【速くなるマラソン練習方法】ジグザグ走のやり方【エチオピア流トレーニング】

書籍紹介

 

みなさんどうも、こんにちは!

僕は元帰宅部の本気【The VO2 MAX RUN】というYOUTUBEチャンネルでランニング・マラソン情報を発信をしている市民ランナーです。

エチオピアのランナー、アベレ。

彼の初めての海外レースはモロッコで行われたハーフマラソン

そして彼の出した記録は61分台

そして驚くべきことに彼のシューズ。なんとサンダル

しかもこの当時はランニングシューズ、レーシングシューズがバンバン使われている時代。

では、なぜ彼はランニングシューズを履かなかったのかでしょうか?

それは、お金がなかったから。つまり経済的な事情でサンダルで走らざるをえなかったのです。

そんな状況においても、ハーフマラソンを61分で走破という驚くべき快挙を達成。

では、彼にこう尋ねたとするとどのような答えがかえってくるのでしょうか?

効率的に速く走るためにはどんな練習をすれば良いのか?と。

その答えはきっとこれだと思います。

ジグザグ走をしろ!!

現在のマラソン男子世界ランキング2位から4位を占めているランニング王国、エチオピア

そんな世界屈指のマラソン王国で、最もメジャーと言ってもよいトレーニング方法であり、速く走るためにゆっくりと走れ!その言葉を体現する練習方法。

その名も、ジグザグ走

これはエチオピア流のドーピングさ!この走り方をすれば、怪我をせずにいい練習ができるんだ!

この言葉は実際のエチオピアランナーの言葉です。

今日はそんなエチオピア流ドーピングとも称されるジグザグ走について、ダラム大学人類学准教授マイケル・クローリー博士が書いたこの本。

ランニング王国を生きる 文化人類学者がエチオピアで走りながら考えたこと

から深ぼっていきたいと思います。

↓この本の解説動画はこちら↓

【エチオピア流㊙マラソントレーニング】ランニング王国を生きる 文化人類学者がエチオピアで走りながら考えたこと【ナイトランニングの方法】

このブログを最後まで見れば、マラソン練習をトレーニングの量、トレーニングのきつさ以外で語る新しいトレーニングの考え方を知ることができる。

是非、最後までご覧ください。

ジグザグ走という名のアフリカ流LSD

みんさんはこんな事実をご存じでしょうか?

それは東アフリカのランナーたちは遅く走ることに長けているということを。

この言葉の本当の意味。

たとえば日本ではゆっくり走るときはどうするのでしょうか?

指導者はこう言うでしょう。「今日はゆっくりと走ろう!」と。もしかすると具体的なペースの指定や心拍数の指定をする方もいるかもしれません。つまり言葉や数値だけでトレーニングをコントロールします。

しかし、しかし、エチオピアでは、もっと効率的な方法を用います。

果たして、それはいったいどんな方法なのか?

簡単です。ゆっくりとしか走れない場所をあえて選んで走るのです。たとえば、森の中やあぜ道などの不整地と言ったスピードを出せない場所をあえて選ぶのです。

そして、今日のトピックであるジグザグ走こそ、遅く走るトレーニングの代表格であり、行う場所が鍵となります。

ジグザグ走を行う場所、それが森の中です。

著者はこう言っています。

森の中を走った。ジグザグに左右に進み、斜面を上るというより横切るような走り方をしていたので、50分が経過してもまだスタート地点から3キロも離れていない場所にいた。

また、こうも指摘しています。

それは環境に合わせたファルトレクのようなものだ。走りやすい場所ではスピードを上げ、森の中や荒く耕された畑を横切るときにはスピードを落とす。

そしてこのジグザグ走が終わったときの感想はこうです。

森の端にたどり着いたときには、嘘みたいに足の調子が良くなっていた。

これがジグザグ走の効果です。

ジグザグ走とはその言葉通り、森などの不整地をゆっくり、もしくは緩急をつけて、ジグザグに進むというとてもシンプルなトレーニングです。

そしてこの森の中で行われるジグザグ走で一番興味深いのは、GPS腕時計の扱い方です。

エチオピアのランナーは、練習のしすぎでオーバートレーニングにならないように気をつけています。そしてその管理の方法。

この本の中ではこう語られています。

どれだけ速く走れたか、どれだけカロリーを消費できたかではなく、森の中をどれだけゆっくり走れるかを確認するためにGPSウォッチを使っていた。

さらには、エチオピアのランナーは日本人のランナーと違い、スピードを上げるよりも下げるときにこのGPSの時計を利用することが多いとのこと。

有名なGPS腕時計のメーカー。ガーミン。この会社のキャッチコピーは「Beat Yesterday、昨日の自分に打ち勝て」というものです。

しかし、速く走るためには遅く走らなければならない。このこと知っているエチオピアのランナーにとって、常に「昨日の自分に打ち勝つ」ことはできませんし、そもそも打ち勝つ必要すらないのかもしれません。

「Don’t Beat Yesterday,Just let it go(昨日の自分に打ち勝つ必要はなく、勝ち負け自体を手放せ)」くらいがジグザグ走でのマインドとしてちょうど良いのかもしれません。

もちろん、ここまで厳密にペースコントロールをせずに、森の中を走るときには腕時計自体を家に置いていくことも多かったり、集団走の場合は先頭で走るランナーだけが、時計を付けているということも多々あります。

何が言いたいかというと、それくらい彼らの腕時計の利用方法は創造的かつ選択的ということです。

ランニングを継続出来るかわからない。せっかく買ってもお金の無駄になるのでは?

もしランニングを辞めるのなら、GPSランニング時計をフリマサイト(ヤフオク、メルカリなど)で売ってください。※ハードオフなど実店舗では安く買い叩かれるので、注意してください!

僕も使用しているガーミンランニング時計は人気の商品なので、そこまで値崩れを起こしません。よって高く買い取られます

現在はCtoC(消費者間取引)が発展して、そこまで損をしない世の中になりました!

マラソン、ランニング初心者にとってランニング時計自体が練習のモチベーションにも繋がるのでおすすめです!

なぜアフリカのランナーは「超」がつくマラソン練習ができるのか?

ちなみに、アフリカのランナーにまつわるかなりおもしろい余談をご紹介します。

アフリカのランナーの月間走行距離は『超』がつくほど多く、考えられないほどの距離を踏む。研究者たちや海外のコーチはそれを目の当たりにし、もっと練習量を増やさねば、彼らに追いつけないと思い、トレーニングを組み立てる。

現地でそんな『超』がつくほどの練習量を誇るランナーたちと寝食をともにしていた著者はこんな興味深い指摘をしています。

それがこの超がつくほどの月間走行距離のからくりです。

 

なんと貸し出されたGPSの腕時計を仲間に貸している場合もあるというのです。

そう、このようなGPS腕時計は高級品であり、そこまで普及していない。しかし、練習でペースメイクをするにはとても便利であるからこそ、借りたいというニーズが生まれる。たとえ、人に貸すなと釘を刺されていても、それこそ国民性もあり、簡単に貸し借りが行われる。結果、走行距離やペースなど、とてつもないデータが研究者や海外のコーチのもとに送られる。

それが著者が指摘するからくりの正体。超がつくほど走り込むとされるアフリカ人ランナーの数値のマジックです。

だからと言って、もちろん、とてつもない距離を踏むランナーも実際にいます。この本に出てきたビハヌというランナーはレースに向けて5週間で、1500kmというぶっ飛んだ距離を走りました。

まさにクレイジーな練習量です。

速く走るためにはゆっくりと走らなければならない

この考えには、ハードなトレーニングを行ってこそ!という前提が存在します。

さきほどのビハヌ選手のメニューで言えば、2つ。

①30キロのスピード走
②レースペース以上での4キロ走×5本

一つ目が30キロのスピード走。これはロング走やテンポ走ではなくスピード走というのがミソです。

二つ目がレースペース以上での4キロ走×5本。具体的にはキロ3:00ペースで、つなぎはキロ4:00ペース。これを標高2200mで行っています。

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想像してみてください。

息絶え絶えの高地でキロ3分ジャストで4キロ走って、繋ぎのペースもキロ4分というスピード。これを5本連続で行う。まさしく異次元のメニューであることは言うまでもありません。さらに5週間で1500kmという驚愕の走行距離。

【怪我を防ぐ】マラソン練習でおすすめのジグザグ走

なぜそんなことが可能となるのか?なぜオーバートレーニングになったり、怪我をしたりしないのか?

その秘密のひとつこそが、森の中で行われるジグザグ走にあるのです。

著者は森の中で行われるジグザグ走についてこのように言っています。

森の中でのジグザグ走りや、さまざまな地表や傾斜を利用した練習は、腕時計が示すペースに合わせて走るのと同じくらいランナーの能力を高めるのに重要だ。直感と創造力を駆使して走り、ペースを落とすべきタイミングを見極めることは、ランニングの基礎となる重要なスキルになる。

また、続けて、このようにも指摘します。

平面を走らないことで関節への負担を減らし、反復的な動きを最小限に抑えなければ、ランナーの能力は高まる。その結果、ランナーは時にクレイジーなことをするようになる。

クレイジーなことって何?

クレイジーなこと。たとえば、5週間で1500kmを走ったり、とてつもない強度のメニューをこなしたり。そう、それこそまさにビハヌ選手のような常識離れの練習のことを指しており、このクレイジーな練習を可能にするのが何を隠そう森の中で行われるジグザグ走なのです。

森は、ランナーがアスリートとして人生を振り返るための格好の空間になる。ジグザグ走とはコーチが押しつけたり、スポーツ科学者が開発したものでもなく、森という環境との関わりの中で自然発生的に生まれ、ランナーからランナーへと受け継がれてきた知恵であり技である。

これがエチオピアのランナーがおすすめするジグザグ走というものです。

より具体的なジグザグ走、森の中で走ること、クロスカントリー走の『なぜ』を知りたい方はこちらの動画で幅広い科学的な視点で解説していますので、是非、一度この動画を見てから実践してみてください。

【初心者ランナーにこそおすすめ】なぜトレイルランで足が速くなるのか?

では、実際にこのようなジグザグ走は日本でも出来るのでしょうか?ジグザグ後の再現性はどの程度あるのでしょうか?

ジグザグ走は日本でもできるのか?

都内なら砧公園代々木公園などの有名なクロカンコースを活用できるかもしれません。が、しかし、正直、個人的な感想としては、日本で行うのは微妙な印象です。

と言うのも、この写真にある通り、森の中と言ってもある程度の開けた広大な平地を走っているように思うからです。このような立地が日本には少ないような気がします。

そう、森の中と言っても、トレイルコースとは微妙に違うようなのです。

近所にそんな場所がない。じゃあ、無理だと言って、諦めるのか?

いや、無理そうなら、アレンジすれば良いのです。自己流、もしくは日本流ジグザグ走を作ってみましょう。これが本来の知識の使い方です。

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ジグザグ走のやり方

ということで、まずはジグザグ走に必要なエッセンスを抽出します。

個人的に重要だと思うのは以下の3つ。

①トレーニング環境である森などの不整地
②ある程度の広さ、ルートの多さ
③ランダム性

この3つです。

さいごのランダム性とははじめにルートを決めるのではなく、不規則にルートを変えて、予想しづらい動きや方向転換によって、スピードを出さない、出せない工夫です。

よって、まず使う環境はトレイルコース、登山道。もし不整地の河川敷があるのならそこでも良いと思います。

広さという意味においては、仮にトレイルコースだと入口の数や山頂までのルートの数の多さを意味します。個人的には頂上に続くルートが複数ある低い山がベストだと思います。

そしてジグザグ走の最も重要であるジグザグという動き。

ちなみにトレイルコースで行う場合は狭い登山道を目いっぱいに使って左右にジグザグに走ることではありません。普通に迷惑行為なのでやめましょう。

物理的にジグザグが不可能なので、進行方向にランダム性をつけます

分かれ道など分岐点を決めておいて、その場所に到達するとどちらの道に行くか、それとも同じ道を戻るのかを、ランダムに決めます。この時、GPS腕時計を活用します。僕はラップタイムを取った時の秒数で偶数か奇数か、もしくは簡単に切り分けた数値によって、ルートにランダム性を出しています。

たとえば、任意に設定した地点や三又などの分岐点に差し掛かったとすれば、その場でラップタイムを取ります。もしくは普通に秒数だけを見るだけでもOKです。

ラップタイムが7分12秒だとすると、一番右の秒数、つまり2秒のところだけを取り出し、偶数なら進む、奇数なら戻るや、0~3、4~6、7~9という風に任意で切り取った数字と照らし合わせて、0~3なら右のルート、4~6なら左のルート、7~9なら来た道を戻るというようにします。

これはさまざまな方法が考えられるので、好きな方法、もしくは楽しめる方法で行ってみてください。

このように計画通りにいかない状況を体験するのが、ジグザグ走において重要であり、臨機応変さや柔軟性を鍛えることにも繋がると個人的には思っています。

または、山頂に続く複数のルートの内、数か所を疾走区間にしたり、3回偶数なら次の区間は疾走区間にするなど練習のバリエーションを増やすことも出来ます。

では、一体いつまでこのジグザグ走を続ければ良いのでしょうか?つまりゴール設定はどうすれば良いのか?という問題です。

目安となるのは、時間です。具体的には1時間10分です。本書ではこのように書かれています。

エチオピアでの「軽い日(イージーデー)」は、たいていペースはゆっくりだが、走る距離は長い。ほぼ毎回、1時間10分は走る。

ということで、1時間10分くらいの時間を目安にトレーニングを行えば、エチオピア流ジグザグ走に近づけられるのかもしれません。

そして、ジグザグ走の最後には必ずスピード走を実施して練習を締めくくってください

エチオピアでのランニングの考え方のひとつ。それが

スピードは出さなければ落ちていく

です。

だからこそ、すべてのトレーニングの最後には全力疾走が組み込まれており、エチオピアのランナーの一般的なトレーニングルーティンとはこんな感じです。

まずはキロ8分のスローペースでスタートし、最後の1キロはどんなトレーニングをしたとしても、キロ4分を軽く切るスピードで走り、最後の最後は全力疾走まで持っていく。さらに段階的に強度を高めるプライオメトリック・エクササイズで締めくくる。

さすがに一番最後のプライオメトリック・エクササイズまではしなくて良いと思うので、トレーニングの最後はスピードを出して終わることを習慣にしましょう。

まとめ

では、改めてジグザグ走をまとめましょう。

ジグザグ走とは森の中などの不整地を走るトレーニング方法で、ランダムにルートを変更していき、ゆっくりペースもしくは緩急のつけたペースで1時間10分程度走り、最後にスピード走をいれて終わるというトレーニング方法です。

今回紹介したのは「こうしろ!」というようなトレーニングの答えではなく、一種のテンプレート・考え方です。是非、みなさんも面白いアレンジを加えて自分流のジグザグ走をつくってトレーニングを楽しんでみてください。これもランニングの楽しみ方のひとつです。

今回はあくまで自分の言葉で簡単にまとめただけなので、少しでも気になった方は是非、本書をお取り下さい。

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