みなさんどうも、こんにちは!
僕は元帰宅部の本気【The VO2 MAX RUN】というYOUTUBEチャンネルでランニング・マラソン情報を発信をしている市民ランナーです。
このルームランナーの名前はアルターG(ALTER G)
是非、一度画像を検索してみてください。
どうでしょうか?その奇妙な形にきっと驚くと思います。
どこか宇宙っぽいデザイン。まるでルームランナーに宇宙服をかぶせたようなかたち。
この面白ルームランナーを開発したのが何を隠そうあのNASA、アメリカ航空宇宙局の技術者なのです。
それがアルターGの「G」にあります。
このGとはGravityのG、つまり重力のこと。
ランニングのケガに繋がるのが着地時の衝撃です。この着地時の衝撃は体重に比例します。そしてかなりざっくり言うと、この体重を規定しているのが重力、アルターGの「G」です。
そしてアルターGはこのG、重力を疑似的にコントロールできる。
どういうことかと言うと、足だけ宇宙空間にワープさせるというかなり斬新な発想のトレッドミル。
よって、このアルターGの別名こそ、アンチ重力トレッドミル。
どういう仕組みかと言うと、空気圧を調整して自重、自分の体重の負荷を減らすことができるトレッドミル、これがアンチ重力トレッドミル、アルターGなのです。
よって、体重がどんなに重い人でもケガのリスクを最小限にしつつ、ランニングという運動負荷を加えられる。
これがアルターGの真骨頂。
たとえば膝をケガして走れない患者さんやランナーなどがリハビリとしてこのアルターGで体重、自重を軽減した上でランニングが可能となる。
このような使い方ができるのです。
というような面白い技術が日々進化しているのがスポーツ科学。アルターGを含めてこのトピックに関してはオリンピック公式チャンネルが超おすすめです。
↓アルターG(Anti-Gravity Treadmill)については以下のオリンピック公式チャンネルがおすすめ!↓
テック系の情報も充実しています(The Tech Race)。
↓アルターGについては以下の書籍(p156)でも紹介されています↓
アスリートは歳を取るほど強くなる: パフォーマンスのピークに関する最新科学
が、さすがにアルターGは個人では使えない。
ということで今回はそもそも論でケガをしないベストなランニングフォームとはどんなフォームなのかを一個人の感想ではなく研究ベースで深ぼっていきたいと思います。
このブログを最後まで見ると
ベストなランニングフォームがなぜベストなのか?
その答えがわかる。ランニング、走り方の表層ではなく結構奥深くまで切り込みました。是非、最後の最後までお楽しみください。
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目次
【結論】ケガをしにくいランニングフォーム
では、いきなり結論です。
ケガをしにくいランニングフォームというのは、この図です
この膝から下の部分、すねから足の角度に注目してください。
今回はあえて上半身や体幹の動きなどは考えないでおきます。本当はカラダは上半身も下半身も筋肉や結合組織でぐるぐる巻きにされており、お互いがお互いに影響を与えあっていることだけは補足しておきます。ここを深ぼりたい方は研究者が書いた解剖学のおすすめ書籍を以下で紹介しておきます。
>>【筑波大学】解剖学からアスリートの動きの秘密を考えてみた!
気になる方は各自深ぼってみてください。
この左図のように着地するときに良い感じに曲がる膝とフラットな着地が「良いフォーム」
ここで重要になってくるのが、膝とくるぶしの位置関係です。何が言いたいかというと、膝のすねの骨を地面と垂直に着地させるのです(←良いフォーム)。これが出来ずに、くるぶしだけが膝の前に飛び出すと非効率かつケガにつながるダメージをもろに食らう可能性がある(上記、右の図)。
フラット着地というものは、すねの骨と地面が垂直に立っている状態(左の図)。オーバーストライドはくるぶしだけが前方に飛び出ることで、すねの骨が垂直ではなく傾いている状態(右の図)。
ざっくりこのような理解でOKかなと思います。図を見れば一目瞭然ですが。
この図の引用元とこのことが書かれた研究論文は以下に載せておきます。
何を隠そうこの話は、実はハーバード大学の研究者がおこなったランニング研究に基づいているのです。
★ケガしにくいランニングフォームの図の引用元(Fig. 1参照)★
Effects of stride frequency and foot position at landing on braking force, hip torque, impact peak force and the metabolic cost of running in humans
これから登場する頭にクエッションマークが飛び交う訳の分からん話はこちらの論文から。個人的にこの論文をプッシュしたいのは、こちらの論文はスポーツや医学系の学術誌ではなく、「journal of experimental biology」という生物学の学術誌に載っているという事実。この論文を書いた筆頭著者(ハーバード大学ダニエル・リーバーマン教授)の書籍でもかなり似たような図が載っており、そちらは結構ガッツリランニングフォームを解説しているのでおすすめです。もちろん上記の論文の情報も含まれています!
↓引用元は以下の書籍:以下のp71にランニングフォームの図(図25)が載っています(おすすめ!)↓
>>【全部タダで!?】この書籍「運動の神話(下巻)」を無料で聞く!
↓解説動画はこちら↓
【怪我しない走り方】高ピッチ走法の極意
そして、この着地からスロージョギングを提唱していた運動生理学者の田中宏暁教授のランニング戦略、足の回転数を上げる高ピッチランニングの合理性が見えてくるのです。
ちなみに田中教授が教えるスロージョギングは遅く走るというものだけではなく、走り方にもその特徴があります。気になる方は以下の動画で解説しています。
「スロージョギング」という言葉だけを切り取って正確ではない理解をしている方が思いのほかいらっしゃるので、
スロージョギングは遅く走るだけの走法ではない
ということだけ強調しておきます。
楽しく走れているのなら、何ら問題はないのでスロージョギングは実は思ったより奥深いと頭の片隅に入れておけばOKです。
ということで、田中教授がスロージョギングでおすすめしているランニング戦略にフォアフット着地と足を素早く回転させる足さばき、高回転のピッチ走法が挙げられるのです。実際にご本人もかなり足の回転数を上げて走っておられ、その走法を駆使して50歳でフルマラソン2時間38分48秒というすさまじい記録を叩き出していたりします。
この足を素早く回転させる足さばき、高回転のピッチ走法これが本当に慧眼です。
こちらの動画でも軽く触れたのですが、ケガのリスクを減らす最も簡単に出来、尚且つ再現性の高い方法論は至極簡単。
ピッチ数、足の回転数を増やすことなのです。
たったこれだけ。
ピッチ数をあげれば股関節や膝関節の負荷が減らせる。するとランニングに関連するケガのリスクが減るというシンプルな関係。
ちなみにこの話もガッツリと研究ベース。こちらがその研究論文。気になる方は以下でチェックしてみてください。
★足の回転数を増やせば(ピッチ数を上げれば)ケガのリスクが減ることを示唆する研究★
↓ケガのリスクを下げるには歩数を少し増やせ!↓
Effects of Step Rate Manipulation on Joint Mechanics during Running
また別の興味深い研究からこの話を深ぼると
前後方向の力は垂直方向の力の約4倍のコストがかかり、ランニングコストの3分の1以上を占めているという結果が存在しており、ストライドが広くピッチ数が少なくなれば、足が地面を移動する距離が長くなり、ランニングコストに影響を与え、さらに重心の軌道を上に持ってくる度合が大きくなるため、これも着地の衝撃に関係する
↓元論文↓
といきなり聞いても、頭にハテナが飛び交うと思いますが、結局、何が言いたいかというと、足を素早く回転させる足さばき、高回転のピッチ走法でストライドを狭めた方が着地時の衝撃を減らし、効率的なランニングに繋がる可能性があるということです。
ランニングフォームという属人性の高い動き。
みなさんもご存じのとおりフォームの修正はかなり難しくその場では出来たとしてもすぐにもとの自分の本来のフォームに戻ってしまう。それは解剖学、特に筋膜の観点から見てもそうなってしまうのです。それを誰でも簡単にできる手法、脚の回転数を上げる高ピッチ走法というやり方で再現性のあるフォームに落とし込んだことは本当にすごいと個人的には思っています。
さすが日本が誇るランニング研究者。
そして、高ピッチ走法、脚の回転数をあげれば、必然とさきほどのこの図。すねの骨と地面が垂直に立っている状態、つまりフラット着地が出来る。言葉を換えると、すねの骨が垂直ではなく傾いている状態、オーバーストライドを防げる。
そしてこの走法のもうひとつの大きな合理性。
これは田中教授自身もおっしゃっていたのですが、この一本のネイチャー誌に掲載された論文から影響を受けたと思われる合理性です。
Foot strike patterns and collision forces in habitually barefoot versus shod runners
↓元論文↓
https://mvlab.yale.edu/sites/default/files/papers/lieberman2010.pdf
太古の人間はフォアフットというつま先で着地し、尚且つ高ピッチ走法。つまり足を高回転でブン回していた可能性です。というのも、これもやってみれば「なるほど」という感じですが、トレイルなどの不整地の凸凹を裸足、うす底の履物で全力で駆けるとなると、どうしても着地の衝撃、痛みを最小限にするために高ピッチ、足の回転数を上げざるを得ません。
僕は進化生物学という切り口でサンダルで走る「サンダル走」という面白いのトレーニング方法を導入しているのですが、実際にそうなってしまいます。
みなさんも凸凹のある不整地で是非、やってみてください。
日本で誰も語っていない進化生物学的トレーニングについて知りたい方は以下をご覧ください。
歩数を増やすと関節へのダメージは大きくなる?ヘイフリック限界から考えるランニング
と、足の回転数を上げるピッチ走法がおすすめと聞くと、こう思う方もいらっしゃると思います。
結局、歩数を増やすとトータルの衝撃は多くかかるのだから、関節へのダメージは変わらないもしくは大きくはならないのかと。
そして、過去に作った動画ではベストセラーになった面白い本「ゾウの時間ネズミの時間」という話から関節の耐用回数というぶっ飛んだ切り口を通してアスファルトという現代の特異的なランニング環境に注目し、そのリスクを提案しました。気になる人は是非、以下をご覧ください。
が、なんとなんと最新の研究によるとおそらく高ピッチ走法による関節へのダメージはそこまで影響しないというのが明らかになりつつあります。
このヘイフリック限界というのは、細胞の寿命がどのくらいかについての基本的な考え方であり、1960年代にレナード・ヘイフリック博士が初めてこの限界を記述したことから名付けられた画期的な発見のひとつです。
このヘイフリック限界で指摘したいことは、動物の細胞が持つ再生能力は限られているという事実です。ちなみに当時へイフリック博士はその限界を50回と観察から規定しました。かなりかみ砕きまくると50回で細胞はその分裂・増殖能力がゼロになってその重要な機能を停止してしまう。
また先程のベストセラー「ゾウの時間ネズミの時間」はこのヘイフリック限界のような限界が心臓にも存在しており、カラダの大きさに関わらず、ドクドクと脈打つ鼓動の回数がある上限に達するとそこでジ・エンド。心臓が止まり死んでしまう。
これらの発見からランニングを俯瞰すると、僕の仮説のロジックはこうです。
ランニングをしすぎると変形性関節症になるリスクが上がるのではないか?
なぜなら、ヘイフリック限界や心臓の拍動数の話から考えて、この世に存在するすべての物には耐用年数もしくは耐用回数が存在しており、それを消費したら終わり。
よって、膝関節や股関節もそれに当てはまり、アスファルトという過酷な状況を走りすぎるとこの耐用年数もしくは耐用回数が人体が想定していない劣悪な環境により、すごい勢いで減って行き、本来的な変形性関節症のリスクが高まるというオリジナル仮説です。
ところが、最新の研究でわかったことが実はその反対なのです。
こちらの信頼性の高い研究で判明したのは、レクリエーションで走るエンジョイランナーはランニングしたほうがむしろ変形性関節症のリスクを減らすことができるということ。
が、競技志向のランナーはデータ上、変形性関節症のリスクは依然あります。しかし、何十年にも渡って高強度のランニングを続けられる人自体が少なく、その人は遺伝レベルで軟骨や結合組織が丈夫などの個別要因を考えると、
ランニングのしすぎで変形性関節症の原因になるという仮説は正直、微妙
と僕は思うようになりました。
結局何が言いたいかというと、ランニングで変形性関節症のリスクはそこまで上がらず、逆に健康志向のランナーは変形性関節症になる可能性を減らせる、健康で居続けけられるといううれしい事実です。
またこれに関したおもしろい研究結果としては、ある年齢と体重の人が変形性膝関節症を患う確率は、過去二世代の間に、人々の運動量が増えるのではなく減ったために、二倍に増加したことが示されたりと、ランニングこそが変形性膝関節症の予防に実は効果的だったりします。実際の論文は以下にコメントつきで載せておきます。
★エンジョイランナーはランニングしたほうが変形性関節症を減らせるという信頼性の高い研究(システマティックレビューとメタ分析)★
The Association of Recreational and Competitive Running With Hip and Knee Osteoarthritis: A Systematic Review and Meta-analysis
結論(Conclusion)に全てが集約されています。エンジョイ勢はガチ勢と比べると変形性関節症の発症率は低くなる!そして二世代(1800年代~1900年代初頭と1900年代後半~2000年代初頭、先史時代と産業革命後)を比較したときに、運動量が減ったために変形性関節症が増えたという面白い研究は以下を参照。
↓Knee osteoarthritis has doubled in prevalence since the mid-20th century↓
【まとめ】ケガを防ぐベストなランニングフォーム
ということで、ケガを防ぐベストなランニングフォームというのを科学、つまり再現性や客観性という言葉で切り取ると、スロージョギングを提唱した田中宏暁教授のランニング戦略、足をぶん回す高回転ピッチ走法がベスト。なぜなら、オーバーストライドを防げ、必然的にストライドが狭まることによりフラット着地がしやすくなるから。以下のハーバード大学の権威が示した図につながるのです。
【完全解説】ノルウェー式トレーニングで速くなる【科学的トレーニング入門】
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