【徹底解説】ランニングする前に読む本 マラソンの科学的トレーニングとは?

書籍紹介

みなさんどうも、こんにちは!

僕は元帰宅部の本気【The VO2 MAX RUN】というYOUTUBEチャンネルでランニング・マラソン情報を発信をしている市民ランナーです。

計算通りに行えば、結果は必ず出る

と確信した大学の先生は、50歳でフルマラソン2時間38分48秒をたたき出しました。

今回紹介するのは、運動が禁忌とされていた高血圧治療ガイドラインにスロージョギングという新たな風を吹き込んだ、田中宏暁(たなかひろあき)先生の書籍。

ランニングする前に読む本~最短で結果を出す科学的トレーニング」です。

ランニング書籍の中でも1位、2位を争う面白い本であり、ベストセラーとして有名なこの名著を解説します。

是非、最後までお楽しみください。

ランニングを科学する

いきなりですが、ここで質問です。

錦織圭選手のような一流のテニスプレイヤーを100点とすると、普段全くラケットを振らない人がテニスにおいて何点くらい取れると思いますか?

答えは、せいぜい10点や20点くらいです。

では、逆に川内優輝選手のような一流ランナーを100点とすると、普段ランニングを全くしない人は何点くらい取れると思いますか?

答えは、なんと95点です。素人でも簡単に95点を取れてしまう。それがランニング、走るという行為なのです。

川内優輝選手がおすすめするランニングの常識破りの練習方法

なぜでしょうか?

それは遙か昔、人類は何万年もの間、ひたすら走って走って走り回り、獲物をへとへとになるまで追い込む持久狩猟という独自の狩りをしていました。だからこそ持久力に特化する二足歩行を獲得した。これが世界的権威のある学術誌ネイチャーに発表された論文の内容です。

そう、ランニング、走ることは人類のDNAの中に刻み込まれた最も根源的な行為だったからです。だからこそ人間であれば誰でも95点を取れるのです。

詳しく知りたい方はこちらの記事【名著を徹底解説】BORN TO RUN~走るために生まれた~で解説しています。

つまり人間たるもの、走るという行為に得意不得意が実は存在しない。その事実だけで一歩を踏み出すのに十分なのです。

ランニングやマラソンが苦手な人へのアドバイス

しかし、やはりランニングやマラソンと聞くと辛いと思ってしまう方が多いと思います。

大丈夫です。だからこそ田中先生はこう提言します。

スロージョギングで楽しく走ってみましょう。

では、いったいスロージョギングとはどんなジョギングなのか?ただ遅く走ればそれでいいのでしょうか?

田中先生はスロージョギングとは次の二点を意識して、ゆっくりと走ることだと指摘します。

スロージョギングのポイント

一点目、「にこにこペース」でゆっくりと走ること
二点目、歩幅を狭くして、フォアフット(足の付け根あたり)で着地すること

詳しく説明します。

一点目の、にこにこペースとは、息を切らさず、笑顔を保っておしゃべりできる上限のスピードこれがスロージョギングでの設定ペースです。

にこにこペース??

主観的すぎて良くわからないという方は心拍数からにこにこペースを見つけることも出来ます。計算方法は以下です。

138ー年齢÷2
それでも辛い場合は128ー年齢÷2、また余裕がある場合は148ー年齢÷2

この値に近い心拍数で走ることがにこにこペースです。かなりゆっくりだということがわかるはずです。

二点目のフォアフットで着地するとは有名ランナーで言えば大迫傑選手のような足の前足部で着地する走り方です。この走り方は足の指先で着地するのではなく、土踏まず~足指の付け根あたりで着地することがポイントとなります。

大迫傑が教える!ランニング毎日走るための秘密

フォアフットとは「つま先」ではありません。足の指の付け根あたりです。

つま先で着地すると、アキレス腱に負担をかけてしまうので注意してください。もしアキレス腱が痛むようならフォアフット着地が出来ていないということなので、改めて確認が必要です。

アドバイスとしては、足指を少し反らす感覚を持つと良い!

なぜフォアフット走法が良いのか?ランニングと怪我の関係

実は田中先生はそれまでかかと着地でしたが、サブスリーを達成してから記録を伸ばすためにあえてフォアフットに切り替えました。その理由が、怪我を予防するためです。

フォアフット着地はかかと着地と比べ、歩幅が狭く歩数が増えます。よって必然的にピッチを稼ぐ走り方になり、同じ運動量に対しピッチで稼げば、一歩一歩の衝撃が少なくなるはず。つまり体の負荷が分散され、怪我をしにくいという理屈です。

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また、かかと着地している方の靴底を見ると外側がよりすり減っていることが多いです。そうした方は着地するときにどちらか傾いて着地しかねません。するとO脚になって膝が外側に傾き、それだけ片方の軟骨がすり減りやすくなって、膝の痛みを起こす原因になります。

しかし、フォアフット着地では親指の付け根から小指の付け根まで全体に均一に着地するので、骨のならび、アライメントがまっすぐに保たれます。したがって膝の痛みを起こしにくい。

と田中先生は指摘します。

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さらにフォアフット着地では足のバネも使用することが出来ます。

足の裏の足底筋膜とアキレス腱は、ゴムのように引き伸ばされると収縮する性質があります。昔流行したホッピングと同じ原理で、これを「ストレッチ・ショートニング・サイクル」と呼びます。このバネ効果を利用するフォアフット着地で走るほうが効率よく、しかも衝撃を吸収してくれるのでケガが少ないのです。

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怪我というランナーには切っても切り離せない問題の解決策として田中先生はストライドが広くなるかかと着地ではなくピッチを重視したフォアフット走法を取り入れました。

怪我を予防するための走り方、それがフォアフット走法なのです。

ではフォアフット走法での具体的なピッチはどのくらいでしょうか?

ピッチ走法で有名なマラソン元世界記録保持者、重松森雄さんは15秒で50歩を超えています。田中先生も自身のピッチはそれと同じくらいだと言っています。

フォアフット着地を目指そうと思えば、ピッチ数を15秒で45歩以上を目安にしてください。

と田中先生はアドバイスします。

あくまでフォアフット着地でピッチを稼ぐ、そうすると足に掛かる衝撃が分散されケガのリスクが減る。これがキーワードです。

フォアフット走法の具体的なイメージとしては、フォアフット走法は推進力を得ようと蹴るのではなく、斜め前に飛び跳ねるイメージで、接地時間をなるべく少なくします

ストライドを伸ばそうと「蹴る」のではなくピッチを稼ぐように「押し跳ねる」イメージ

このピッチで稼ぐフォアフット走法を息を切らさず、笑顔を保っておしゃべりできるペース、にこにこペースで行う。これが田中先生が提唱するスロージョギングなのです。

ランニング初心者がフルマラソンにチャレンジするのはいつ頃がベスト?

初心者の方でも、スロージョギングからはじめて3~6ヵ月経てば、フルマラソンにチャレンジすることを田中先生はおすすめしています。

42.195kmは長い道のりですが、にこにこペースで時間にして1時間難なく走れるようになれば、フルマラソンを完走する体力はついています。

とも田中先生は言っています。

もっと具体的に言えば、

1日30~60分、週にトータル180分以上の運動を3~6ヵ月続け、最終的に週に20~30kmのランニングを3ヵ月続けられるようになれば、これでフルマラソンを走る体力は十分に備わっている。きっとこの時点であなたのにこにこペースは時速6~8kmになっているはずです。

と田中先生は指摘します。

そこからサブ3.5(フルマラソン3時間30分切り)やサブ3(フルマラソン3時間切り)を狙うなら週に70kmを目標に走りましょう。

タイムを狙うランナーは、にこにこペースより一段階負荷の低いるんるんペースでひたすら楽しく走り続け、同時に週に2~3回、目標タイムの平均スピードで60分間走ったり、インターバルトレーニングを組み込みます。

具体的には200m~300mの坂道ダッシュをしてその後しっかり休む(4~5分)ということを4~6回繰り返すトレーニングなどです。このようなトレーニングは走行距離がきわめて少ないのですが、一定ペースで一時間以上走るトレーニングと同等の効果が得られるというデータが発表されています。

マラソンで速く走る方法 坂ダッシュ<インターバル走>

ランニングの常識(スロージョギングのすすめ)

さて、みなさんはこんなランニングの常識を知っているでしょうか?

なんとランニングのエネルギー消費量は一定なのです。

1km移動すれば体重1kgあたりおよそ1kcalのエネルギーを消費しています。

田中先生は言っています。

これは高速でも低速でも一緒なんです

時速3km(1キロ20分)で走っても時速16km(1キロ3分45秒)で走ってもエネルギー消費量ほとんど変わりません。

これは実験結果、数値としての真実です。

つまり、ダイエットとしてランニングしている人はがんばって走る必要がないということを意味しています。がんばって速く走っても早く痩せることには繋がりません

ということで、スロージョギングはダイエットにも効果的です。

スロージョギングはにこにこしながら笑顔で走れるスピードです。本当にゆっくりなので、ウォーキングとしんどさは変わりません。

体重70kgの人が5km歩いたときのエネルギー消費量はおよそ175kcal、これをスロージョギングで走れば、なんとウォーキングの倍の350kcalを消費出来ます。

なんとスロージョギングならウォーキングの2倍のカロリーを簡単に消費できます。しんどさは同じで効率良く痩せられるのがスロージョギングなのです。

また無理な食事制限も必要ありません。

ダイエットを成功させるには、1時間以上の運動ができたら食欲のままに食べる、もし運動できなければ、食事を腹7~8分目に控えること。これに尽きる。

と田中先生は言っています。

ここにおもしろいデータがあります。

研究によって運動量と食事摂取量は相関しますが、体重自体は変わらないことがわかりました。つまり動けば動くほどお腹が減って食事の量は多くなりますが、たくさん食べても体重自体は増えないということです。

よってある程度の運動さえしていれば、ストレスを貯めて食欲をコントロールする必要はありません。体重が増えないように身体が自動的にコントロールしてくれるのです。

定期的な有酸素運動さえしていれば少しくらいの暴飲暴食も身体は適切に処理してくれます。

速く走れる人と走れない人との違いはなんでしょうか?

その答えは、酸素摂取能力の違いだと田中さんは指摘します。速く走れる人は、最大酸素摂取量が多いのです。

最大酸素摂取量は、細胞内のミトコンドリアの機能も大きく関わってきます。よってもしランニングの能力を上げるのには、持久力の要でもあるミトコンドリアの機能を高める必要があります。

では、どうすればミトコンドリアの機能を高めることができるのでしょうか?

ずばり、中強度以上の運動をすることです。

ミトコンドリアの機能を高めるにはPGC-1αと呼ばれるたんぱく質が重要になってきます。このたんぱく質は強い運動をすると活性化します。そしてなんとスロージョギングの要であるにこにこペースでの運動はPGC-1αを活性化します。つまりにこにこペース以上の運動ではミトコンドリア機能の向上が期待出来るのです。

スウェーデンのカロリンスカ研究所で行われた、運動前の食事内容と疲労の関係を調べた研究の結果、食事内容に関わらず長時間の運動で疲労困憊に至ったときは、筋肉中のグリコーゲンが枯渇していることが明らかになりました。

これはつまりマラソンランナーが30kmを過ぎてペースダウンを余儀なくされるのは、グリコーゲンの枯渇「ガス欠」が起こったからなのです。

私たちの身体のエンジンは、ハイブリッドカーにたとえられます。電気駆動が脂肪、ガソリンがグリコーゲンです。マラソンのような長時間運動ではグリコーゲンの枯渇が疲労原因でした。

ならば、できるだけ糖を節約し、その分脂肪をエネルギーとして使うことが出来ればパフォーマンスアップに繋がります

糖を節約し、脂肪をエネルギーとして使う。

実際に安静時から50%の最大酸素摂取量まで、脂肪と糖半々ずつ使われます

運動がきつくなるたびに糖が多く使われていきます。

では一番効率の良いペースとはどれくらいのペースなのか?

それこそ、にこにこペースなのです。にこにこペースこそ糖を一番節約できる50%の最大酸素摂取量の運動強度なのです。

また先ほどのミトコンドリアの話と繋がり、運動を継続していくと脂肪を効率良く使う機能が鍛えられ、ベテランランナーであれば、最大で70~80%の最大酸素摂取量くらいの強度であっても脂肪を使うことが出来ます

笑顔を保って走り続けられるにこにこペースはグリコーゲンを節約して走れる最大スピードであり、ハイブリッドカーの性能をもっとも引き出してくれます。

だからこそ、誰でも脂肪をエネルギーとして上手に使うことが出来る、にこにこペースのスロージョギングから始めれば、フルマラソンを完走できておかしくなのです。

にこにこペースのランニングで脂肪を燃焼させる方法

さらにミトコンドリアの性能を上げる、つまり脂肪燃焼効率を上げる方法をお伝えします。それは、炭水化物をあまり摂らない食事です。

実際にたった一週間でも炭水化物を減らした「低炭水化物・高脂肪食」で生活をしてトレーニングすると明らかにランニング中に脂肪を良く燃焼できる身体になることがわかってきました。

また、低炭水化物・高脂肪食下でのトレーニングは運動中のグリコーゲンを3割も節約できることが研究で明らかになっています

【解説】糖質制限ダイエットが秘密!?伝説の飛脚の持久力の科学

これについてはより深く知りたい方はこちらの動画をご覧ください。

カーボローディングと言ってレース前に糖質を積極的に取る方法があります。これは効果的ですが、レースの当日は高炭水化物食は取らないでください

スタート前にバナナを食べたり、糖質の入ったスポーツドリングを飲んだりする選手も多いですが、こうするとスタート後に脂肪はまったく使われず、筋肉のグリコーゲンを消耗させてしまうので逆効果です。

なぜなら高炭水化物のせいで、血糖値が急上昇し、過剰なインシュリンが分泌され、インシュリンの性質から脂肪を燃焼しづらくなるからです。

したがって、レース当日は朝までの糖質消費量を補うだけにして、高脂肪食とし、それ以降は何も食べず、飲み物も糖質ゼロの飲料水以外口にしないほうがよいです。脂肪燃焼の効率化を考えるのならこれが最善策なのです。

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ケガのリスクを下げるフォアフット走法で、ににこにこペースで走る。田中先生はこの本を通して

走ることは苦しいことではない。走ることはこんなにも素晴らしいのだ。

と一貫して伝えてくれます。

読めば納得して走り出したくなる、そんな一冊の本となっています!

今回はあくまで簡単にまとめただけなので、少しでも気になった方は本書をお取り下さい。

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