【3選】医師も知らない!?ランニングがおすすめな理由【有酸素運動と健康の科学】

速く走るための方法を考える

みなさんどうも、こんにちは!

僕は元帰宅部の本気【The VO2 MAX RUN】というYOUTUBEチャンネルでランニング・マラソン情報を発信をしている市民ランナーです。

みなさんは走っているでしょうか?

ランニングやその他の運動、はたまたトレーニング。やはり、これらに欠かせないのがモチベーション、やる気です。

よって、そんなランニングなどの運動・トレーニングでのモチベーション、やる気を違った形で引き出してみよう!という趣旨のもと、今回は面白い話、興味深い知見を3つ厳選して共有していきたいと思います。

このブログを最後まで見ると、おそらく誰も知らないであろう面白いランニングの側面を知れ、「ランニングって良いな!走ってみよう!」というやる気が湧いてくる。

ただのやる気を上げる良い話はおそらくテンプレート通り、フォーマットにあてはめれば誰でも言えるので、今回はそんな良い話ではなくもっと「なるほど!だったらやってみよう!」という納得感のある話はもちろんのこと、よりマニアックでいておそらくスポーツドクターやスポーツの専門家でも知らないような「超」興味深い知見まであますことなく共有します

と言っても、できるだけかみ砕いて説明するため

こんな話があるのか~面白い!

くらいな軽い気持ちで聞いて頂ければ幸いです。

ブログの最後には「なぜトレーニングをすると能力がアップするのか?」という最も本質的な疑問に科学的なアプローチから明快な答えも出しました。

是非、最後の最後までお楽しみください。

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【研究その1】大規模スポーツイベントの参加者の死亡に関連する全てのリスク

まずご紹介する一つ目はこんな面白い知見。

みなさんはスポーツイベントに参加しているでしょうか?

たとえば、マラソン大会など。

そう、実はこのような大規模なスポーツイベントに出場する参加者たちはAll-cause mortality risks、全ての死亡に関するリスク、これが長い目で見て結構、減っているというとても面白いことを明らかにした研究があるのです。

具体的にはランナーで言えば35%も死亡リスクが減る。

それがこちらのブリティッシュ・ジャーナル・オブ・スポーツ・メディシンというスポーツ医学を取り扱う学術誌に掲載された研究。

その名も『大規模スポーツイベントの参加者の死亡に関連する全てのリスク』

この研究はオランダのランニング、サイクリング、ウォーキングイベント参加者のデータ、1995年から2017年の分を収集し、クロスオーバー試験と呼ばれる比較研究手法によって、亡くなる時期を分けて、フォローアップ期間(追跡期間)も含めて大規模スポーツイベントの参加者と死亡リスクの評価、またマラソンなどのイベントに参加した人と参加しなかった人の死亡リスクを比較しました。

この研究でまず「すごい」と思ったのがその対象となった人数です。なんと546 876人およびこのようなイベントに参加しなかった211 592人を対象としました。ちなみにこの546 876人の約39万人、数値として72%がランナーだったりします。

というようななかなかの規模感のある研究で、まずわかったことのひとつ。

それがスポーツイベントが与える死亡リスクについてです。

結果を先に伝えると、亡くなった人の数は当日から1週間前に大規模スポーツイベントに出場していたほうが多い。つまり比較した期間と比べて、亡くなる1週間前にイベントに参加していたほうが死亡リスクが上がったということ。

が、しかし、ここが重要なのですが、その死亡リスクの数値は統計学的には有意な差ではなかったとのこと。

人数的に言えば、参加者10万人あたり4.2人がイベント参加後1週間以内に亡くなっている計算になるようです。

ということで、たしかに大規模スポーツイベントに参加すると1週間以内に死亡するリスクは上がることは上がりますが、特別、問題にするほどでもなさそうです。

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というのがまずわかったことのひとつ。

大規模スポーツイベントに出場すると一週間以内に死亡するリスクは上がることは上がる。

そして次がこの研究の最大の目玉。

たしかに急性の死亡リスクの上昇は伴いますが、平均3.3年の追跡期間中、このような大規模なスポーツイベントの参加者は一般人と比較して全死亡リスクが30%低かったことがわかったのです。

そして面白いのが、この効果はランナーで35%減少、サイクリストで30%減少となり、ウォーキングイベントに参加した人は12%減少となったのです。

よって、この研究の結論がこのようなもの。

これらの結果は、大規模なスポーツイベント参加への健康上の利益は、潜在的なリスクをoutweigh、つまり上回ることを示唆している。

そう、この研究から言えることは、大規模なスポーツイベント、たとえば東京マラソンや大阪マラソンなどの大会に出ようとした方が健康で長生きできるかもしれないということ。

マラソンなどの大規模スポーツイベントに参加するひとつの動機付けとして、この研究はなかなか示唆深いと僕は考えています。

是非、みなさんもタイムなど気にせず、とりあえず楽しく完走を目指してスポーツイベントに参加してみましょう。そうすると全ての死亡原因のリスクを減らせるかもしれません。

これこそ生涯スポーツとしてのランニング、本来のマラソンの捉え方だと僕は思います。詳しく知りたい方は以下の論文から深ぼってみてください。

↓【一つ目】マラソン大会に出場する意義を見出す研究↓

『大規模スポーツイベントの参加者の死亡に関連する全てのリスク』
All-cause mortality risks among participants in mass-participation sporting events

↓元論文↓

https://bjsm.bmj.com/content/58/8/421
※コメント※
生涯スポーツとしてのアクティビティ(マラソンなど)の重要性を見出せる研究。オランダで実施されたため、日本人にどこまで当てはまるかはわかりませんが、それでもスポーツイベントへの参加は人生や健康にとってポジティブな影響を与えそう!。ちなみにもうひとつ面白い知見がこの研究には存在しており、なんと「運動強度が高いほど、死亡リスクが低くなる可能性が大きい」とのこと。HIITなどのトレーニングが効果的であることの傍証にも使えそう。

↓ハーバード大学教授がおすすめするHIIT↓

【ジョギングやランニングはするな?】ハーバード大学教授がおすすめするマラソントレーニング方法

追記
「マラソン大会に出た人が健康になる」のではなく「健康な人だからこそマラソン大会に出場できる」
そう、「因果が逆である」と思う方も多いと思いますが、重要なのはこの研究の奥にある「伝えたい思い」だと個人的には思っています。つまり、この研究は予防医療に使えるということ。この研究をモチベーション・やる気にして生涯スポーツとして健康増進を図る。これがこの研究の意義。この一番重要な部分に目を向けずに、「因果関係うんぬんかんぬん」というネガティブな部分のみを取り上げ、揚げ足を取ると結果、医療費増大で我々現役世代やあなたの大切な子ども(孫)の世代が苦しむ。長期的な視点を持てるかどうかがこの研究を深く理解するうえで最も大切だと僕は考えています。
なぜこんなことを言うのかというと、研究者タイプにこのような揚げ足取りをする人が多いから笑。「いかに相手の瑕疵を見つけるか?」という悲しい足の引っ張り合い。これは日本の大学教育システムの失敗の典型例。日本の研究(それ以外の分野も含む)が落ちぶれていっているひとつの要因なんだよな~(大学教授たちを含め、本人たちは全く自覚していないけど。だからこそ尚更、質が悪い!マジで笑)

↓【これでOK】ド素人でも英語の論文を簡単に読める裏技↓

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【研究その2】雨が降るか?晴れるか?天気は筋肉などの身体の痛みの危険因子なのか?

では、次の面白い知見に移ります。

みなさんはレース中やトレーニング中の天候、そう天気をどれくらいまで気にかけているでしょうか?

雨が振ってきて濡れたら嫌だなとか蒸し暑くて質の高いトレーニングが出来ないと嘆く人も多いと思います。

そんなあなたにこんな研究はいかがでしょうか?

シドニー大学のマヌエラ・フェレイラ博士たちの研究で、その名も『雨が降るか?晴れるか?:天気は筋肉などの身体の痛みの危険因子なのか?ケースクロスオーバー試験のメタ分析をともなうシステマティックレビュー』です。

天気が筋肉などの運動器に与える影響を調査した信頼性の高い研究が何を隠そうこの研究です。

では、最初に僕がこの研究の推しポイントを2つ挙げます。

まず一つ目が「目の付け所」です。たしかに天候によって調子の悪さがあったり、創作上の作品などでは天気によって古傷が痛む的な場面もときどき見られます、それをガッツリ現実世界に落とし込んだ。

天気とパフォーマンスとの関係を知れる

まず、この視点が面白い!

そして、二つ目が、この研究は信頼性の高い手法で行われた研究ということ。また手足などの運動器の症状のリスクと気象条件のパラメータを評価したクロスオーバー試験と呼ばれる研究手法の結果を初めて、まとめ上げたところにも価値があります。

つまり、信頼性が高く尚且つこれまで誰も行っていない研究アプローチのひとつということ。

よって、この天気に関する面白い知見はスポーツドクターやスポーツの専門家もおそらく知らないはず。そんなニッチでいて、斬新な視点がこの研究の推しポイントです。

では、さっそく内容に移っていきましょう。

まずはいきなり結果からご紹介します。

天候の変化や気象状況はそれぞれの運動器の痛みにつながる危険因子、リスクファクターではなさそうですが、ある疾患にはかなり大きな影響を及ぼすようです

そう、それが痛風です。

研究によると高温と低湿度の組み合わせは痛風の再燃リスクを2倍にする可能性があるとのこと。

よってマヌエラ・フェレイラ博士たち曰く、様々な逸話にも関わらず、天候の変化は関節リウマチ、膝関節痛、股関節痛、腰痛の危険因子(リスクファクター)ではなさそうと指摘し、翻って痛風では重大な影響を及ぼすと述べています。

ランナー以外でも多くの方が悩む膝の痛みや股関節の痛み、腰の痛み。

これらと気象条件、湿度、気圧、気温、降水量との関連性は見られなかったようなので、数多くの逸話はあくまで逸話のようです。おそらくその他の本人が自覚できていないきっかけが存在したり、思い込み的な側面が強いのかもしれません。

というのが僕がこの研究を呼んで思った感想です。

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また痛風は結構な数の人がかかる病気なので、この知見を持っておくとそれ相応の配慮やパフォーマンス低下の原因がまさかの気象状況などから類推できるようになります。繰り返しになりますが、高い気温と低い湿度の組み合わせは痛風による痛みを悪化させる可能性があります。

これなのです。

本来の知識というものはマウントをとるために使うのではなく、人を気遣うためにこそ使われるべきなのです。

という知見を含め、なかなか興味深い研究ではないでしょうか?

ちなみにこれはランナーなどを対象としたスポーツ医学の研究ではなく、臨床医、一般的な医師に向けた研究ですのでその点だけご留意ください。

【二つ目】天気の変化が運動器にどのような変化をもたらすのかを調べた研究

『雨が降るか?晴れるか?:天気は筋肉などの身体の痛みの危険因子なのか?ケースクロスオーバー試験のメタ分析をともなうシステマティックレビュー』
Come rain or shine: Is weather a risk factor for musculoskeletal pain? A systematic review with meta-analysis of case-crossover studies

↓元論文↓

ScienceDirect
※コメント※
おもしろい!信頼性の高い手法で調べられており、「確かに言われてみれば気になるけど……」に焦点が当てられている個人的にとても大好きな研究。昨今、知識の使い方は「知っているか?知らないか?」で優劣をはかる悲しきマウント合戦ですが、本来の知識は相手の「なぜ?」に寄り添い、相手の気持ちに立って考えるためにこそ使われるべき。僕はこの研究を読みながらそう思ってしまいました。パフォーマンスが低かったり、イライラの理由は実はこんなことからも説明できる!?

↓【専門家も教えてくれない!?】メタ分析やシステマティックレビューの素晴らしさ↓

【ダイエットで痩せない理由】ランニングにベストな時間帯はあるのか?

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【研究その3】マラソン後の上手くいかない筋グリコーゲン再合成は減少した筋肉中のGLUT-4によって引き起こされない

ではさいごにマラソンに関したおもろい知見を共有します。

おそらくこの知見はスポーツの専門家でも知る人はかなり少ないと僕が思っているもの。

なぜなら絶妙にマニアックだから。

それがジャーナルオブアプライドフィジオロジーと呼ばれる生理学を取り扱った学術誌で発表されたデンマークにあるコペンハーゲン大学のエリック・リヒター博士たちの研究です。

タイトルがその名も『マラソン後の上手くいかない筋グリコーゲン再合成は減少した筋肉中のGLUT-4(グルトフォー)によって引き起こされない』というかなりマニアックなもの。

頭にクエッションマークが跳びまくる難解なタイトルですが、それで全然OKです!

なぜこの研究をさいごに持ってきたのかと言えば、マラソンに関連した面白い研究だから。

ちなみに今から解説する知見や知識はマラソンランナー以外でも糖尿病など生活習慣病にも関連するので知っていて絶対に損はしない内容です。話がかなりマニアックになるため、つまらないと思えば、適宜、気になる箇所に飛んでいただければ幸いです。

みなさんはなぜジョギングがおすすめされるのか?

この一番根っこにある本質をご存じでしょうか?

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スロージョギングを有名にした福岡大学の運動生理学者、田中宏暁教授の発見した事実のひとつにこんなものがあります。

彼の言葉を借りるとこうです。

にこにこペースの運動が、ミトコンドリアの機能を規定する遺伝子の発現を活性化する、PGC-1αという遺伝子(活性因子)の発現を導くことを確認しました

※コメント※
PGC-1αに関する田中教授の言葉「にこにこペースの運動が~」はこの書籍から。
【初心者こそ上級者用シューズがおすすめ!】スロージョギングで人生が変わる
みなさんどうも、こんにちは! 僕は元帰宅部の本気【The VO2 MAX RUN】というYOUTUBEチャンネルでランニング・マラソン情報を発信をしている市民ランナーです。 スロージョギン...

なぜスロージョギングがこんなにもおすすめされているのか?を科学的に説明するひとつのカギとなるのが、何を隠そうこのPGC-1αというなぞの物質にある。

そしてこのPGC-1αという物質こそが

なぜトレーニングをすると能力がアップするのか?

というトレーニングの最も本質的な疑問に答えられる明快な答えのひとつでもあるのです。

なぜそんなことが言えるのか?

田中博士がおすすめするスロージョギングによって活性化されるPGC-1αという物質。この耳慣れない物質をザックリ説明すると、こんな感じです。

PGC-1αとは体や筋肉を形作るタンパク質自体を作る根っこに関係する遺伝子の発現を促進する因子。そう、つまりマスターキーのような物質

タバタトレーニングで有名な立命館大学の田畑泉教授はこのPGC-1αという因子を「オーケストラの指揮者のようなもの」とも表現しています。

というくらい筋肉などのタンパク質を作る過程で根っこにあるマスターキー的な役割を果たす重要なもののひとつがこのPGC-1α。「転写活性化補助因子」というやや難しい名称がこのPGC-1αの機能であり役割。

このPGC-1αは研究のタイトルにもあがったGLUT-4を増加させるカギのひとつでもある。そう、PGC-1αは筋肉内にあるGLUT-4に働きかけられる

出ました。GLUT-4と呼ばれる謎の物質、果たしてこのGLUT-4とは一体、何物なのか?

ザックリ言えば、糖を運ぶ働きがある、血糖値に関わるタンパク質。これがGLUT-4。ちなみに正式名称はグルコーストランスポーター4。その英語の頭文字をとってGLUT-4です。

↓PGC-1αとGLUT-4(糖を運ぶための物質)に言及している運動生理学の書籍↓

※コメント※
詳しくはp199~200、p226、p236を参照。分子生物学を含め運動生理学のマニアックさ面白さが詰まっている初学者におすすめの一冊。著者はあのタバタトレーニングの考案者である田畑泉博士本人。

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運動に欠かせないのが「血糖値」という存在。

この血糖値がガクッと下がる低血糖はフルマラソンで足が止まる原因となる

そう、マラソン中の血糖値コントロールがフルマラソン完走には超重要な戦略となる由縁。

レース中に補給食を計画的に食べないといけない最大の理由。

ここに直接的・間接的に関係しているのが血糖値に関わるGLUT-4と呼ばれるタンパク質だったりするのです。

ここでマラソンとGLUT-4と呼ばれる糖を運ぶ血糖値に関わる運び屋との関係性がぼんやりと見えてきたと思います。

そして研究のタイトルにある「マラソン後の上手くいかない筋グリコーゲン再合成うんぬんかんぬん」。ここであがっている筋グリコーゲンこそが筋肉中にある糖のこと。本気で走っているランナーにおいてレース中、筋肉の中に蓄えたこの糖を使い切ってしまう場合が多い。よってもう一度蓄え直す必要がある。それが再合成の意味するところ。

つまりこの研究の意味がわからないタイトル。

マラソン後の上手くいかない筋グリコーゲン再合成は減少した筋肉中のGLUT-4によって引き起こされない

とはマラソン後の糖の動きや糖の働きの機能に着目した研究なのです。そこに関わるのが聞いたこともない横文字。GLUT-4という糖を運ぶことに関係する物質。

ここまででなんとなくぼんやりと理解できたのならそれで十分です。

では、結論です。

この研究結果は一体何を言っているのか?

それがタイトルそのままですが、意訳すると本気でマラソンを走った後に筋肉で糖の補充が遅くなる理由は筋肉にある糖を運ぶタンパク質、GLUT-4の減少が原因ではない。

なぜなら、そもそもマラソンを走る前でもマラソンを走った後でもこのGLUT-4の総量自体の変化が見られなかったから。減少してすらいない。

つまり、運動でのマスターキーとされるPGC-1αによって増えるとされる血糖値に関係するタンパク質のGLUT-4。このGLUT-4が減ってしまう影響が筋肉の糖を回復させるプロセスに関係していないということ。

言葉を換えると、マラソン後、筋肉中の糖を再び作り出すプロセスに関わると目されていた血糖値に関係するGLUT-4。この糖をせっせと運ぶGLUT-4の量では回復は語れないレース後の筋グリコーゲンの回復が遅いのは、このタンパク質GLUT-4の総量の変化以外の要因が関与しているというのがこの研究の結論なのです。

あまりピンとこない方のために少し掘り下げると、これが結構興味深く、この研究ではこう指摘されています。

炭水化物を多く含む食事をとったにもかかわらず、レース2日後の筋グリコーゲン濃度(筋肉中の糖分)はレース前の値より30%低かった」とのこと。が、「レース一週間後には筋グリコーゲン濃度はレース前のレベルに戻った

とも報告されました。

そう、何回もこの研究の結論を繰り返しますが、マラソン後のこの回復プロセスに大きな影響を与えるとされる糖を運ぶタンパク質であるGLUT-4。このGLUT-4の総量の変化は回復には実は関係なかったということが明らかとなった

ここでの「回復」とは再び筋肉内に糖を補充するというプロセスのことです。

どうでしょうか?ちんぷんかんぷんでめちゃくちゃマニアックではないでしょうか?

今回は要点のみをかなりザックリとかみ砕いて説明したので、気になる方は以下にある論文を読んでみてください。わからないという方はコメントつきで補足しておきます。

【三つ目】マラソン後のリカバリーに関するマニアックすぎる研究

『マラソン後の上手くいかない筋グリコーゲン再合成は減少した筋肉中のGLUT-4(グルトフォー)によって引き起こされない』
Impaired muscle glycogen resynthesis after a marathon is not caused by decreased muscle GLUT-4 content

↓元論文↓

Just a moment...
※コメント※
マラソンは体にめちゃくちゃダメージが入る運動の代表格。よって、そのほかの類似した研究からマラソン後ではGLUT-4(糖を運ぶための物質)の量の低下が起こり、量自体が減ったことで筋肉中のグリコーゲン(糖)の回復が遅くなっているのでは?と言われていました。それを「しっかりと調べてみよう!」というのが今回のこの研究の目的。
結果、GLUT-4(糖を運ぶための物質)の量はマラソン前後では一切変化していない!(マジで!?)という予想を裏切る面白い結果が得られました。ということで、タイトルにあるように「マラソンを走った後、糖を再度筋肉に補給する回復のプロセスにGLUT-4の総量は関係ない!」ということです。ちなみに「量」に焦点があたっており、回復プロセスにはGLUT-4は関わっています。あくまでその「量」では語れないということ!マニアックすぎる笑。
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とこれだけでは「ふーん」で終わりそうなので、もっと実生活レベルで活用できる知識とともにこの話を終わりたいと思います。

実はこの研究のキーワードとなった糖を運ぶことに関係する物質のGLUT-4。

この物質こそ糖尿病の運動療法でよくされるアドバイスのひとつ

運動は毎日あるいは1日おきに行いましょう!

ここに繋がるのです。

糖尿病になりかけの方や実際に糖尿病を持病としてもっておられる方で「運動が大切」と言われる科学的根拠。

そのひとつがこのGLUT-4でも語れるのです。

ちなみにガッツリトレーニングしているシリアスランナーであっても普段の高糖質の食事による境界型糖尿病のリスクがあったりと、運動しまくっている人にも実は常にその背後には糖尿病のリスクがあったりします。これに関してはマラソンのギネス記録を持つウェスト・ヴァージニア大学医学部教授自身の話を以下に載せておきます。

↓マラソンのギネス世界記録(サブ3連続達成世界記録)を持つウェスト・ヴァージニア大学医学部教授の境界型糖尿病の話は以下の書籍から↓

>>最高のランニングための科学 ケガしない走り方、歩き方

※コメント※
ガチのランナーである教授自身が境界型糖尿病になった!?の話は以下から引用。
「医師兼競技ランナーとして、レース前の「カーボローディング」ディナーを奨励したりもした。ただ、ひとつ気がかりな問題があった。絶え間ない空腹と説明のつかない疲労感をぬぐえそうにないのだ。当時は気づかなかったが、私は2型糖尿病への道を歩んでいた。血液検査の結果、すでに境界型糖尿病を発症していたのが判明した(p200)」
健康体に見えるバリバリのランナーも潜在的な糖尿病のリスクが思うより高いのかもしれない!?恐ろしい……

↓【文章で読む】文字起こしブログ↓

【最悪のマラソン】最高のランニングための科学 ケガしない走り方、歩き方【膝の痛みを治す走り方・ジョギング】
みなさんどうも、こんにちは! 僕は元帰宅部の本気【The VO2 MAX RUN】というYOUTUBEチャンネルでランニング・マラソン情報を発信をしている市民ランナーです。 みなさんはこん...

↓【レジェンドアスリートから紐解く】低糖質食に焦点を当てたトレーニング方法↓

では、なぜ糖尿病には運動が推奨されるのかというと、運動によって一時的にこの血中にある糖分の代謝機能、これをインスリン感受性と呼ぶのですが、この糖分を扱う能力、インスリン感受性がアップするからです。つまり、運動をすると血糖値をコントロールしやすくなる

糖尿病というのはこの血糖値をうまくコントロールできなくなる病気なので、その糖を扱う操縦を自分の体がもう一度行えるように訓練するというイメージが糖尿病患者に対する運動療法

運動という手段をもって、血糖値をコントロールできる機能をもう一度再獲得する。

これが適度な運動が毎日おすすめされる目的であり理由です。

そこの根っこにいるのが何を隠そう血中にある糖の運搬に関わる物質、GLUT-4。

血液中の糖を上手くコントロールする能力、インスリン感受性の向上はこのGLUT-4が関わっているらしく、実際に適度な運動を行うとGLUT-4の量が増加し、糖取り込み速度が増加すると考えられています。

なので、血糖値を上手くコントロールできない糖尿病患者はそのコントロールスキルを高めるため、運動を行うことが推奨されており、運動を行うと糖の運搬に関わるタンパク質であるGLUT-4の増加により、スムーズに糖を取り込め、高血糖状態を改善できる。

これが一連の科学的な視点からのなぜ糖尿病患者に運動療法がおすすめされているかの理由です。

このGLUT-4の増加の効果は一過性であるため

運動は毎日あるいは1日おきに行いましょう

というアドバイスにつながるのです。

もっと深ぼれば、このGLUT-4を作り出すのに関わる遺伝子が先程からあげている田中教授がスロージョギングで見出した転写活性化補助因子のPGC-1αというマスターキーにある。

ランニングなどの運動後もしくはトレーニング後に骨格筋にある一定の箇所のPGC-1α濃度が増加することが判明しており、それが糖尿病患者を含め全ての競技者の能力アップにつながる秘密。なぜなら筋肉を含め体のもととなるタンパク質をつくるプロセスを促してくれる物質がこのPGC-1αだから。

そう、PGC-1αと呼ばれマスターキーこそ、運動トレーニングによる筋肉の多くの機能向上の最初のステップにさしこまれる文字通りの鍵である。これが最先端のトレーニング科学、トレーニング生理学から見えてきた知見なのです。

つまり、

なぜトレーニングすると能力がアップするのか?

という根本的で本質的な疑問。これに答えるとすると「PGC-1αと呼ばれるマスターキーが起動するから」という答えがおそらく最適かなと僕は考えています。

あくまで筋肉的な側面で言うとですが。

どうでしょうか?誰でも簡単にアクセスできる表層的な知識ではなく結構奥深い知識まであますことなく解説しました。

もちろん理解する必要もありません。というかはっきり言ってめちゃくちゃ難しいのが事実。

この世に出回っている情報の大部分は白か黒か、ゼロか100か物事を簡単に切り分け、理解しやすいように形作られたものが多いですが、その裏には理解を超える複雑さが潜んでいることを少しでも実感いただければ幸いです。

だからと言って別に臆する必要はありません。なぜなら「わからないことが一番面白い!から」

↓PGC-1αと田中宏暁教授がおすすめするスロージョギング↓

【徹底解説】ランニングする前に読む本 マラソンの科学的トレーニングとは?
みなさんどうも、こんにちは! 僕は元帰宅部の本気【The VO2 MAX RUN】というYOUTUBEチャンネルでランニング・マラソン情報を発信をしている市民ランナーです。 計算通りに行え...

※このブログ記事・動画中にもPGC-1αに言及しています※

 

↓スロージョギングを使った仕事術(脳科学)↓

【仕事の効率を上げる】仕事に効く 脳を鍛える スロージョギング【有酸素運動の効果】
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京都大学の脳科学の権威との共著。スロージョギング(有酸素運動)と仕事術の組み合わせ。わかりやすくまとまっており、走り出したくなる良書。
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