たっても息をしたいと思わないレベルまでスコアをあげる必要があります。
そしてこのBOLTスコアをあげる方法こそ、意識的な鼻呼吸であったり、睡眠時にいびきを防止するためのテーピングであったりするのです。
具体例:走りながら息をとめる呼吸制限トレーニング方法
では、実際の呼吸制限トレーニング、走りながら息を止めるトレーニングを見ていきたいと思います。
基本的に息を止めるエクササイズでは、中度から強度の息苦しさを感じるまで息を止めることを推奨しています。具体的な数値としては、血中酸素飽和度を94%以下、90%を切るのが理想的です。
91%未満の状態をおよそ24秒間保持すると、EPO、エリスロポエチンと呼ばれる赤血球をつくることに役立つホルモンの分泌量が最大で24%増加するという研究も存在します。
この息止めエクササイズは精神を鍛えることを目的としているのではなく、あくまで生理学的な変化に焦点を当てています。
よって、パルスオキシメーターと呼ばれる血中酸素飽和度を測る機械があれば80%以下になればすぐに呼吸を再開します。忍耐力をつける我慢比べをしているのではありません。そこだけは理解しておいてください。
ちなみに日本人が開発した画期的な器具こそ、このパルスオキシメーターだったりします。
↓パルスオキシメーターや医療についてのおもしろい必読のベストセラー↓
では、まずは簡単なウォーキングエクササイズからです。
これを10分から15分行うだけで、高地トレーニングと同じ効果をあげることができるため、著者はこれを「疑似高地トレーニング」と呼んでいます。
では具体的に説明していきます。
まず鼻呼吸をしながら30秒ほど歩き、鼻からゆっくり息を吐いて鼻をつまんで息を止め、中度から強度の息苦しさを感じるまで息を止めたまま歩きます。そして鼻から手を離し、最小限の鼻呼吸を15秒間続けて通常の呼吸に戻します。それを適宜繰り返しながら体を馴らしていきます。
馴れてきたら、歩きながら、1分間に1回くらいのペースでこの息止めを繰り返します。
つまり何がしたいかと言うと、息を止め、中度から強度の息苦しさを感じたら呼吸を再開し、最小限の呼吸を15秒ほど続け、これを歩きながら8回から10回くり返すということです。
この息止めウォーキングエクササイズは約12分くらいで完了します。
では、ウォーキングに慣れてきたら次にジョギング、またはランニング中に息を止めるエクササイズに移りましょう。
このランニングエクササイズは2つのステップから構成されています。
②1分間普通に走り、また息を止める
この息止めエクササイズを8回から10回くり返す
これだけです。
では、最初のステップ「走りながら息を止める」
15分程度鼻呼吸で普通に走り、体が温まって汗が出てきたら、ゆっくりと息を吐いてから息を止めます。中度から強度の息苦しさを感じるまでそのまま息を止めていてください。息を止めていられる時間は、だいたい10歩から40歩くらいになると思います。
そして、次のステップ「1分間普通に走り、また息を止める」
呼吸を再開したら、呼吸がだいたい普通に戻るまで鼻呼吸で走ります。これには約1分くらいかかるはずです。
この走りながら息を止めるエクササイズを8回から10回くり返します。息を止めるときに、がまんしすぎないように注意してください。
呼吸を再開してから2回以内の呼吸で普通のペースに戻れるのが最適な負荷です。
これらを普段のトレーニングの合間に組み込むだけでも、BOLTスコアが向上し、酸素の利点、THE OXYGEN ADVANTAGEを得ることが出来る体に生まれ変わります。
まとめ【呼吸トレーニング】
あまりピンとこなかった方のためにもう一度わかりやすく記載しておきます。
【ランニング息止めエクササイズ】
対象:BOLTスコア20秒以上の方
↓ステップ①走りながら息を止める↓
15分程度鼻呼吸で普通に走り、体が温まって汗が出てきたら、ゆっくりと息を吐いてから息を止める。中度から強度の息苦しさを感じるまでそのまま息を止める。息を止めていられる時間は、だいたい10歩から40歩程度。
↓ステップ②1分間普通に走り、また息を止める↓
呼吸を再開したら、呼吸がだいたい普通に戻るまで鼻呼吸で走る。だいたい1分くらいかかる。
↓ステップ①~②を「息止めを8回から10回くり返す」↓
走りながらこの息を止めるエクササイズを8回から10回くり返す。息を止めるときに、がまんしすぎないように注意する。呼吸を再開してから2回以内の呼吸で普通のペースに戻れるのが最適な負荷。
本書ではその他の方法も含め、図解とともにより詳しく載っています。
【呼吸回復エクササイズ(集中力が向上する)】
- 鼻から普通に息を吐く
- 息を止めて鼻をつまみ、そのまま2秒から5秒息を止める
- 10秒間、鼻で普通に呼吸する
- 以上の3つのステップを繰り返す
※この方法でもBOLTスコアがアップ。ステップ②にウォーキングをプラスすると一酸化窒素によって鼻づまりが治るとのこと(かなり強く息苦しさを感じる状況が必要)
さいごに
今回はあくまで運動機能に焦点をあてて、呼吸制限を見てきましたが、それ以外にもダイエットや集中力の向上などにも呼吸制限は効果的であり、エビデンスベースでなぜそう言えるのかがしっかりとわかりやすく書かれているのでこのベストセラー「呼吸の科学」とともに名著に入るレベルだと個人的には思います。
少しでも気になった方は是非、本書をお取り下さい。読んで損はないおすすめの一冊です。
【ランニングで勉強ができる】効率の良い勉強法と運動脳の作り方
コメント