【ジョギングの秘密】なぜフルマラソンを2時間40分で完走出来たのか?【アイアンマントライアスロンとマフェトン理論】

書籍紹介

みなさんどうも、こんにちは!

僕は元帰宅部の本気【The VO2 MAX RUN】というYOUTUBEチャンネルでランニング・マラソン情報を発信をしている市民ランナーです。

42.195kmのフルマラソンを2時間30分50秒。約1キロ3分34秒ペースで走り続けてこのタイム。

しかもこのタイムがすごいのが、水泳3.8km、自転車180kmをこなしてからのこのフルマラソン、2時間30分50秒

水泳3.8kmを48分21秒、100mを平均約1分16秒ペースで泳ぎ続け、自転車180kmを3時間24分22秒、平均時速約52.9kmで漕ぎ続ける。そのあとにフルマラソンを1キロ3分34秒ペースで走り抜ける(2時間30分50秒)

全てが異次元のハイペース!

これがトライアスロン、鉄人競技と名がつくアイアンマンディスタンスでの最も速い記録です。ちなみにこれはフルマラソン2時間切りプロジェクト。Breaking2INEOS1:59Challengeのトライアスロン版でその名もPho3nix Sub7Projectと呼ばれます。実際のこのレースのフルverの動画は以下をご覧ください!

人間の限界に挑戦する驚きの世界がそこには広がっています。

↓【フルマラソン2時間切りプロジェクト】INEOS1:59Challenge↓

↓【持久力の限界に挑むレースフルver】Pho3nix Sub7Project↓

↓Breaking2、INEOS1:59Challengeを取り扱ったスポーツ科学の名著↓

>>【限界は脳が決める!?】持久系アスリートのための耐久力の科学を読んでみた!

Mark Allen (USA) – World Triathlon
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そんなアイアンマン、鉄人の中でも自他ともに認める伝説的なアスリート。

その名もマーク・アレン

彼は37歳という年齢でハワイコナで行われたアイアンマン世界選手権を優勝、キャリアを通して通算6度世界一に輝き、最先端の機材を含めてスポーツ科学、スポーツ栄養学、トレーニング理論が進化してきてもなお、彼のタイムが更新されるのになんと20年近くもかかったという紛れもないレジェンドアスリートです。

ちなみに彼のアイアンマンのランニング42.195kmのタイムは約2時間40分。

ということで今回はランニングに焦点を当て、レジェンドアスリートがなぜこのような記録を打ち立てることが出来たのか?その「なぜ」をこちらの書籍、NATURAL BORN HEROES 人類が失った「野生」のスキルをめぐる冒険から紐解きます。

このブログ・動画を最後まで見れば、温故知新、忘れられたある理論から現時点での僕が知り得る限りの知識も含め、日本人ではおそらく誰も語っていないであろうランニング、走るという行為を再発見できる。

もし反論があるのならそれはそれでも全然構いません。が、しかし、僕の意見をしっかりと理解したうえで、つまり最後まで視聴した上で反論お願いします。
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【伝説のアスリート】なぜマーク・アレンはマラソン2時間40分で完走できたのか?

この本のタイトル。ナチュラルボーンヒーローズ。生まれついたヒーローたち。

↓【前編はこちら】ナチュラル・ボーン・ヒーローズ 人類が失った“野生”のスキルをめぐる冒険 ↓

 

彼らを描写する表現はこうです。

彼らは生まれついての強靭な身体をもつわけではなく、専門の訓練を受けたわけでも、勇敢さで知られていたわけでもない。~中略~ところが彼らは断食すれすれの食事だけで突き進むことができた。追跡され、つけねらわれるうちに、より強くなっていった。

さらにこんな驚くべき記述もあります。

オリーブとタマネギ一個で一日じゅう飛び跳ねる。そんなことが数字的にありえるだろうか?これでは入ってくるカロリーと出ていくエネルギーがイコールにならない。

また、こう続きます。

~中略~ほとんど飲まず食わずで日に12時間も洞窟を行き来することがあったが、ずっと頭は明敏で、筋肉は強く、持久力はゆるぎなかった。

この言葉に伝説のアスリート、マーク・アレンがなぜ驚異的なパフォーマンスを発揮できたのかの秘密があります。

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マフェトン理論①食事(低炭水化物食)

まずは一つ目の秘密、それが食事です。

実はマーク・アレンの快進撃の立役者にひとりの専門家の存在が大きく関わっています。

Dr. Phil Maffetone - founder of the 180 formula and MAF test
For beginners to competitive athletes, anyone looking to lose weight and burn more body fat, MAF is your personalised health and fitness guide.

その専門家の名前こそ、フィリップ・マフェトン。ドクター・フィル・マフェトンと呼ばれるもともとは足の治療を生業としていた専門家です。

この人物、ランナーからどこかで耳にしたことがあるかもしれません。マフェトン理論を作ったその人です。

【1から解説】ランニングダイエットでおすすめマフェトン理論

ちなみにこのマフェトンさんはドクターとついているので医者だと僕も勘違いしていたのですが、実は整体師です。しかも、面白いのが、彼の来歴。高校をぎりぎりで卒業し、いまだに本を読むのも我慢できないほどのADHD(注意欠如障害)をもつ元陸上部のカイロプラクター。

それが彼、ドクター・フィル・マフェトン。

ジョージ・シーハン - Wikipedia

が、彼はその理論だけでなく、実際の治療技術もかなり評判で、心臓の専門医で「マラソン界の哲人王」と称されたジョージ・シーハン博士も彼にその脚をゆだねていたりします。

そしてもっと驚きの事実
レッド・ホット・チリ・ペッパーズ - Wikipedia

それが、かの有名なロックバンド、レッチリことレッド・ホット・チリペッパーズ。なんと彼らは自身のツアードクターとしてこのマフェトンを迎え入れたのです。そのことも関係しているようで、レッド・ホット・チリペッパーズの伝説的ベーシスト、フリーは50歳のとき、激しい暴風雨のなかでフルマラソン4時間切り、サブ4を達成したりと、まさかのマフェトン理論は音楽界、ロック界に活路を見出していたりもしたようなのです。

なんとマフェトンは晩年、驚くべきことにアスリートをコーチングするのをやめ、ロックスターをコーチングするようになった。

では、なぜ彼はアスリートから離れたのか?

この本にはこう書かれています。

ロックスターたちは疑い深いコーチや企業スポンサーの相手をしなくていい。だが、いちばん大きな問題は”世界じゅうの誰もが”だった。世界じゅうの誰もが、この「マフェトン・メソッド」をくだらないと思っていた。

これが当時、いや、もしかすると現代においても、同じことが言われていたりします。

なぜくだらないと烙印を押されているのか?

それがランナーおなじみのあの行為。みなさんもやったことはないでしょうか?カーボローディング。炭水化物を詰め込むという食事を。

実は先程の言葉。

だが、いちばん大きな問題は”世界じゅうの誰もが”だった。世界じゅうの誰もが、この「マフェトン・メソッド」をくだらないと思っていた。

これに続くのがこんな言葉です。

炭水化物こそ戦士の食事だと、みんなが知っている。

これです。マフェトン理論はこれ(カーボローディングなど高糖質食)を真っ向から否定した理論だから、くだらないと思われたのです。

フィルマフェトンの言葉を借りると、

トレーニングのポイントは、どれだけ速く足を動かせるようになるかじゃない。ポイントは、身体がエネルギーを得るやり方を変えることなんだ。もっと脂肪を多く燃やし、糖を減らしたほうがいい。

低糖質、低炭水化物の食事で糖分を減らすことがマフェトン理論の基本なのです。

が、ほとんどのコーチや専門家はいかに糖質・糖分をとるか?これがマラソン戦略やランニングでは必須の考え、まさに常識中の常識。

だからこそ、その常識を作ったといっても過言ではない、こちらの動画でも取り上げた自身もウルトラランナーであるケープタウン大学名誉教授ティム・ノークス博士。彼の著作で昔のランナーのバイブルだった「ランニング事典」もしくはそれに続くベストセラーであるランニングの教科書「Lore of Running」。

この2冊においてランニング界の権威は高炭水化物食、糖質を押して押して押しまくったのです。

よって、低炭水化物食をメインとする理論は間違っていて当たり前。世界中の誰もがマフェトン理論をくだらないと思っていたのです。

ところがです。

現在でも炭水化物食信者は多いですが、その最たる人物。それこそランニング界の権威、先程の「ランニング事典」や「Lore of Running」を書いたノークス博士が現在はアンチ炭水化物食に鞍替えをしたのです。

こちらのスポーツ科学を取り扱った名著。「50を過ぎても速く!FAST AFTER 50」にノークス博士はこのように寄稿しているのです。

【フルマラソンおすすめ練習方法】50を過ぎても速く! FAST AFTER 50 【持久力の科学】

最後に申し上げたいことがあります。33年間、私は拙著『Lore of Running』を通じて、活動的、健康的であるためには、低脂質、高糖質の食事をしなければならないという現代の定説を支持し、擁護してきました。しかし、今では、このアドバイスは誤っていると思います。このことについて、私はお詫びしたいと思います。まったくの間違いでした。(p252)

 

また、同様の指摘をする専門家もいます。それがこの本「最高のランニングための科学 ケガしない走り方、歩き方」を書いたウェスト・ヴァージニア大学医学部教授マーク・ククゼラ博士です。サブ3達成連続世界最長記録を持つバリバリのランナーでもある博士自身も日頃の高糖質食によって境界性糖尿病になったりと、高糖質食の本当の危険性を訴えています。

ランナーのみなさんは一度、この本の中の食事の章を読んでみてください。おすすめです。

そんなわけで、日本ではあまり浸透していませんが、実はランニングの一部の権威や専門家が低糖質食をおすすめしていたりします。

と、言うと反論したくなるコーチやスポーツ栄養士、スポーツ科学者がいると思うので、補足します。

ガチのアスリート、人生をその競技にかけているアスリートや記録を狙うランナーは高糖質食は必須です。なぜかはこちら「糖質の科学」でこの世で最も優れたスポーツ栄養学者だと僕が思っているオーストラリア国立スポーツ研究所のルイーズ・バーク博士の言葉に耳を傾けてみてください。

そのなぜがわかります。

ここで重要なのは、健康的ということです。

一般の市民ランナー、健康志向の多くのランナーにこそ低糖質食が大切なのです。あとはラストレースが終わった引退間近の選手や引退したすぐのアスリートです。こちらはこの栄養学の名著「食欲人」の後半に高タンパク質食での食事コントロール法が実例とともに載っていますので、栄養学に興味ある方やアスリートは必読です。

では、そもそもなぜ低糖質食、低炭水化物食がおすすめされるのでしょうか?

ズバリ、カーボローディングしまくると、運動ではカバーできない副作用として境界性糖尿病や将来糖尿病になるリスクが高まるからです。

これは運動でどうにかできる代物ではありません。それこそまさにこの本のタイトルのような運動神話のひとつ。
【ジョギングやランニングはするな?】ハーバード大学教授がおすすめするマラソントレーニング方法

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そしてここで重要なこととして、この従来の高糖質食という常識を否定している専門家たち。彼らこそ、ガチのランナーであるということです。

ここがポイントです。

マラソン大会などに出場したこともない医者や研究者の言葉ではない。本気で走っている権威や専門家の一般の市民ランナーへの結論がこの低糖質食、低炭水化物食だからこそより一層考えさせられるのです。

ということでマフェトン理論が提唱する糖質を減らした食事方法がまた日の目を見ます。

ランナーのための糖質の減らし方(食事方法)

具体的な糖質の減らし方。何を食べてOKなのか?何を食べたらダメなのか?

OKな食品
肉、魚、卵、アボガド、野菜、ナッツ類にかぎられる。サワークリームや本物のチーズといった全脂乳製品ならいい。
NGな食品
果物、パン、米、じゃがいも、パスタ、はちみつ、豆、穀物類、大豆、ワイン、ビール、牛乳、低脂肪牛乳、チップス、ヨーグルト、調理済みのハムやローストビーフ(砂糖で処理されていることが多いから)
※コメント※
これは2週間テストの食事だと考えてください。でないと、いろいろと弊害が起きそう。また、僕は糖質を完全にシャットアウトするのは体に良くないと考えているので、2週間だけ実験してみて、そのあとは徐々に減らすのが合理的・再現性が高いと考えます。「低」糖質が大切で、ゼロか百かのような極端に走るのだけはやめましょう!あと食事というのは栄養補給以外の「ストレス解消」や「楽しみ」などの側面もあることは忘れてはいけません(←ここ「超」重要)

くれぐれも誤解のないように言いますが、食事量を減らすような食事制限、食事を我慢することではないです。フィル・マフェトンは好きなだけ食べると良いと言っています。

前提:一日中いくらでも食べつづけて良い

とここまで聞いてもやっぱりどこか胡散臭さが取れないのがマフェトン理論。

よって、とても興味深い成功例をご紹介します。

ちなみにアスリートやロックスターではありません。なんとチーム。それもオリンピック代表チームの、です。

ゆっくり走れ!マフェトン理論のもうひとつの柱こそ「ジョギング」

マフェトン理論の低糖質食と対をなすもうひとつの柱。それが低強度トレーニング(ジョギング)です。

1990年代前半、アメリカやノルウェー、カナダといった競合と熾烈な争いをしていたオランダのスピードスケート代表チームはかなり思い切った戦略を採用しました。

それが低心拍トレーニングの導入です。

これがすごいのですが、1970年代にはトレーニングの80%が高強度。それが1992年には50%に、2010年にはわずか30%にまで縮小させたのです。となれば、パフォーマンスを維持、いや向上させるには質より量を重視して練習時間がかなり伸びたと考えるのが当たり前です。

が、これも実は違うのです。

当初は合計トレーニング時間は年々増しているという仮説を立てた。しかし分析の結果、そうではないことが判明した。

と、2014年にオランダの38年ぶんのトレーニング記録を分析したチームは結論づけます。

そして分析チームはこう続けるのです。

驚くべきことに、正味のトレーニング時間は増えていなかった。

そして最後にはこう指摘します。

それなのに、パフォーマンスは大幅に向上したのだ。

ちなみこのパフォーマンスが大幅に向上した。この言葉の意味するところはこうです。

2014年冬季オリンピックでオランダ人選手たちは、男女合わせて、36個あったメダルのうち23個を故郷に持ち帰った。オリンピック史上、あとにもさきにも、ひとつの国がひとつの競技であれほど多くの金メダルを獲得したことはない。

と言われるまで強くなったのです。低強度トレーニング(ジョギング等)によって。

個人的にこのエピソードはいろいろと思うところがあるので、実際の研究ベースで僕の考察を補足します。

オランダのスピードスケートの成功例は「低強度トレーニング」だけで語れるのか?

Thirty-Eight Years of Training Distribution in Olympic Speed Skaters

Thirty-Eight Years of Training Distribution in Olympic Speed Skaters
During the last decade discussion about training-intensity distribution has been an important issue in sports science. Training-intensity distribution has not b...

※コメント※
この研究をおそらく参考にしていると考えられます。本書では研究の話を出しているのですが、元論文が記載されていない!?ちゃんと巻末には「出典」項目があるにも関わらず。なぜか?これはおそらく「あえて」です。なぜなら、オランダの快進撃が低強度トレーニングだけで説明出来ないから。トレーニングビヘービアという選手の育成プログラムからでもこの快進撃が説明できるのです(上記研究が要旨しか見れないので確証は得られませんが、ディスカッション項目とかにこのトレーニングビヘービアとか記載されてそう、知らんけど)。この推測は以下の資料から垣間見れます。

↓【これでOK】ド素人でも英語の論文を簡単に読める裏技↓

「Training behavior in relation to performance development in talented speed skaters: a descriptive study」

Google Scholarで上記の文章をコピペして検索してみてください!書籍「Children and Exercise XXVIII」のチャプター44が引っかかると思います。ここにオランダのスピードスケート選手が強くなった秘密の一端(トレーニングビヘービア)があります。

https://books.google.co.jp/books?hl=ja&lr=lang_ja|lang_en&id=ARtmAQAAQBAJ&oi=fnd&pg=PA263&dq=Training+behavior+in+relation+to+performance+development+in+talented+speed+skaters:+a+descriptive+study&ots=soicox15iB&sig=Ker7K6PlngSv8NoeVeiKpVNl0wU#v=onepage&q=Training%20behavior%20in%20relation%20to%20performance%20development%20in%20talented%20speed%20skaters%3A%20a%20descriptive%20study&f=false

↓トレーニングビヘービアって何?↓

【〇〇が大切!?】トレーニングビヘービアでパフォーマンスアップ

※トレーニングビヘービア=「パフォーマンスビヘービア」。なんと上記の動画で使用した参考資料「アスリートの科学」にオランダのチームの話がありました笑※

著者はやり手のジャーナリスト(元AP通信海外特派員)!なので「あえて」低強度トレーニングという側面をプッシュするために情報を取捨選択したと思われます(知らんけど)。まあ、普通に考えたら「低強度トレーニングだけで速くなるはずないじゃん!」というツッコミは入れざるを得ない笑

ということで、マフェトンはこう言っています。

脂肪を燃料として使うには、ふたつのことだけやればいい。糖を減らし、心拍数を下げることだ。

心拍数を下げることとはすなわちペースを落とすこと。オランダのスピードスケート代表チームが行った低強度のトレーニングに他なりません。

よってマフェトン理論では心拍計を用いた運動強度管理で徹底的に運動を管理するという手法を取ります。

そんな具体的な心拍数のライン、上限を計算するのはとても簡単なので、気になる人は参考にしてみてください。

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ジョギングのための脂肪燃焼ゾーン計算方法

180から自分の年齢を引き、つぎの基準を使って微調整すればいい。

(a)けがや病気でしばらく運動から遠ざかっていた場合、さらに5を引く
(b)長期間(心臓発作からの回復などで)運動から遠ざかっていた場合、10引く
(c)最低週4回のトレーニングを2年間つづけている場合、何も足さない。
(d)2年間ハードなトレーニングをつづけ、競技で結果を出し続けている場合、5を足す。

<著者の具体例>

私は50歳なので、180―50=130だ。

ふだん走っていて、けがもしていないから、cのカテゴリーに入る。ポイントは足さない。つまり、私の脂肪燃焼の閾値は一分間に130回の心拍数だ。

あとこれに関連して是非とも紹介したいのが、マフェトンのこの発言です。

180から年齢を引いた数字自体に意味はない

よって、よく聞く

運動強度を心拍数で管理するのは誤差が大きすぎるからものさしとして不十分である

という言葉はマフェトン理論を語る上では的外れであるようなのです。なぜなら数字自体に意味がないから。おそらくここにマフェトン理論の本質が隠れており、同時にここは解釈がかなり難しい文脈ではありますが、マフェトンはこう続けています。

それは最終的な数値、つまり最大有酸素心拍数への近道にすぎない(p400)

<補足>
数字自体に意味はないと言いつつ、最終的には数字に繋がる。が、この言葉も本質的には自身の体の中にあるひとつの正解を見つけること他ならないような気がします。それが数字で語れる場合もありますし、語れない場合もあるということ。おそらくこの言葉をしっかりと理解するには本人の言葉に声を傾ける必要があると思われます。

↓本人の言葉↓
ドクター・フィル・マフェトン本人が語るマフェトン理論

ちなみにマフェトンは鍛えられたアスリートを含めすべての人間が2週間あれば脂肪を燃料として使えるカラダに変えられると言っています。

たった2週間でOK!

この2週間が終わったら、精製された炭水化物を少しずつ食事に戻していって、どうなるか様子を見てみてください。パンを一切れ食べて、もし変化がなければ、大丈夫です。でも膨満感があったり、けだるくなったり、眠くなったりしたら、身体が効果的に代謝するにはデンプン・糖質が多すぎたということ。

これこそが二週間テストの意味だとマフェトンは指摘します。

つまりカラダの声を聞く、体のフィードバックに注意を向けて正常なインスリン値と最適な血糖値の状態がどんな感じか、実際に体験することがマフェトン理論では大切なのです。

この2週間の間、もしくは2週間が過ぎても、カラダに耳を傾け続けるとおそらくこうなります。

マフェトンの言葉を借りると

もし気分が少しばかり……その、最悪でも、驚かないように

まるでインフルエンザにかかったような気分になるとのこと。それくらい最初は最悪な気分になるのが、マフェトン理論。

これは糖分の供給が絶たれたカラダの反応としては正常で、この反応にしっかりと耳を傾けることがかなり重要です。

ちなみにマフェトン理論を実際に実践した著者は2週間でカラダがその状態に慣れて、こう言っています。

午前中に1時間みっちりトレーニングしたが、その疲れはすっかり消え、気分も爽快で、もう一度そのトレーニングができそうだった。だからもう一度やった。だがもっとも驚いたのは、食事に関する変化だ。ピザやドーナッツといった昔からのお気に入りはいまや魅力を失い、気持ち悪くさえあった。

ちなみに過去に僕も実践したことがあるのですが、僕は運動強度の管理が甘く失敗したので、個人的な感想としては、運動強度の徹底的な管理が成功の是非をわける。

これが僕の個人的なアドバイスです。

設定した心拍数を一切超えない

これは「言うは易く行うは難し」の言葉通り、バリバリトレーニングをしていた方、もしくはしようとする方には本当に難しいと思います。

と言っても、マフェトン理論の再現性は後ほどかなり深ぼるので、もしこのマフェトン理論を一瞬でもやってみたいと思うのならもう少しだけお付き合いください。

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【まとめ】なぜマーク・アレンが伝説的なアスリートになれたのか?

マーク・アレンがなぜ伝説的なトライアスリートになり、偉業を達成できたのか?

その答えがこの本の主人公たち。

ナチュラルボーンヒーローズ。生まれついたヒーローたちにある。

彼らナチュラルボーンヒーローたちは、そもそもデンプンや砂糖が全く手に入らない状況、つまり低糖質食、低炭水化物食という環境の中で長時間走り続けなければいけなかった。しかも、切り立った崖などゆっくりとしか移動できないという制約のため低強度の運動にならざるを得ない。よって、意図せずマフェトン理論が環境的に再現される状況になった

これが彼らのハイパフォーマンスを説明するひとつの答え。

生まれついての強靭な身体をもつわけではなく、専門の訓練を受けたわけでも、勇敢さで知られていたわけでもない普通の人間がナチュラルボーンヒーローとなれた秘密です。

これこそマーク・アレンがなぜ伝説的なトライアスリートになり、偉業を達成できたのか?その答えに他なりません。

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【徹底考察】マフェトン理論の隠された前提

ということで、ここからはブログや本には載っていない本当のマフェトン理論の本質を考察していきます。

科学において重要なのが「再現性」です。

マフェトン理論が胡散臭い理由のひとつがその再現性の低さにあると個人的に感じています。

よくよく考えてみてください。

もし食事と低強度のトレーニングだけでマーク・アレンのように速くなれるのなら、健康志向のスロージョギングだけをしているランナーが低糖質食に切り替えただけで速く走れるようになるのでしょうか?

絶対にそんなことはありません。

よって重要なのはマフェトン理論は本気のアスリートと健康志向のアスリートにおいてその意味合いが180度異なるという点です。

基本的に長時間効率よくカラダを動かし続けるというのがマフェトン理論の目指すべきところ。よって、アマチュアランナーでフルマラソン3時間半切りや3時間切りをマフェトン理論で目指すのは正直おすすめしません

恐らく失敗します。

が、成功するランナーもいるはず。この例外こそが本気アスリートと健康志向のアスリートとの分岐点になると僕は考えています。

では、その分岐点とは一体何か?

それが過去の運動歴です。ガッツリと何年間も本気で高強度のトレーニングに耐えてきた経験があればマフェトン理論で速くなる可能性はあります。

というのも、この本、ナチュラル・ボーン・ヒーローズ 人類が失った“野生”のスキルをめぐる冒険であげられた成功例だけを見ると全員が全員元々ガッツリトレーニングを積んでいたアスリートであり、ケガや不調で従来のトレーニング方法が出来なくなって苦しみ抜いたあげく、結果マフェトン理論にたどり着いたそんな印象。

マーク・アレン選手を含め、マフェトン理論で好成績をあげたアスリートは過去に血のにじむほどの高強度トレーニングを行っていたと推察されます

ゼロベースの人の成功例は少なくとも一切取り上げられていません。

よって、もともとの心肺機能や筋力を含め土台がかなりしっかりと作られていた。そしてマフェトン理論という一種のテーパリング(疲労抜き)のようなトレーニング理論がぴったりとはまった結果、偉業を成し遂げたと僕は考えています。

この過去の運動歴という前提がすっぽりと抜け落ちているので、

アマチュアの選手でそこまで本気で運動に取り組んでこなかったランナーがマフェトン理論で速くなるのは、そもそも論でかなり難しい

というのが僕の考え。

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上記の動画でも解説したように実際の研究でもあまり良い結果が得られないということがあったりとスピードという点においては再現性が担保されていないというのが現状のようです。

【2.5倍アップ】糖質制限ダイエットで脂肪燃焼効率を上げまくるとどうなるのか?【スーパーノヴァ実験と低糖質高脂質の食事】
みなさんどうも、こんにちは! 僕は元帰宅部の本気【The VO2 MAX RUN】というYOUTUBEチャンネルでランニング・マラソン情報を発信をしている市民ランナーです。 カフェインを摂...

この興味深い研究結果「スーパーノヴァ実験」は実際の論文ベースで上記のブログか動画(の概要欄)で補足してあるので、気になる方はチェックしてみてください!

と聞くと

俺はマフェトン理論で速くなった

と豪語される方もいらっしゃると思いますが、これはあくまで再現性の高さの話。つまり、一般論。

何事にも例外は存在します。

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一つ誤解をして欲しくないのが、僕は別にマフェトン理論を否定しているわけではなく、あくまで「スピード」という側面においては再現性が低いと考えているだけです。

脂肪燃焼効率アップ。痩せる、エネルギーを上手く使える身体になる。

ここに関してはマフェトン理論は再現性がかなり高く有効である可能性が非常に高い。これは研究ベース、エビデンスベースで判明しています※上記のスーパーノヴァ実験をご参照ください※

このような理論やモデルも複数からの切り分けが重要で、ひとつがダメだから全部ダメと切り捨てるのはもったいない。

マフェトン理論を使うとスピードが速くなる人はかなり限られますが、ほぼ全員が脂肪燃焼マシーンになる。

アマチュアの健康志向のランナーにこそ、実はおすすめ!

これが僕が考えるマフェトン理論の位置づけです。

というかもともとのドクター・フィル・マフェトンが伝えたいのはおそらくここの部分のはずだとも思います。

この本を含めて、複数の書籍で取り上げられている成功例がみんなマーク・アレン選手のようにタイムが向上したり、偉業を成し遂げたりというスピードやタイムにフォーカスされているので、大切なものを見失ってしまいそうになるのです。

もしあなたが死ぬほど努力し、長時間しんどい練習で歯をくいしばっているのに記録が全然出ない。ケガをしまくり引退を考えている。そのようなもともとの体力の土台がある方であれば、ダメ元でマフェトン理論に従うのはありだと思います。

実際にマーク・アレン選手や他の選手の成功例などもそのようなバックグラウンドが共通しているため、再現性はまだ高いと考えられます。

そして、そのときの考え方はこうです。

すべてのトレーニングを競争だと考えるのをやめる

全ての競争から一旦降りてみるのです。これが死ぬほど重要で、ここを完璧に切り分けられる選手のみがおそらくマフェトン理論で成功を収められると僕は考えます。もともとの体力の土台があり、全ての競争から一旦降りるという完全な切り替えができるアスリート

この二つを再現できる選手が第二のマーク・アレンになれるかもしれません。

今回はあくまで自分の言葉で簡単にかみ砕き、まとめただけなので、少しでもマフェトン理論が気になった方は是非、本書をお取り下さい。

※コメント※
最後の最後に一番興味深い「マフェトン理論」が登場します。ここまでたどり着けずに挫折した方も多いのでは?と僕は読み進めていく内に思ってしまったくらいの大作(p450越え)。正直、後半のチャプター32(p353~)からだけでも良いと思います。あくまで個人的感想。

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